デスペナは悲しい
転生した俺には、未来予知の力が備わっていたようだ。
前に言ったよね?デスペナ喰らうと、アイテムドロップがあるって。
実は、アイテムドロップの確率は100%ではない。ただ、かなりの高確率だった。
なので、0個~1個以上のドロップがあり、最高3個落とした事もあった。
正直、高価な装備を3個も落としたら、ほぼ引退確定ですよ。
なので、アイテムドロップは、未来予知の力で分かってました!
嘘です。ただの強がりです。まぁそんな力が本当にあったら、森になんか行かなかったよ・・・。
「木の籠手が手元から無くなっておりましたぁ!!」
俺は、思いの丈を声に出した。出てしまった。
メンタルをやられたようだ。
神父様が驚いていた。そらそうだ、目の前で叫ぶんだもの。驚きますよね。
「・・・ハガネよ、まだ新たな狩場でソロは、厳しかったのでは?」
聞いたのは俺だけど、Lv5のメイジに教えたのはあんたじゃないか!!!
完全に八つ当たりだが、俺の名前を知ってる知り合いなど、他にいない。
神父なんだから、愚痴位聞いてくれるはず。懺悔室とかあるし。ぶちまけよう。
「神父様・・・ウサギ如きじゃ、先ほど迄の私はレベルが中々上がりません。今の私はレベルダウンしてるはずなので、またウサギでいいですけどね…。ですので、新狩場へ向かいました。時間も無いし、1匹だけ狩って帰れば大丈夫だ、と。ところがですよ、ゴブリン一匹に大けがですよ!!魔法があれば余裕と考えてましたが、森の中じゃ当たらないし!結果、べったりくっついて唱えましたよ。ローブを着てないから、詠唱も遅いし。何とか大けがをしながらもそいつは倒しました。倒せなきゃ死にますからね!でも・・・その後、6匹の狼ですよ。おかしいでしょ、いきなり。一応戦おうとはしましたよ。ただねぇ・・・私素手なんです。ゴブリンにやられて、左手も動きません。接近されたら死ぬので、魔法使うしかなかったんです・・・。だけど無理!明らかに無理だった!!だって、一匹ずつこないもん!!!いきなり右足と、動かない左手に同時攻撃ですよ!いいですよね、仲間がいる狼は。私なんてメイジになってから、ずっとボッチ!・・・まぁ、そこは今はいいんです。右足、左手に同時に噛みつかれ、バランスを崩し仰向けになった所で、喉に喰いつかれ終わりました。全く話になりませんでした」
この世界で、初の長セリフが死んだ愚痴って・・・。でも、言わずにはいられなかった。
お陰様で、大分スッキリしたぞ!!
「ん・・・何故メイジ一人で、森へ?私はPTで行くと思い、話したのですが。説明が足らず、申し訳御座いません」
「いえ、神父様が謝る事では御座いませんよ。仲間のいない私のせいですので・・・」
「で、あれば・・・始まりの村で仲間を探すと良いかと」
「はい、探してみます。ありがとうございます、心が軽くなりました!」
「良き出会いが、あらんことを」
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とても軽やかな気分だ。今まで溜まってたものがなくなった!
仲間を探しに行く前に、気持ちを切り替え草原で魔法無双しよう!
森の中じゃ思うように使えなかったので、楽しみになってきた♪ウサギは元々一撃だから、魔法の必要性はないんだけどね。
「ウィンドストライク!!」
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しかし、何も起こらかった。
一瞬で悲しい気持ちになった。
ウサギは結局素手で殺した。
あぁ・・・デスペナでLv4に下がってスキルが使えなくなったのね。そういう厳しいルールはしっかり引き継がれてるのかぁ。
スキルを会得したレベルより下がった場合、そのスキルは使えなくなる。ただ、基本的にいきなり2~3レベル下がるとかはあり得ないので、LvUPした直後位なのだ、使えなくなるのは。
すっかり忘れていた。
だから普通だとLv上がりたてで、死ぬかも知れない新狩場へはいかず、スキルを覚え多少なりとも経験値を稼いでから、次の狩り場へ向かうのが常識だ。こんな基本的な事を忘れているとは。
やっぱり、20年近く昔のゲームの詳細まで覚えてないよな。やってた頃は、事細かに覚えてたんだけどなぁ。
今後も踏まえ、まずは宿に泊まり現状確認をしよう。
トボトボと、始まりの村へ向け歩き出した。
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