部活説明会
二日間のオリエンテーションが終わり、今日から自転車で通学だ。入学式の日の土砂降りで散ってしまった桜の木を眺めながら、校門をくぐり抜け自転車置き場にとめる。自転車に鍵を掛け、昇降口に向かって歩き始める。ふと前を見ると、十メートルほど前に、ノロノロと足を引きずるように歩いているさとみが見えた。まだ具合が悪いのだろうか、髪も微妙にボサボサだし、元気も無いような気がする。
声をかけようとしたタイミングで
「おーい、竜也ーおはようー」
先に、太田君に邪魔された。
仕方なく、そのまま太田君と話しながら歩いていく、教室に入ると女子に囲まれている真由美がみえた。 さとみの様子をチラッと見ると、一瞬戸惑ったようだったけど、「おはよー」と、その輪の中に入っていった。
「やっぱりさー、まゆみんもいいけど、さとみさんも捨てがたいよね。」
太田君は好みのタイプが多いみたいだ。
午前中は委員決めなどのこれからの1年に必要な取り決めが行われた。ところが、太田の馬鹿が、面白がって俺を推薦したせいでクラス委員になってしまった。
女子は委員長タイプ?の西尾まきさんに決まる。
「それじゃあ、ほかの委員や係も決めていきますね。」
テキパキとした西尾さんの進行もあり特に問題も無く終了した。
「西尾さん、手際よくって助かったよ。」
「いえいえ、内田君もご苦労様です。」
本当に有能な人が一緒でよかった。せめて足を引っ張らないように頑張らないとな。
そんなこんなで昼休み。
「竜也、一緒に学食にいかねぇ?」
「オーケー」
教室を出る時にチラッと見ると、さとみがゼリー飲料のキャップと挌闘していた。どうやら固くて開けられないみたいだった。が、すぐに真由美が手伝いに入ったようだ。てか、お昼ご飯、それと炭酸水だけ???具合が悪くて食べられないのかも知れないが、ちょっと驚いた。可愛いお弁当を持ってくるようなイメージを勝手に持っていたかも知れないけど。
そして、ひとつ教訓も得た。旨いものはみな、すぐに売り切れる。
この日の午後からは部活の説明会
いくつかの紹介が気になった。軽音部と吹奏楽部、両方の部活とも面白そうだった。あとは生物部。高原の環境破壊についての発表で賞をとったとか、活動内容の説明に加え、生まれたばかりのこうさぎ。これがまた可愛い~~。
「餌あげてみたい人~」
「は~~い」
実際部活に入るかはともかく、女子に大人気である。
アピールの結果、さとみも選ばれて、餌を与えたり、撫でたりしてご機嫌の様子だった。
その結果
「あの子可愛くねぇ?」
「オリエンテーションにあんな子居たっけ?」
男子から大注目である。
「アピールうざ。」
「こび売って、何あの女。」
一部の女子からも注目を受けていた。