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振られて始まる恋もある  作者: 稲田すずめ
第1章
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プロローグ

そうあれは、小学校5年生の終業式の日


僕は、教室を出ようとしていた彼女に声をかけ、勇気を振り絞って近所の公園に呼び出した。


春の公園は、暖かな日差しが差し込みキラキラしていた。


「さとみちゃん、僕、君のことが好きです。」

「どうか付き合ってください。お願いします。」


初めての告白。

それは、まだ短い人生で一番の勇気と思いを込めた告白だった。


けれども、彼女の答えは、


「ごめんなさい。私、竜也君とは付き合えません。」


ずっと、仲良くしていた。

お互いに好きだと思っていた。

なぜ?どうして?僕のことが嫌いなの?

様々な想いが頭の中を駆け巡る。


「たっくんなら大丈夫、上手くいくって~。」

元気に明るく送り出してくれた幼馴染の言葉を思い出す。

あの嘘つき、上手くいくって言ったじゃないか?

応援してくれた幼馴染に対して心の中で悪態をつく。

自分じゃない、誰かのせいにしたかった。

八つ当たりだと分かっていたけど、さとみちゃんのせいにもしたくなかった。


「たっくん、みうちゃんと仲良くね。」

今にも泣きだしそうな表情を浮かべ、弱々しく漏らした彼女の最後の言葉はほとんど耳に入らなかった。


小さく手を振ってから、坂道をゆっくりと下って行く。彼女の長い髪がゆれる姿を見えなくなるまで見送った。


それが永い別れになるとは知らなかった。

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