表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
121/200

束の間の休日

 翌日、昼過ぎに俺は目覚めた。頭はガンガンするし、気持ち悪い。が、精神的な面では少しだけ復活する事が出来た。

 少しぼーっとしてから起き上がり、タライの水で顔を洗って着替え食堂へ降りた。

 腹が特に減っている訳ではないが、何か食べなければ活力は出てこない。硬い黒パンとシチューの様なものを食べる。

 もっと塩気があると良いんだが、やっぱり塩は高いのかね。俺の商才は無いと思われるので、誰かに普及は任そう。

 

 食べ終わって、取り敢えず外へ出る。室内へずっといたら、多分残りの休日も出かけない。気持ち的には引きこもりたい気分ではあるのだ。

 だが、PTメンバーの補充をしなければ。とても薄情だが、人が居なければ狩りはし辛い。これからも俺たちは生き続けないとダメだけだから狩りは必要だ。

 それこそ3人の分迄生き続け、新しく加入するであろうメンバーを守らなくては。


 と、気合を入れたが、正直そんな気分ではない。当てもなく、城下町をふらふらと歩く。

 昼を過ぎているからか、冒険者の姿は少ない。町を歩いているのは、一般の人ばかりだ。この状態では勧誘も難しい気がする。

 だけど、俺、ハク、ワニ、セラ、リカ、ディム、ユイ。の7人PTでは行けたとして、1PT推奨の国立墓地が良い所だ。

 別にそこが悪い訳ではないが、どうせなら2PT推奨のフェアリーの谷へ行ってみたい。別にまた危険を冒すためではなく、ゲームだととても綺麗な場所だったのだ。

 胞子の海であそこ迄感動出来るなら、幻想的なフェアリーの谷なら感動間違い無しだ。皆の気分が落ちている時に、死を連想させる国立墓地には行きたくない。


 せめて後2人、リチャージ使いorヒーラー1と物理or魔法アタッカー1を入れ、9人フルPTで行きたい。

 フルPTで狩場に入って直ぐの場所なら、そこ迄危険もないだろう。フェアリーの谷ならレイドボスも居ないし、あんな目にあう事はもうないと思いたい。

 フェアリーの谷の魔物は妖精や精霊、ユニコーンがメインだが、パンルエム・・・だっけな?二足歩行の山羊だか羊だかが武器を持った変なのも居たな。

 戦いやすいかは微妙な場所で、谷なので道幅も狭い。挟撃されない様に後方へ注意し、常に前方に魔物を置いておけば早々事故も起こらない。

 後はメンバーを増やせれば、狩りにはいける。そこでもBグレのレベル迄上げれると思うので、行く方向で考えよう。



 こんな事を仲間を失って数日も立たないうちに考えていると、どれだけ俺は薄情な人間なのかと自己嫌悪する。それでも続けて行くしか俺に道はない。

 薄情でも何でも良いから気持ちを切り替えよう。こんな調子で準備して狩場へ入ったら、また仲間を殺してしまうかもしれない。

 それにいつ死ぬかも分からない身だ。言うべき事は、全て伝えていこう。それで俺が嫌われたり軽蔑されたらそれまでだ。後悔しない生き方をし、ファンタジーを楽しもう!!




 そうと決まれば一人でふらついてる場合じゃない!何で連休の昼間に、男一人でふらふらしなきゃならんのだ。PTメンバーのフォローも含め、誰かと出かけよう。

 町中の散策ついでに、新しいPTメンバーを探したって良い。何にしても無駄にふらついてなければ、意味はあるだろう。


 未来のPTメンバーか、現PTメンバーを探しつつ、結局1人でふらつく男がそこには居た。



 オープンカフェ?とでも言うのか、路面に面した喫茶店の様な店が、路上にテーブルを出しそこでお茶を提供している。

 ざっと見渡す限り、女性のお客さんが多い様だ。中にはうちのPTと同じく休暇なのか、ぱっと見冒険者風の女性グループも居る。

 服装とかは一般の人と変わらないのだが、やっぱり雰囲気が全然違うな。特にファイター系の人達は、常に周りへ気を配っている気配を感じる。メイジ系の人達は・・・あまり分からないな。

 そんな中負のオーラを放ちつつ、常に周りを探っている様な3人組が居た。エルフの女性が2人と、ダークエルフの女性が1人だ。

 エルフの1人はメイジ系だな。鋭い感じがあまりしない。冒険者である事は間違いなさそうなので、ナンパ───ではなく、勧誘でもしてみようかな。ぱっと見3人共綺麗な雰囲気だし。


 少し近づいて声をかけようとしたところで、俺は固まる・・・セラ、リカ、ディムじゃないか。身内を勧誘してどうするんだ。しかし、やっぱり皆綺麗なんだな。これだけ人が居る中から目を惹かれた。



「3人でお茶かな」


「あ、はーさん・・・。そうだよ」


「ハガネも良かったら座ってくれ」


「これからどうしようかって、話してたの」



 ディム、セラ、リカと返事をくれる。やっぱり当たり前だが、元気がないな。こんな調子じゃ狩りなんて行ったら危なすぎる。

 少し強引だけど・・・皆に元気になってもらいたいから、お誘いしてみようかな。自惚れじゃないと良いけど。



「あのさ、こんな時にアレなんだけど。4人でデートしないか?」



 3人共驚き、固まっている。そりゃそうだよね。このタイミングに言う事じゃない。



「色々思う所はあるけど、前を見て進みたいと思ってるんだ。だから、もし良ければどうだろう」



 3人は顔を見合わせ、小声で相談を始めた。

 目の前に居るから、丸聞こえなんですけど・・・。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ