狼怖い
さてさて、新装備を試しに行こうかな。Lv10になってヒールも覚えたし、今までの俺とはわけが違う!
ゴブリン3匹or狼2匹位いけるっしょ!調子に乗り過ぎない様にだけは気をつけて、Lv15を目指そう。
しかし・・・剣と魔法のファンタジー世界。
お姫様を助けたり、権力を振りかざす貴族と対峙したり、冒険活劇が待っているかと思っていたが何もないな。
日々レベル上げに森へ通い、会っているのはゴブリンだけ。
多分だけど、普通の同レベル達はPTを組んで別の場所で狩りしてるんだろうな。この森で俺以外の人間を見た事ないもん・・・。
それでも普通なら、絹を裂くような悲鳴が聞こえてきて、可愛い娘を颯爽と助けるのが鉄板でしょう。イベントの1つぐらい起きて欲しいものだ。
考えれば考える程凹んできたので、そろそろやめよう。
トボトボと、通いなれた森へ向かいだした。
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「うん、これは調子良いな」
ゴブリン2匹がサクサク倒せるぞ。
今までより倒すのが早く、防御するのも容易になった。
現在の装備は
武器 【手甲鉤】(拳につけ熊手の様に、爪がついてる物)
防具 【詠唱+のローブ上下】+【木の籠手】+【木の足甲】
以上。
どう考えても、ヒーラーの装備ではないがとても具合がいい。
このまま問題なくLv15迄はいけるだろう。
消耗品の傷薬も、ヒールを覚えたおかげで減らなくなった。これならゴールドも今まで以上に貯められそうだ。今すっからかんだしね。
「ちょっと・・・冒険しちゃおうかな!」
流石に刺激が足りなくなってきた。やはりギリギリを乗り切るのが一番楽しいのを知っているので、この安定狩りだけでは満足出来ない。
死んだらデスペナがあるので、別に自殺したわけではない。だが、このままでは楽しくない。
生きていく上で、楽しいってのは大事だからね!!冒険するぞ~!
まずは狼と戦って、その後ゴブリン+狼の複合で戦闘してみよう。
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「ウォーーーーーーン!!」
ヤバイヤバイ!!仲間呼びすぎだろ!こっちはボッチなのに!
狼を見つけ、まずは風魔法を撃ち込むまでは良かった。前に比べて精度も上がっており、木に当たる事もなくしっかりと命中させる事が出来た。
狼もゴブリンと同じ様に、攻撃を当てて反応させれば突っ込んでくるもんだと思っていた。
ところが・・・あの野郎、その場から動きもせず遠吠えですよ!気合入れて叫んだだけかと思ったら、速攻で狼が5匹増えた。
と、言う事で前回殺された狼6匹との戦闘になってしまった・・・。
今死ぬわけにはいかない。財布の中身がないのだ。これで装備を落としたら洒落にならん。
気合入れて、全滅させてやる。
「うぉぉぉぉ!」
気合を入れ叫んでみたものの、俺の仲間は現れなかった(そもそも仲間がいない)。
あっという間に円陣を組まれ、そのど真ん中に俺がいる。どうしたら、死なないかな。
同時に来られたら、何も出来ずムシャムシャされる未来が見えた。
各個撃破だな!群れのリーダーは・・・きっと、あいつだ!
正面に向かい猛然と走りこむ。驚いた顔?をした狼が一瞬怯む。そのまま接近する事に成功し、真下に向け拳を振り下ろす。
今までの裸拳とは違う。今は爪もあるのだ。先端を目に入れ、勢いそのまま地面へ叩きつける。
鳴き声もなく、光になり消えていく。これならいける。
あっけにとられた残りの狼が我に返り、ジリジリと飛び掛かれる間合いまで近づこうとしている。
リーダーっぽい狼を真っ先に潰したのが功を奏したのか、恐怖心が生まれたのか中々襲い掛かって来ない。これはチャンスだ!
先ほどと同じく正面に行くのではなく、大きくバックステップし背後を狙ってたやつへ近づき、沈み込むと同時に水面蹴りを叩き込む。
手(前足?)を2本とも刈り取った為、顎を地面にぶつける事になった狼に、そのままもう一回転し逆足で顔面に追撃。足甲最高!クリティカルでも出たのか、1撃で2匹目も何とかなった。
立ち上がりつつ詠唱し、右手の奴へ風魔法を放ち結果を見ず左前へ。勢いをつけ胴廻し回転蹴りを見舞う。こいつらはやはり、背が低すぎる。使える技がどうしても限られる。
上手く脳天へ直撃し、一撃で光となり消えていった。これもクリティカルだな。これだけ連続してクリティカルが出るとは最高に運が良い!やはり女神様が俺にはついているのかもしれない!
だけど、6匹に囲まれている時点で運が良いなどと言えるのだろうか・・・。そんな事を考えている場合じゃなかった。
後3匹!
流石に狼もやられっぱなしではなかった。右のももに激痛が走る。
「ぐっ!」
見事に防具が無い所へ噛みつきやがって・・・堪らず肘を落とす。直ぐに口が離せなかったようで脳天に直撃する。口を開け離れた所へ、逆手で顔面へ一撃。地面を転がってる所に魔法で追撃。後2匹!!
だったのだが…右足をやられ動きが鈍ってる所に、残りの2匹が噛みついてきた。今度は左脚の太ももと右腕の付け根だ。先ほどのを見ていたせいか、足に噛みついてる奴に肘を落とすもかわされる。右腕の奴は口を外し距離をとった。
これはまずい。ヒールを使いたいが、その間に飛び掛かってきそうだ。少しの間睨みあってると
「ギィーー!!」
噓でしょ!追加のゴブリンが2匹現れた。
またデスペナ確定なのかな・・・。