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フェアリーの谷で遭遇

 2日かけ、再度フェアリーの谷に到着した。

 上手くいけば5日かからず、3~4日位でレベルが上がり町に戻れるかもしれないな。

 谷の入り口でエンチャントをして、奥へ向かう。入り口のユニコーンだけより、パンルエムを狩った方が効率良いし。


 

 前回狩りをした場所へ向かったところ、先客が居た。他PTが俺たちと同じ様に窪地に陣取り、狩りをしていた。

 おぉ・・・見目麗しい女性しかいないPTか。遠目だが綺麗な人達というのは分かる。あまり近寄って邪魔をするのは良くないので、別の場所を探そうと提案し移動する事にした。

 しかし、2PT分の16~18人位かな?女性のみとは珍しい。まぁ男なんていない方が、色んな意味でトラブルが無くて良いかもしれないな。


 その場を離れ丁度良い場所を皆で探す。窪地が狭すぎると戦いにくいからなぁ。良い場所があると良いけど。

 そんな事を考えつつうろついていると、突然女性の悲鳴が聞こえた。

 ハクと目を合わすと、ハクは頷いてくれた。



「ワニ、セラ先行。ディム最後尾を頼む」



 セラがソングオブウインドを使い、ワニと共に凄い速度で駆けて行く。方角的には先ほど見かけたPTだな。

 俺たちも2人に遅れつつ追いかける。道中の魔物は先ほど倒したばかりなので、1匹もまだ湧いておらず助かった。

 ワニ達の後ろに俺、ミラ、リース。その後ろにハク、リカ、ユイが続き、最後尾にディムの順番になっている。

 前に戦力を集中しすぎると、後ろから襲われた時にひどい目に遭うので、リカとディムに後方の守りへ入ってもらっている。



 ワニとセラはあっと言う間に見えなくなってしまったが、少し走ると二人とも草むらに身を隠し、先ほどの狩場である窪地を覗いている。

 ハンドシグナルという程大層なものではないが、こういった時に声を出さなくても最低限コミュニケーションが取れる様には決めてある。

 ワニからの指示は伏せだ。取り敢えず、俺たちはワニから距離のある場所で伏せる。隠れるって事は・・・魔物じゃないのか。



 ワニがしゃがんだまま草むらから少し進み、また戻ってきてこちらを見る。

 どうやら7人いる様だ。きっとPKだな。だが先ほどの窪地で狩りをしているPTは2PTも居たのに、7人でPKが襲うかな・・・PKPTだって流石にこのレベル帯になってくると、エンチャント無しじゃキツイだろ。

 なので、バッファーが1人居たら、他の攻撃職とかは6人だけだ。流石に2PTを襲うとは思えないが・・・。

 もっとよく考えてから行動を起こしたいが、先ほどの悲鳴とワニの顔を見る限り、今現在も襲撃を受けているのだろう。助けるなら急がないといけない。

 さ、どうするか。


 薄情だと思うかもしれないが、助けに入ってうちのPTの誰かが死ぬなら、俺は助けないと判断する。PKPTや魔物が多すぎたり、レベルが上過ぎたら助けに入っても共倒れするだけだ。

 気持ちの面ではもちろん助けたいとも思うが、俺は助けられない人なら諦める。俺一人の判断が、PTメンバーを殺す事になるからだ。

 他の皆に現状の場所で待つように伝え、俺もコソコソとワニとセラの場所まで行く。覗いてみると───既に事切れてる女性が何人かいる。ワニの厳しい表情の理由が分かった。良く飛び出さず我慢したな。

 

 PKPTはワニの言う様に7人だ。ヒューマンメイジが2とヒューマンファイター5人だな。短剣と弓の混成アタッカーか?それと、プロフィット1とソーサラー1かな。

 装備を見る限り、Bグレード装備とCグレード装備が半々だな。装備だけの判断なら、うちと同じくらいのレベル帯か。それであの2PTに襲いかかるかな・・・。

 何度かPKPTと戦って分かったが、奇襲がとても有利だと言う事と、きっとこの世界の冒険者は対人戦にそこ迄慣れていない。

 護衛依頼は有るが、基本的に戦うのは盗賊もしくは山賊位だろう。それ以外には俺も出会って居ない。あいつらはあくまでも自分達より弱い商人を狙うか、護衛に対して倍以上の人数が確保出来た時だけ襲ってるような気がする。

 個々の力は間違いなく盗賊より冒険者が上だ。対人戦が強くて護衛が出来たというよりも、単純にステータスやレベルが冒険者側の方が上だから護衛が出来てると思う。


 それに対しPKは同職の同レベル帯だった場合、冒険者そのものを襲う為に日々鍛えてるから、PKの方が勝つ可能性は高い。

 そう考えても、勝つのが前提で襲い掛かるPKPTが、倍以上人数の居るPTを襲うかな。せめてフルPTとかじゃなきゃ、後々反撃受けて負ける可能性が高いと思うんだが。

 単純に目の前の敵しかいないのなら、こちらからPKPTを奇襲。うちのPTは対人戦も慣れているので負ける事は無い。だが、少し気になるのでPTを分けてから助けに行く事にした。



「ワニ、リカ、ユイは時間がかかっても良いから、崖上に回ってそこから援護する形で来てくれ。一応ワニを先頭に伏兵へ注意を。万が一居た場合は、そちらの排除を優先で」


「分かりました。では後ほど。リカさん、ユイさん行きましょう」



 そう言うと、ワニは直ぐに二人を引き連れ見えなくなる。警戒しすぎてるかもしれないが、万が一上から襲われたら堪らない。

 だが、3人が崖上に回り込むのを待っていたら死者が増えてしまう。時間を稼がないと。



「セラ、ディム、危険だが俺と敵の正面へ来てくれ。ハク、ミラ、リースはハクを挟むように隊列を組んで、俺の合図がある迄直ぐ飛び出せる様な位置で待っててくれ」


「はい!ハガネさん、セラさん、ディムさん、お気をつけて」


「ああ、ありがとう」



 セラとディムなら早々一撃死とはならないので、2人だけを連れPKPTの所へ向かった。

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