表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
178/200

オルフェンとの死闘

 危なかった・・・油断は一切していなかったが、俺が相手をするとか言っておきながら、一撃で死ぬところだった。

 顔面に飛んで来たであろう拳を、背後に倒れながら足で蹴り上げ───蹴り上げと言ったが、俺の蹴り如きでは多少しか逸らせず、相手の拳を上に押した反動で、地面に叩きつけられながら、後方へ転がった。

 転がりつつ体勢を整え立ち上がり、とりあえず自分へノーマルヒールをかけた。


 小さくなったオルフェン・・・強さが凝縮された感じなのは分かっていて、十分警戒して身構えてこれか・・・。俺が3分持つかどうかも怪しいが、セラは戻ったらこいつの相手をするのか。


 俺の願望も混じっているが、オルフェンのHPの残りは、そこ迄無いと思う。全員での攻撃が難しくとも、そこ迄討伐に時間は要さないはずだ。

 それにしてもHPが減った時の特性が、フルコースプラスアルファでくるとは・・・。範囲攻撃、ステータス向上、見た目すら変わった。範囲攻撃を使われて、どう考えても追加で死者を出してしまっていると思うが、いったい何人死んでしまったのか。


 総攻撃の時にはうちの血盟、楽園の管理者と戦乙女中心に攻撃をして、アタッカーPT達のリチャージ使いには、こちらへかけてもらう様にしよう。

 やはりレベルが高い方が、与えるダメージは大きいからな。それでもMPが尽きたら、ギンナルさんに伝えアタッカーPT達に頼もう。ギンナルさんは・・・生きているよな。

 アタッカーPT達の方を伺おうとしたら、オルフェンがまたこちらへ近づいてきた。ダメだな、今は他の事は考えないで、生き残る事を考えよう。



 先ほどと同じくオルフェンが、俺の間合いのギリギリ外で止まる。もう完全に俺の間合いを見切っているのか・・・やっかいな事だ。まだこちらから攻撃してないのにな。

 このままでは、また何かしらの攻撃が来る。何とか避けられればいいが、正直自信が無い。とは言え、こちらからこのまま近づいたらカウンターを撃たれ、躱せるとは思えん。

 俺は少しだけ後ろに下がりつつ間合いを確保し、腰のバッグに入れてあるミスリルの杖を取り出し、分解された状態から組み立てる。これで間合いも少しは伸びる。

 ただ、伸びた分の距離はオルフェンには見切られている様で、結果的に俺の間合いの外でまた止まる。この杖を使ってリーチを伸ばしても、まだオルフェンの間合いに入ってしまっている。


 杖の長さがばれない様に、腕に隠して持っているのだが、組み立てる一瞬を見ていたのか何故かバレている様だ。

 俺は腕の下に入れた杖を一歩踏み込みつつ、拳を突き出すと同時に前へ飛ばして突く。一歩出る時に、攻撃されなくて良かった。

 相手の身体の中心を突くが、半歩横へ移動し軸をずらされ躱されてしまう。正直俺の攻撃で倒せるとは思わないが、受けもせず躱すんだな。

 躱すだけで攻撃はして来ず、俺が杖を引くと同時に先ほどと同じ間合いに立たれる。


 こいつ・・・もしかして、俺で武術の訓練をしてるのか。セラと長い時間戦い、セラの受け方や捌き方、それをずっと見て覚えたのか。その上で俺からも吸収しようとしているんだな。どれだけ能力が高いんだ。

 確かに俺一人に倒される事は無いだろうし、練習相手には丁度良いのだろう。練習相手になってやる義理は無いが、時間を稼げるならそれでも良いか。

 しかし、ここでさらに学ばれたら、この後セラが戦う時に厳しくなる。手の内を見せずに時間を稼ぎたいところだが・・・そんな余裕は無いな。

 そんな事をしていたら、3分かからず殺されて終わってしまう。やるしかない。



 再度、同じ様に一歩踏み込み、腕に隠した杖を拳を突き出しつつ前へ出した。そのタイミングで、今度は手を止め一度引き、左手も使い杖で足元を薙ぎ払う。

 これにはオルフェンも少しだけだが反応が遅れ、足を入れ替え下げる事で躱そうとしたが、少しだけ杖が足をかすめた。

 フェイントは意外と有効なんだな。基本、身体能力がハイスペックな、武術の素人と言ったところか。ただ、急速に学んでいるので、この後は通用しないかもしれないが。



 3度同じ距離で対峙する。今度は杖を頭の上で回してから、片手で腕を伸ばし横殴りにする。オルフェンの顔を狙って放ったそれは、このままでは届かない。

 それはオルフェンにもバレている様で、まだ微動だにしていない。だが頭上で回しているうちにロックを外して置いたので、手首を捻れば杖を分解する事が出来る。

 分解したその分の距離が延び、オルフェンの顔に初めてクリーンヒットする。大したダメージではないが、まずは当てないと話にならないので試してみたのだ。

 オルフェンの表情は分からないが、驚いてくれたようだ。動揺したのか、一瞬身体が硬直していた。


 その隙を逃さず前へ出て、顔に杖が絡みつくと同時に懐へ入り、膝へ向け前蹴りを放つ。身長差がある為、相手の膝が俺の腹ぐらいの位置にあるので、踏みつける様に蹴れず残念だ。

 膝の少し上を押しこむ様に踵で蹴り、命中すると同時に自重を前にかけ膝を曲げ、オルフェンの膝を踏み台にして登り、伸びあがりながら肘を振り上げる。

 顎に向け放ち、相手の頭が後ろにのけぞる。俺はそのまま上方へ飛び上がり、重力を味方につけ落ちると同時に顔面を踏み抜く。


 オルフェンの身体が後ろへ傾いたところで軽く飛び、また落ちる勢いをプラスして、身体を回転させ踵を喉へ入れる。

 そのまま地面へ押し倒し、俺の足と地面で挟み込み叩きつける。オルフェンの倒れた勢いで胞子が舞い見づらくなるが気にせず、そのまま腹に手をあてがいWS(ウィンドストライク)を放つ。

 発動と同時に立ち上がり、オーラバーンをまた腹へ撃ち込む。もっと追撃を入れたかったが、オルフェンが立ち上がろうとした為、慌てて背後へ飛び退った。



 これで倒せるわけではないが、漸くまともに攻撃を当てる事が出来、倒せない相手ではないと自分に信じ込ませた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ