表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/39

第11話 森の驚異

 鐘の音が告げる旅立ちの始まり。そんなカッコ良く物語は始まらない。俺が崖の下にいると、それを分かってなのか、崖の上から巨大な魔物の頭部が降ってくる。


(ご主人様、次は右から)


「ああ、クオン。分かったよ」


 崖の高さが十分にあり、クオンもルークも降ってくる魔物の頭部を見つけてくれるので、余裕をもって躱せる。


 ドゴンッという衝撃音と共に、周囲に撒き散らされる土や石を、マジックシールドで防ぐ。


「やっぱり、俺を狙ってるのか?」


(そうかもしれない)


 土煙が収まると、今度は恨めしそうな目で見てくる巨大な鳥の頭。


「なんだよ、そんな目で見るな。俺のせいじゃないだろ」


 言葉なんて通じるわけがないが、俺の言葉を聞いて鳥頭は消滅を始める。流石に俺が深く関係している気がして、崖から離れて森の中に入ると魔物の頭部も降ってこなくなる。


 再び草むらに入れば、魔物が降ってくる。


「やっぱり、原因は俺か!」


(うん、そうみたい)


 そうなれば俺がとれる行動の選択肢は少ない。祠の謎を解くために崖を調べたり、ましてや崖の上を登ろうなんて選択肢はない。ゴブリンとですら戦うことに躊躇ってしまうのに、俺の身長よりも大きい頭部の魔物に挑めるわけがない。それに、降ってくるのは、やられた方の魔物だ···。


「じゃあ、森の奥を目指すしかないな」


 崖に背を向けて、森の奥を目指す。森の木々や湖に向かった方が、ここよりは精霊は多いはず。旅の始まりから消去法でネガティブな選択ではあるが、もっとも合理的で効率の良い方法だと言い聞かせる。


 しかし、現実は非情で厳しい。最初に俺の前に立ち塞がったのは、地表にまではみ出した巨木の根。複雑に絡み合い、地下だけでは収まらず、小さな壁を築いている。まだ洞穴の中の方が、起伏は少なく移動しやすかった。


(あれに近付いちゃダメ)


 隆起した根の上を辿ると、1本だけポツンと立つ巨木が見えてくる。木の根からみると、そこまで巨大ではないが周囲には他の木々がなく、日の光を独している。


「近付いたら、どうなるんだ?」


(あれはアモンの木。木の実が爆発するの?)


「ああ、弾けて種を飛ばす種類の木だな」


(うん、動くものを感知してを全てを破壊するから、周りには何もなくなる。だから、あの木には近付いちゃダメ)


「そっ、そんなに凄い破壊力なのか。なるべく避けて通るよ」


 想像を遥かに越えてくるアモン木を横目に、大きく迂回しようとすると、今度は鬱蒼と繁った異世界の植物。かなりの密度で茂り、獣道すら見当たらない。


 軽くショートソードでなぎ払ってみるが、数本の茎が折れただけで、刈り取ることは出来ない。


「ダメか、俺のショートソードじゃ歯が立たない」


 影からクオンが出てきて、軽くネコパンチを見せると、1m先までの道が開けてしまう。それを見たカンテも、負けじと体から雷を放つ。バチッと音がして、草が弾け飛ぶが、クオンの半分までもいかない。まざまざと人間と精霊の違いを見せつけられるが、それでも道は開かれている。


「危ない、下がって!」


 だが、クオンから出た言葉は違う。


「何が危ないんだ。これなら少しずつでも前に進めるだろ?」


「この花には近付いちゃダメ」


 近付いてはいけないのは、アモンの木だけではない。分かりにくいが、良く見れば茎と同じ色の花が咲いている。


「この緑の小さい花が危ないのか?」


「そう、これはマーノの花。森の中でも、最強の毒を持ってる。触れただけでも危険」


 俺が知らずに迂闊に進めば、花に触れている。最悪の想像をして、背中に冷たいものが流れる。


「マーノの花は、どれくらいの毒の強さなんだ?」


「熊くらいなら即死」


 異世界の熊がどんな大きさか分からないし、せめてアライグマサイズであって欲しいと願ってしまう。


「でもご主人様には、精霊の魔力が混ざってるから大丈夫。簡単には死なない」


「でも可能性は否定出来ないんだろ?」


「きっと、大丈夫」


 クオンは大丈夫と言うが、クオンは俺の影の中でウィスプは空を飛ぶ。実際に徒歩で森の中を歩く俺だけが、マーノの花の驚異にさらされる。まさか、こんな直ぐに挫けそうになるとは思わなかった。それでも、森からの出口を探して丸1日歩き続けるが、森の奥へは全く進めていない。


(どうするの?)


 流石に、森の奥に全く進めてい状況に不安になったのか、クオンが影の中から聞いてくる。


「大丈夫だ、方法がある。これなら行けるはず!」


 ただ、森の中を歩いていただけじゃない。不眠不休で試行錯誤を続けた結果、打開策が見えている。何にでも必死になって取り組めば、それなりに順応出来る。人間の最も優れているところは、どんな環境にも順応出来るところだと、何処かの偉いさんが言っていた言葉を思い出す。


 サークルシールドを2枚展開して、足元に並べる。


「何をするの?」


 俺のやろうとして事が気になり、クオンが影から頭を覗かせて、マジックシールドを凝視している。


「まあ、見ててくれ」


 マジックシールドに、それぞれの足を載せると、俺の体は宙に浮き始める。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ