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戦略的撤退

 このままではどうにもならないので、何か違う事を言わないと。しかし、相変わらずワニは我関せずだな。ちょっと助けてもらうか。

 目で一生懸命ワニに訴えてから、尋ねる事にした。



「ワニ、レイがPTに参加してくれようとしてるんだが、どうだろうか」


「良いと思いますよ。特に反対意見はありませんので」



 当たり障りのない返答を・・・色々分かっててその返答だな。まぁ煽って来ないだけまだましか。

 ヤバイ、そう言えばレイの職業とか知らないぞ。どう見てもファイター系じゃないよな。



「レイさんは何の職業なの?私と同じスペルシンガー?」


「いえ、私はエルダーです。そう言えば、ハガネさんに職業を御伝えしてませんね」


「そ~なんだ?はーさんは職も関係無しに誘ったんだ。へぇ~」



 あれ、リカ迄怖くなった。いや、俺まだお誘いしてないんですよ、リカさん。でもこの場でそんな事を今更言う訳にもいかない。



「えっと、レイのPT参加には誰も反対意見無しだね。これで10人になるから、今後は5人、5人の2PTで狩りを行う形をとろうと思う」



 とりあえず有耶無耶にして、狩りやPT関連の話へ移行することにした。



「あの、私は伴侶候補で良いんです・・・わっ!」



 レイがとんでもない事を発言しようとしたので、思わず手で口を塞いでしまった。それはまだいい。

 だが席順的に良くなかった。俺の左隣にはハク。右隣にはアリア。で、アリアの右隣にレイが座ってる。慌てて左手で口を塞いだ為、アリアに抱き着くような形で手を伸ばし、レイの口を塞いだのだ。



「ハガネさん・・・人前でこれはちょっと恥ずかしいわ」



 アリアも平静を装ってるが、顔がかなり赤くなっており、目を合わせてくれない。アリアとこんなに近くなった事は・・・ないな。やっぱり綺麗だよな。

 赤みがかったロングヘアと赤目が変わらず綺麗だ。今は顔も赤い。まつ毛長いな・・・少しだけ俺よりも年上だからいつもお姉さんっぽく振る舞ってるけど、照れている時は可愛らしい。

 あ、アリアがこっちを向いて目が合った。いつもだったらすぐ止めるハクは相変わらずふわふわしている。お互い見つめ合っていると、後頭部に何かぶつかった。



「ちょっと・・・はーさん少しは自重して」



 目の前に座って居たリカから、木のスプーンを投げられた様だ。リカも以前同じ様な状況になっていたのに、これはダメなのね。周りを見渡せば、呆れた顔と怒った様な顔しか見当たらない。

 ごめんなさい・・・以後厳重に注意致します。


 気を取り直して、皆へ残り3日のうちに準備を整える様に伝え、食事をサっと終え逃げる様に宿へ先に帰った。



 翌朝目覚めてから特にやる事が無いので、早朝の鍛錬を終えて何処へ行こうか考えていたら、同じく鍛錬をしていたであろうセラに声をかけられた。

 俺から聞いた武具屋に今日行くから、一緒に行かないか?との事。否は無いので承諾し汗を拭いてから出かける事にした。

 少し驚いた事があった。セラが鎧ではなく、白いワンピースの様な服を来て宿から出てきた。これは・・・凄い似合うな。

 元々スタイルが良いのもあり、足を惜しげもなく出しているのが素晴らしい。武道を嗜んでいるからか、背筋もピッと伸びて格好良くもある。



「良いね、セラ。とっても似合ってるよ。普段の鎧姿も好きだけど、たまにはそういう格好もこれからは見てみたいな」


「そ、そうか。ではそうしよう」



 セラが照れてる・・・戦闘狂のイメージが強いけど、やっぱり年頃の女性だよね。とても可愛いと思います!



 2人で他愛のない話しをしつつ、俺の装備を購入した変わり者・・・職人気質なドワっ娘がいる武具屋に到着した。相変わらず鍵は開いてるのに、カウンターにも店内にも誰も見当たらない。

 商売する気があるんだかないんだか、よく分からん店だよな。



「お早う!また来たよ!」



 大き目の声でそう言うと、ドワっ娘がめんどくさそうに出てきた。もうちょっと接客業の何たるかを学んで欲しい。



「ん、またあんたか。今度は何しにきたんだい」


「今日は俺のじゃなくて、PTメンバーの装備を買いに来たんだよ。シンガーなんだけど、良いのあるかな」



 それを聞いてセラを一瞥すると、何も言わずに店の奥へ行ってしまった。このドワっ娘、見た目は子供だけど実年齢はかなり俺より上だろうな。怖いから聞かないけど。

 

 シンガーに良い装備と言えば片手剣、盾、重装備だ。ダンサーと違って武器の縛りはない。

 ダンサーの場合、ブレードダンサーという職業の名前にふさわしく、刀二刀流でないと踊りのスキルが使用出来ない。他スキルも基本的に二刀流前提のスキルばかりなので、武器の選択肢は狭い。


 その点ソードシンガーは何を装備しても良い。それこそ高いクリティカル率をあてにして弓装備をし、最初は遠距離から魔物のHPを削り、その後武器を持ち替えて戦う人もいる。

 ただ、元タンカーで盾スキルもある為、基本的には片手武器+盾装備のシンガーが多い。セラも今はそういった装備だ。

 うちのPTメンバーの装備に関しては、ワニ以外のメンバーは俺のアドバイスで装備を決めている。責任重大ではあるが、馬鹿みたいにはまっていたゲームの世界だ。そういった所は自信を持って勧められる。

 さて、どんな装備を持ってきてくれるかな?

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