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ドォルト編4

ドサッ!!!!


ソイツは叫んだかと思うと急に糸が切れた様に倒れ込んだ。


「えっ、何この子ぉ〜、レンを知ってるみたいだったけど知り合い〜?」

「いや、違うけどよくある事だ。気にするな」


大方俺のファンだろう。日本でもよくあった現象だ。


「よくあるって、えぇ〜……」


だがどうやらへーネスでもこれにはドン引きらしい。いや、この場にいる俺以外はこの状況に付いていけていない。


「…………ハッ!健吾!?健吾!!どうした!?しっかりしろ!!!!」


模擬戦をしていた中の一人がソイツに駆け寄って介抱する。健吾と呼ばれたソイツは実に幸せそうな顔をして気絶していた。


「え、ええと、それで皆様はどうしてこちらに?」


最初に教皇さんに声をかけた男性がようやく本題を切り出す。俺等を紹介したところで健吾が発狂したんだったな。


「あ、ああ、実は……」


教皇さんは大災害の発生を俺が何とかできること、俺の魔法の練習がてら顔合わせに来たことを説明する。大災害の件を俺が受け持つと聞くと、気絶したままの健吾を除く全員が安堵の表情を見せた。


「そうなのですか!ありがとうございます、使徒様が赴かれるということであればこれ以上に無く心強いですね!」

「皆この事態に不安を募らせておりましたから……」


安心感からその場の雰囲気が和らいでいた時、


「……!?ハッ夢……………?じゃない!」


どうやら健吾が起きたようだ。

介抱していた女性が話していた内容を説明し、その間にも今後についての話は続く。


「とすると、使徒様と我々、勇者の皆様で対処にあたるということでしょうか」

「そうですね、どうなさいましょうか」


教皇さんがへーネスに尋ねる。


「うーん、場所さえ分かればレンだけで対処できるんだよねぇ〜」

「えっ!?じゃ、じゃあ私達は帰れるってこと……?」


そう勇者の一人が聞いた時、またも健吾が発狂した。


「えっっっっっっっっっっ!!!!!!!!か、帰る!?待って、やだ!!!!!!!俺、レン様に付いていきたいです!!!!!!!!!お願いします!!!!!!!!!!!!!」


今にも泣き出さんばかりに喚く。うるっせえ。


「ちょっと、煩いから静かにしてくれない?」


俺が声をかけると、首がもげるんじゃないかと思う程コクコク頷いてようやく押し黙った。


「そ、そうですね、こちらまで来て頂いてご迷惑をおかけしましたが、即座に帰還のご用意をいたしましょう」

「「ヤッターーー!!!!」」


4人の勇者は歓喜に湧いた。いつ召喚されたのかは分からないが、それなりに仲良くなっていたのだろう。「寂しいけどお別れだね」と言いながら寂しさと安堵を顔に浮かべていた。まあ、そりゃ召喚されたかと思ったら危険な任務をしろって言われてたんだしな。

だが、絶望を顕にする男が一人、無言で手を挙げていた。


「何??」

「発言よろしいでしょうか……」


そういえば黙れって言ってたっけ。


「良いよ」

「恐れながらレン様!!レン様とお連れ様はこの世界の観光が目的だと噂で聞きました」


連れなのは俺なんだけどな。


「まあ、そうだねぇ〜」

「でしたら!!!!是非!!!!俺もご一緒させてくれませんか!!!!!雑用でもなんでもします!!!!!!!!」


だからうるさっ


「んー、どうするレン〜?」

「えー……、めっちゃウザそう……」

「グッ……、そこをなんとか!!どうぞ下僕としてお使いください!!!!!!絶対に役に立ってみせます!!!!!!!観光の間、ホテルの手配や各地のご案内もお任せください!!!!!!これでも勇者として鍛えられましたから有事の際にも足手まといにはなりません!!!!!どうか!!!!!!!!!!!!!!!!」


まあ、たしかに俺に忠実な下僕が雑用してくれるならたしかに便利か。


「そこまで言うんなら、下僕としてキリキリ働いて」

「ッッッッ!!!!!!!!!ハイッ!!ありがとうございます!!!!!!!!!!!!」

「あとその煩いのやめて」

「はい!!!!!!!!!!!」

「やめろっつってんの!!」


健吾はコクコク頷いてようやく静かになった。


すると、もう一人、さっき健吾を介抱していた女性が声を上げた。


「あのー、そういう事ならあーしも良いっすか?あーし一応神官なんですけど、ここの人もいた方がよくないですか?皆さん、ドォルトの人じゃないんで」


いやギャルじゃん。


「いやギャルじゃん」

「まあギャルっすけど。もしかして偏見あるタイプの方っすか?」

「いや、神官とギャルってギャップがすごくてビックリしただけ。ごめん」

「いーっすよ。けどあーし、ちゃんと神官やってるっすよ。これでも結構真面目なんすよ。それにあーし魔人なんで、違う人種いた方が文化の違いで揉めたりとかしないようにできるくないっすか?」


文化の違いか。たしかにそれは大きい。今のところこの世界をよく知っている面子がいないのも確かだ。けど、この人は別の理由もありそうなんだよな。なんか、健吾を見る目が……、まあ触れないでおこう。


「まあ、良いんじゃね?教皇さんどう?」

「もちろん大丈夫ですよ」

「え!ちょっ、俺との差がひどい!!!!」

「るっせえな……」

「ぴぇっ……/////(キュン)」


あー、なんか来たばっかなのにもう疲れた。

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