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ドォルト編7

「んで?お喋りしてくれるんでしょ?」

「はいそれはもうよろこんで!」


二人はとりあえず、雰囲気の良さそうなカフェで腰を落ち着けた。レンはアイスコーヒーを、そしてへーネスはなにやら甘ったるそうなホイップクリームをこれでもかと乗せたアイスココアを頼んでいた。どう見てもぬいぐるみなのに、飲み食いができるのにはツッコむまい。


「というか、今更疑問なんだけどなんで俺字読めんの?さっきメニュー見た時ビックリしたんだけど」


一所懸命にクリームを頬張るへーネスを胡乱な目で見ながらレンは質問を始める。


「!ああそれはねぇ、勇者なんかもそうなんだけど、召喚の時にこっちの世界の言語パッチをインストールされるのねぇ。それで元の言語に自動翻訳されるんだよぉ。神仕様だからエキサイト翻訳じゃないのが売りかなぁ。ちなみにぃ、召喚者はベースが地球人のままだけど、君はOSから僕仕様になってるんだぁ」

「ああ、やっぱ仕様なんだな」


ペルソナタブレットを取り出して弄ってみると、やっぱり言葉は地球では見たことが無いものだった。


「つーか俺はOSから書き換わってんのかよ」

「言ったでしょぉ?レンは僕の使徒だよ〜ってぇ」


嬉しそうに言うへーネスがマジでキモい。

それは置いておくとして。


「んじゃさあ、そもそもなんで勇者召喚なんてしてんの?いやまあ今回みたいな事態は分かるよ?けど滅多に無いって」

「うんまあ、問題はそれなんだよねぇ……」


そう言うと、へーネスの雰囲気がどことなく真剣になる。


「僕が世界をいくつか管理してるって言ったのは覚えてるぅ?」

「あー、まあ」

「うん、それで今現在4つの世界を管理してるのねぇ。それでそれぞれの世界には僕の代理を派遣してるのねぇ。ここだとドォルトだねぇ。だけど、ここ最近、えっとぉ、一万年前位からかなぁ」

「一万年前って最近なの?」

「僕ら的にはねぇ。えっとぉ、その位からその、代理の子の一人が反抗期?みたいなぁ……」

「は、反抗期ぃ?神が反抗期て!ま、まあ続けて」


神の反抗期ってどんなだよお前が創って管理してるんじゃねえのかよ、とツッコみたい気持ちをグッと抑えたレンは続きを促す。


「まあほら、プログラムでもAIでもあるでしょ?最初上手くいってたと思ったら途中からエラー吐いちゃったり、習得知識が偏っちゃったりぃ。プログラマのミスだったり外部的な要因だったりあると思うけどぉ、要はテスト状態で運用始めちゃった世界が一つ目の世界だったんだけどぉ……。後から修正できるかなって思ってとりあえず様子見してその後3つ創ったのねぇ。それがまぁ、ダメだったよねぇ!(笑)」

「え、お前、笑えるとこ無いけど」


何言ってんだコイツ、マジでヤベェ奴過ぎるでしょ、とレンは思いながら、あまりにもヤベェ奴過ぎて絶句しかできない。ゾッとしすぎて鳥肌が止まない。


「いやまぁ、すごく反省したんだよぉ、そのせいで他の子たちに迷惑かかっちゃってねぇ。その一番目の子がねぇ、僕が指示してない生命体を生み出して他の世界に送り込んだりしてちょっかいかけるようになっちゃったのねぇ」

「侵略行為的なことかよ……」

「そう!まさにそうなのぉ!特にここがね、一番発展してるのが気に食わないってよくちょっかいかけてきてねぇ」

「つまり今までの勇者召喚はその侵略者に対する措置だったと」

「そうなんだよぉ。一万年位前に一番最初の嫌がらせがあったんだけどねぇ、人間じゃどうしようもないからドォルト本人が排除することにしたんだけどぉ、あの子世界を安定的に運用する事には長けてるんだけど、力の行使は苦手でねぇ。制限をミスっちゃってドカン、とぉ。これがまあ、一番最初の大災害なんだぁ」

「…………」


こんなの、麗らかな陽射しの差し込むお洒落なカフェで聞く話じゃないだろと、思わずにはいられないレンであった。

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