ファンタジー=エール
死んだ事とデスペナで籠手を失った事で忘れていたが、死んでも生き返ったな・・・。神父様も何も言ってなかったし、そこら辺はゲームと同じなのかね?まぁ同じじゃなかったら、こうして村を歩くことも神父様へ愚痴る事も出来なかったな。これに関してはありがたい事だと神か何かに感謝しておかねば!
気持ちを切り替え、異世界初の宿屋へやって参りました。
ちゃんと宿代の300ゴールドも準備済ですよ!
西部劇?とかで良く見る、左右のドアがパタパタするの(ウェスタンドアだか、スイングドア)を通り、中へ入る。
「いらっしゃいませ~!!」
両手に木のジョッキの様な物を持ったおばちゃんが、元気良く歓迎の意を示してくれる。
いいね~。居酒屋を思い出す。
どうやら、宿屋件酒場の様だ。
この村では、良くある冒険者ギルドがない。なので、テンプレの先輩冒険者に絡まれつつ、美人な受付嬢と仲良くなる事も出来なそうだ。
ここに来てから話した女性といえば、防具屋のおばちゃん位だ。せめて看板娘が欲しいなぁ。
見渡すと、ソロの人が多い。始まりの村だから、PTはそんなに組まないのが普通なのか?
だけど、ウサギだけなら良いが、森でソロは無理な気がしてきた。神父様もPT推奨してたしな。
ちゃんと装備してるファイターだって、狼6匹とかどうしようもないんじゃないかな。俺の運が悪すぎただけなのか・・・。
そこんとこを、聞き込みしてみよう、
「今晩は~。一杯御馳走するので、相席してもよろしいでしょうか?」
「おぉ、別に構わないよ」
「ありがとうございます。おばちゃ~ん、エール2つお願い!」
「あいよ~」
本当は若い娘と相席したいが、今はナンパしてる場合ではない。
見た感じは、同い年位のファイター(男)っぽい人の席に着く。
今日泊まったら、明日の宿代はもう無いのだ。ちゃんと稼げるよう、色々聞かねば。
因みに、この世界はお酒、煙草等、年齢制限はないようだ。
「で、見た所・・・メイジっぽいけど、初期装備か。何も準備せず、ここへ来たのか?」
「はい、とりあえずやってみる!を信条としてるので」
「行動的なのはいいけどさ、死んだら終わりだよ」
「まぁその時は・・・気合入れてやり直します」
「いやいや。死んだらやり直すも何もないでしょ。教会へ運んでもらえれば綺麗に死ねるけど、大体はそのままだからグールになるぐらいだろ」
「え・・・、クレリックとか神父様とか復活の魔法使えますよね?」
「ははっ、それは英雄譚とかにのってる話しだよね。クレリックより上の職業になって、さらに執念で経験を積めば・・・使える人もいるのかもね」
どういう事だ・・・。今の話しだと復活魔法など、夢の魔法のようだ。
え・・・でも俺、狼に喰われて死んだよ?デスペナは受けたけど、ちゃんと教会で復活出来た。
神父さんも何も言って無かったし。でも、ゲームの時は、最寄りの村で復活してたな。なんで教会なんだろう。
もしかして、この復活がチート的なやつか?それなら凄い能力だぞ。神父さんすら疑問に思わないとか。
でも、PT組んで俺だけ死んで教会へ戻る→失意のPTメンバーが村へ戻ると、平然としてるメイジ→大騒ぎ、だな。
良い結果なら、PTメンバーも神父さんと同じで、俺が復活しても疑問に思わないかも。だけど、怖くて試せないな。
とりあえず、誤魔化そう。頭のおかしい奴だと思われてしまう。
「それなら、いつか私が使えるようになってみせますよ!」
「夢は大きくか・・・いいと思うよ。その前に、装備なんとかしないとな」
「全くですね」
少し呆れられたものの、こうして人と話す事が出来、良い情報も手に入れた。
狼6匹の話しをしたかったが、死んだのがばれそうだから今はやめておこう。
暫くはゴールドを稼いで、装備一式購入。その後また森に挑戦だな!!
まだまだ情報が必要だが、明日からの冒険に備えて今日はもう寝よう。
ウサギ狩りだけなら、ソロでも問題はないだろう。
ここから鬼のウサギ狩りタイムが始まるのだった。