表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
180/200

オルフェンとの死闘 その3

 足に激痛が走る。さっき左手は折れたし、これで左足首も折れたな。まぁ、折れただけならいい。問題は今も掴まれたままと言う事だ。

 俺を掴んでる腕の肘辺りを右足で踏み抜いてみたが、ビクともしない。どうにか手を離させたいが、どうするかね。

 そんな事を考えているうちに、オルフェンが立ち上がった。身長差もあり、俺は逆さまに持ち上げられた状態になる。


 こうなると力も入らないので、逆さまのまま詠唱し、WSを顔へ放つ。いとも容易く頭を傾けて避けられ、WSはそのまま虚空へ飛んでいく。

 仕方が無いので、お次はオーラバーンを放つ。オルフェンの太もも辺りに命中するが、相変わらず何の反応もない。

 オーラバーンを命中させた時点で俺は持ち上げられる。今まで逆さまだったが、頭が上になり───そのまま地面へ叩きつけられた。


 やはり力が全然違うな。体中がバラバラになる感覚があり、背中から叩きつけられたせいで空気が追い出される。現実味が無く、何処か他人事の様に考えていた。

 

 痛みと体中の酸素が追い出されたせいで、かなり苦しい。後、足首が折れているのに、そこを支点に叩きつけるもんだから激痛が・・・。足が取れちゃうよ。

 息を整え、苦し紛れに寝転がったままWSを放つが、先ほどと同じく避けられる。当たったところで死ぬわけないと思うが、意外と避けるんだな、とどうでもいい事を考えていた。

 そうしてもう一度持ち上げられ、再度地面に叩きつけようとしてきた。


 流石に何度もやられると痛いとかだけでなく、死んでしまいそうな為抵抗を試みる。

 オルフェンの頭上に持ち上げられた時に、痛みを我慢し、膝を曲げ身体を縮める。顔に手が届く位置まで来れたので、オルフェンの顔を両手で挟み込んだ。

 左腕が折れているせいか、力が入り切らず左手は添えるだけ状態だ。それでも構わないと思い、詠唱を開始する。挟み込んだ両手からオーラバーンを発動する。

 

 流石のオルフェンも頭にゼロ距離から魔法を受けた為、少し怯んでくれた様に見えた。手が緩み漸く俺の足首が解放される。解放されると同時に、痛みが主張してくるが気にしている場合じゃない。

 挟み込んだ手をそのままに、オルフェンの腕を蹴り頭を掴んだまま背後へ回る。しがみついたまま、再度オーラバーンをぶち込む。多少の嫌がらせにはなってるようで、オルフェンの腕が俺の背中に来てローブを掴まれる。

 引っぺがす様に放り投げられ、また地面へ叩きつけられた。少しは優しくして欲しいもんだ。



 直ぐに立ち上がりたかったのだが、体中バラバラになってるような痛みがあり、地面をのたうち回る位しか出来なかった。

 オルフェンがゆっくりとこちらへ近づいて来る。自分にヒールをかけたいが、とてもじゃないが魔力を集中して魔法を発動させる事が出来ない。

 俺の直ぐ隣に立ち、足を振り上げているのが見える。踏みつけか・・・。耐えられるとは思えないぞ。


 まぁそろそろ5分経つし、俺の役割は果たせたかな。オルフェンの足が振り下ろされる。



「ヘイト!!」



 その時セラの透き通った声と共に、オルフェンへヘイトが入る。振り下ろしていた足は俺から少しずれ、地面にめり込む事になった。



「ハガネ!死ぬな!!レナ、回復してくれ!」



 こちらに駆け寄ってくるセラが見えた。元気になった様で何よりだ。



「おおぉぉぉぉ!!!」



 セラが勇猛果敢にオルフェンへ突っ込んでくる。俺を巻き込まない様に、少し離れた所へ誘導してくれた様だ。

 何とか俺の役割を果たす事は出来たな。既にボロボロで起き上がる事さえ出来ないが・・・レナを寝転がって大人しく待つ事にした。



 少し待つとレナが近くまで駆けてきた。



「ハガネさん・・・いつもの事ですけど、無理しすぎちゃダメですからね」


「ああ・・・気を付けるよ」



 レナにグレーターヒールをかけてもらった。骨折した手足が元に戻り、激痛が漸くなくなった。

 毎回思うけど、ヒールって凄いな・・・。こんな直ぐに治る事に未だに慣れない。普段はかける方で、自分に貰う事は少ないからな。

 盾職はこの感覚に慣れるものなのかね。セラから何も言われた事がないので、受ける側としては当たり前の事なんだろうけど。



「助かった。少しMP回復をするから、ユイと一緒にセラを頼む」


「わかりました!」



 セラが強化されたオルフェンと、戦い出しているのを観察する。俺の時と違い、普通に攻撃しているな。

 今までと比べてやはり辛そうだが、HP、MPが全快になったセラは生き生きとしていた。盾と剣を巧みに使い、オルフェンの攻撃を捌いている。

 盾術とでも言うのか、器用に使いこなしているな。俺には真似出来そうにも無い。


 

 俺は壊した杖の予備武器を支援部隊から受け取り、腰のバックへ入れる。これがあるから大丈夫って訳でも無いが、先ほどの戦闘で助けられたのも事実だ。

 そもそも無手で戦うのがメインだが、やはり何か手元にあるだけで選択肢の幅は広がる。もう少し武器術も磨きをかけた方が良いかな。



 今はオルフェンのメイン盾をセラが行い、ヒーラーをレナ、リチャージをミイがアタッカーPTのヒーラー達含めて指示を出している。

 アタッカーPTはまだ待機中で、今は楽園の管理者と戦乙女が攻撃を行っている。リカがアタッカーPTのメイジに声をかけ、総攻撃のタイミングを計っている。

 魔法攻撃を撃つなら、アタッカー達は離れてないと巻き込まれてしまうからな。セラも防御姿勢をとってから攻撃魔法を撃ち込むのだろう。



「セラ、いくよ!皆、お願い!」



 リカの掛け声と共に、火、水、氷、雷等々の様々な属性の魔法がオルフェンへ命中する。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ