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オルフェンとの戦い その9

「待たせたな、オルフェン!かかってこい!!」



 セラが復帰し、気合の入った掛け声と共にヘイトを入れる。



「ディム、ありがとう!下がって休憩して、装備の入れ替えを!」


「はい、はーさん!」



 ディムに声をかけ、装備の入れ替えと休憩を伝える。セラはボロボロの状態から、既に装備を入れ替え済だ。今まで着ていた鎧や盾を見ると、良くこの状態で生き残っていたと感心する。

 装備とレベルに助けられているところはあるだろうが、やはり本人の技術と、何より気概の違いだろう。同レベルの同じ装備のソードシンガーが、ここ迄同じ様に戦えるとは思えない。

 

 日々対人訓練を好んで行い、敵に対して絶対に引かないという強い気持ち、仲間を絶対に死なせないという気持ちがあるから、今まで何とかなったんだなと改めて実感する。

 代わりにメイン盾が出来る人は現状討伐隊の中には居ないので、引き続きセラ1人に任せる事になる。心苦しいが、信じて頼らせてもらおう。



 ディムとセラが入れ替わり、ユイとレナも戻ってきた。これで早々崩れる事は無いはずだ。

 ギンナルさん率いるアタッカーPTも休憩が終わり、もうすぐ配置に着き終わる。タゲ跳ねは無いものとして、全力全開で攻撃してもらう。

 ゲームの時はHPが減ったら特殊スキルを使ってくる等はなかったが、この世界が厳しいのは嫌と言う程理解した。既に千切れた腕が眷属として復活してきてるのだ。

 ラストの腕2本は落ちる事は無いとして・・・出来る限り今の内に予想しておこう。


 ありがちなのだと、ラスト2割のHPになった瞬間に怒りモードの様な形になり、攻撃力倍増、防御力減退とかのステータス変化形だ。もしこの能力なら・・・この世界のオルフェンならば、デメリット無しに全能力向上とかになりそうだ。

 後は範囲攻撃の大ダメージを放つとか、全体にかかるデバフを使ってくるとか。超必殺技的なのがあるかもしれない。

 

 何も無いかも知れないが、あるものだとして行動する事にした。基本的に能力向上系なら、時間経過で消える事があるがそれは期待しない。死ぬ迄向上したままって事が十分あり得る。

 この場合はただ注意して、全力攻撃あるのみだ。


 もし、範囲攻撃やデバフの場合、その兆候が現れたら逃げる1択だ。どんなに凄いスキルであろうとも、有効範囲があるはずだ。

 どの程度の距離か、どんなモーションかも分からないが、遠距離攻撃組みなら全力疾走すれば範囲外迄行けるかもしれない。近接組は耐えてもらうしかないだろうから、防御姿勢を取るようにしよう。せめてもの抵抗だ。

 

 この事を全体に周知しておいた。合図があったらソードシンガーはMP消費を考えずに、足が速くなるソングオブウインドを必ず使う事。また、その為にMPを必ず確保する様に伝えた。

 盾3職と、元盾職のソードシンガー、ブレードダンサーにはその場でUD(アルティメットディフェンス)を使う様に指示する。近接で戦ってるから逃げるのは厳しいからな。それまでUDは出来るだけ使わない事もお願いした。

 

 そんなスキルや行動かあるかどうか分からないが、備えあれば患いなしだ。今までそれで何度も痛い目を見ているからな。これ以上死者を出したくない。



 少し経ち、ディムの休憩、アタッカーPTの準備が終わった様だ。



「ハガネさん、お待たせ♪こっちはいつでも良いよ!」



 ギンナルさんから、準備が整ったと声かけが入る。



「良し───それでは皆さん!先ほど御伝えしたオルフェンの行動には注意しつつ・・・全力全開で攻撃を!!」


「おぉぉぉ!!!」



 これでオルフェンを倒しきる。むしろ準備を整えて倒せない様なら、逃亡も視野に入れて考えておかなければならないな。



 15分程時間が経ち、今の所は順調に見える。プロフィットやエンチャントをかけるヒーラーには、予めMPを残す様に伝えてあるので、少し早めのエンチャント指示をハクにお願いしてある。

 

 セラに対してのメインヒーラーはユイ、レナ、俺だが、リチャージしてもらったり、俺達が早めの休憩を取る時には、他PTのヒーラーへ頼んだ。セラ以外は基本狙われてないから、ビショップのMPは余るからその分こちらに回してもらっている。

 

 もし何かあってもセラは逃げれない。その時にヒーラー0では、セラが生き残れる確率が無いに等しくなる。なので、オルフェンが今までにない、何かしらの行動を起こそうとしたら、俺はセラに駆け寄り背後に隠れる予定だ。

 女性の背中に隠れるのは、ちょっとアレだな・・・と思うところもあるが、UD有りのソードシンガーとローブを着たビショップでは防御力に差がありすぎる。

 背後に隠れて生き残り、その後セラにヒールをする。それが俺の役割だ。

 

 ハクやレナは危険だからやめた方がいいんじゃないか、と心配してくれたが、これは俺の役目だ。人を募って死地に送り込んでるんだ。その位、自分でやらないとな。

 頭の片隅には、未だに何もなければ良いと言う考えも残っているが、何もない訳ない!と必死にその考えを打ち消している。この世界は厳しい。十分に理解した。


 LA(ラストアタック)のその時まで、気を抜かない事を再度誓う。

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