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振られて始まる恋もある  作者: 稲田すずめ
第1章
8/117

ドキドキ球技大会

 オリエンテーションの2日目が始まった。


 グラウンドで男子サッカー、体育館では女子バスケが行われる。どちらの試合も時間をずらした開催になっているので、男女とも同じ組の応援にいく事が可能だった。

 まず、最初の相手は賢吾の居る2組との男子サッカーだ。昨夜の賢吾の態度が1組の男女にひどく不評だったため、あんな奴には負けないとみんなの意気も高い。

 ルールは15分ハーフの11人制のサッカーで、タッチラインで入れ替われば交代の人数や回数は自由、怪我や体調不良で無い限り必ず一度は出場するという事だった。

「おい、たつや、どういう作戦で行くよ?」

太田君から声がかかる。

「なに?俺が考えるの?」

「そりゃあそうだろ、お前サッカーの経験者だし、お前が売られた勝負だろ。」 

「うーん、分かったよ。やってみる。みんなも本当にいいかな?」

「おう!」「もちろん」「やろうぜ」

 了承を得たので作戦を考える。ディフェンスの経験者がいたので、俺が真ん中に入って中央のラインを作る。あとは背の高い奴をキーパーに、ガタイがいい奴をディフェンダーに並べる、あとは陸上やってた間壁君をフォワードにし、ボールを追って走って貰うことにした。


「よっしゃぁ、やるぜー」

2組のキックオフで試合スタート


 試合は以外にも白熱したものになった。

 まずは1組が太田のヘディングシュートで先制すれば、2組もこぼれ玉を押し込み同点で前半終了。


そして後半へ

「へぃ、竜也パース」

 呼ばれて、つい半分無意識に出したパスが、キレイに通る。

 しかしパスの相手は2組の佐伯だった。

 そのまま簡単にゴール隅に決められて1-2

「ナイスアシスト~」

 佐伯から声がかかる。

「こら~、なに相手にパス出してんだ~」

太田君をはじめ男子にぎゃぁぎゃぁ言われる。

「竜也〜何やってるの〜2組に負けるなんて許さないわよ~」

福山さんが吼えている。


「みんな悪りぃ。」

これは、自分で取り戻さないとダメだ。気持ち前目のポジショニングを取る。


 数回の攻防の後、良いポジションで相手のパスをカットした。そのまま左サイドの空いたスペースに長いボール、間壁君なら足が速くて追いつくだろうと考えて中央やや左からマークを振り切ってペナルティエリアに侵入する。

 そして折り返しのボールが帰ってくる、思ったよりキーパーに近いが十分間に合うと思い走りこむ。が、ボールが弱かった。キーパーが飛び出してくる。ワンテンポ早くシュートを打つつもりで左足でのシュートに切り替えるが、相手のキーパーは右足で打つものと思い込んでいたようだ、このままの勢いじゃキーパーに蹴りを入れてしまう。とっさに避けようとしてシュートのタイミングが狂う。カーン。打ったボールはポストに当たって跳ね返る。外した… が間壁君がそのまま走りこんでいた。一瞬早く相手DFより早く足に当てゴール!!

 ピッピッピー

 直後に試合終了のホイッスルが鳴る。

 ふと視線を感じて振り返ると、賢吾が厳しい表情でこっちをみていた。

 俺を騙してゴールしたのに嬉しそうじゃないんだな。


「みうには聞いていたけど、本当に天然ボケなのね~馬鹿なの?相手にパスするか~ふつう。でも最後は、惜しかったね~キーパーに躊躇しないで打てば、そのまま入ったんじゃないの?」

「間壁君!!ナイスシュート、よく走りこんでたね。」


体育館の方に視線を移すと、みうが、ふぃっと顔を背ける姿が視界に入った。


 さて、体育館で女子バスケだ。クラスの男子はみんな楽しみにしていた。

 ところが試合開始前にひと悶着が、スポーツ用車イスが有るのを見つけたまゆみが「私もバスケやりたい~」と言い出したのだ。

「私も参加したいーーー」

 近くに居た先生に話すが許可できないと言われた。

 接触の無いスポーツなら良いが、バスケの場合は相手も自分も怪我をする可能性が高いので、絶対にダメとのこと。

 「昨日言ってたことと違うじゃないですかー」

 しつこく食い下がる真由美に折れて、車イスの調整と空いているコートで 遊んでいいとの許可を貰った。太田君、間壁君、俺と控えの女子数名で真由美にパスしたりして遊んでいた。

 もともとセンスの良い子なんだろう、少しの間にどんどん反応が良くなるのには驚いた。

そういえば、みうに勝った事があるって言ってたっけ。


「ちょっと、交代して~」

「代わって~」 

 時々試合をしている女子から声がかかってメンバーが交代した。残りの男子は熱心に応援をしながら、試合をみている。


「おおー!!!!!!!!!!」

 どよめく男子、見るとみうがシュートを決めて着地する所だった。


バシッ ボールが顔に飛んできた。

「いてっ」

「こらっ、見とれるんじゃな~い。」

 

 そのまま1点差で2組の勝ちとなった。


 賢吾は、クラスの女子におめでとー 勝ったねーと声をかけているが、みうには特に何も言わずに去っていった。

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