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JRC

作者: Mt.

ナレーター:これは、若くて貧しい夫婦の物語。


○ジム、下手側。デラ上手側。お互い向かい合った状態。

○ジム、時計をこそこそと見る


デラ:どうしてそんな風に時計を見るの?せっかくおじいさまから伝わる懐中時計なのに。


ジム:あぁ。僕は時計をこんなもので繋いでいるから恥ずかしいんだ。


デラ:そう……。(正面を見て)あ、ねぇ見て!すてきな鎖ね。


ジム:あぁ。


デラ:あなたの時計にぴったりだわ。


ジム:(違うところを指して)ほら、見て!きれいな櫛だ。


デラ:本当ね。


ジム:君にきっと似合うさ。


○顔を見合わせて笑い合う。ジム下手にはける。

○デラ、上手側を向き財布を見る。


デラ:あんなに節約したのにこれっぽっちしかないのね。明日はクリスマスだって言うのにジムにプレゼントもできやしない。いったいどうすれば…。(正面を向いて)私…!


ナレーター:デラは自分の髪を売ることを決心しました。


○デラ、走って上手へはける。下手からジム登場


ジム:この前の櫛、デラの美しい髪にぴったりだったな。だが、今持っているお金では…。でも僕は彼女に何としてでもあの櫛をプレゼントしたいんだ。


○ジム、時計を取り出し見つめ


ジム:そうだ!


○走って下手へはける。


○デラ上手から登場。下手側に立つ。


デラ:(下手へ)ごめんください。


○影下手から登場。


デラ:あの、私の髪を買っていただけませんか?


影:いいのかい、こんなに美しい髪を。


デラ:えぇ構いません。いずれ伸びますから。


影:かしこまりました。


○影、髪の毛を切る振り。カツラを外しフードをかぶる。

○同時にジム、下手から登場。デラ達の前を通って上手側に。


ジム:(上手へ)ごめんください。


○影、上手から登場


ジム:この時計を買っていただきたいのですが。


影:ずいぶん上等なものじゃないか。


ジム:えぇ、そうでしょう。


影:本当にいいのかい?


ジム:えぇ、構いません。もっと大切なものがあるんです。


○影、それぞれの近い方へ去る。


デラ:(正面を向いて)あぁ、これで素敵な贈り物が出来るわ!


ジム:(正面を向いて)彼女はどんな顔をして喜ぶだろうか!


○走って交差し、立ち止まり振り返る。ゆっくりと歩み寄る。

○デラ、フードを脱ぐ。


デラ:髪を売ったの、贈り物をしたくて。きっと気に入るわ。あなたの時計にこれを。


ナレーター:デラはジムに時計につける鎖をプレゼントしました。


○デラ、ジムに鎖を見せる。


ジム:……。時計は売ったんだ。君に贈り物をしたくて。


○デラに櫛を見せる。


○沈黙の後、笑い合う。


デラ:私達ばかみたいね。


ジム:このクリスマスプレゼントはしばらく大切にしまっておこう。


デラ:ねぇ、ジム?…ありがとう。


ジム:ありがとう。メリークリスマス。


デラ:メリークリスマス。


ナレーター:この2人の贈り物はきっと神様が祝福してくれているでしょう。





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