二話1 予兆の夢
2話始まりです、あまり2話と1話の差がはっきりしませんが今後ともよろしくお願いします!
ここは、どこだろう。どこか懐かしく思える。目の前では少年と少女がぼさぼさ頭の男に剣を習っていた。
その男は俺のよく知る人に似ていて手を振れば振り返してくれるはずだ。それでも僕は手を振らない。振ると今いる時間が壊れてしまいそうだから。
『なぁ親父!!僕はもっと強くなりたい!!』
僕だ。
『ハハ!!強くなりたいならまずその僕ってやめるところからだな!!!』
親父だ。僕はその時、自分の一人称を笑われて親父を叩こうとする。でも、親父はその場から動かず僕の攻撃を避けていた。
『こ、こら!仮にも私の師匠だぞ!!私の前でそんな乱暴な事をよせ!怪我したらどうする!』
シーナだ。
『ベーだ!親父は俺のパンチ所じゃ怪我しねぇよ~』
『ちが!!私は・・・。』
今ならわかる。シーナは僕の身を案じて言ってくれてるのだろう。
『どうしたシーナ!そんな様子だとお前が親父の事が好きなのがばれちまうぞ!?』
『ち、違います!!!!それだけは絶対にありえないからな!!』
『おいおい、それはそれで心に刺さるものがあるんだがな』
仲良く三人で笑い合う光景。俺はこの時間が一番楽しかった。この時間にはいつもさぼって木の上で寝てるダール。後で親父に怒られて泣くダールも楽しみの一つだった。
『全く、あなた達は。楽しそうで何よりね・・・』
そこにフードで顔を覆い隠いた人物が現れる。・・・誰だ?
「親父!!!!!!!」
俺は咄嗟に叫ぶ。
『逃げろ!!!!!!!ネロ!!!!!!』
その瞬間、目の前で俺を庇って腹を貫かれる親父。刺された腹部からは大量の血が噴き出ていた。
「何庇ってんだよ・・・」
目の前で貫かれた親父から舌のようなものが抜けると。親父は全身から力が抜けるようにその場に崩れ落ちる。しかし、親父は不気味に笑いながら、人の可動域を超えながらも首を曲げ、こちらを見る。
『お前が弱いからだ・・・・!』
「俺は・・弱い・・・?」
『そうだ、お前は弱い・・・横を見てみろ』
目の前の変わり果てた何かに言われ、横を向く、そこには大きな血溜まりの中に無残にあらゆる箇所が折れ曲がりつ俺に纏わりつくシーナの姿。
『なんで護ってくれなかったの・・・?』
「違う・・・俺は・・・」
『おい、ネロ・・・我はいつ死ねばいいのだ・・・?』
突如、後ろを掴まれ半ば強引に振り向かされる。腕はやせ細り、顔にも肉は無く、空洞の目が俺を飲み込むように見つめてくる。
「ダール・・・!?」
『俺は・・・いつまでこの地獄を味わうんだ・・・・?敷かれたレールを歩くように、なぜ我はこの世界を守らねばならん・・・教えてくれネロ・・・』
「俺は・・・・俺は・・・・・・・・なんで・・・」
『大丈夫だ。お前ならやれる。このくそったれな蜥蜴野郎を・・そう信じて・・・』
突如、背後から聞き覚えのある声が聞こえる。
俺は声の主を見ようと振り返るが、そこで俺は何もない暗闇に落ちていく。
「親父!!!!!!」
俺はロロの部屋に居た。シーナと話を終えた俺は、ロロの部屋に戻ると急激な睡魔に襲われそのままソファに身を預けた。ロロの部屋の窓から見える外はすでに日も落ち、ベッドにはロロが静かに寝息を立てながら眠っていた。
「親父・・・。俺は・・・。」
俺は時々、あの日の夢を見る。この夢はある怪物の動きにも関連していた。魔物レイスすべての元凶。人を食らうとその人物の情報を世界から忘却させる化け物。しかし、俺はレイス討伐戦時、もう片方の魔物を討伐した者達全員はなぜか忘却魔法の対象にならなかった。ただシーナは防御魔術を得意としなかった為、レイスの出す濃い瘴気に耐えれず記憶を忘却させられた。あの日の事が頭を過る。あの日、親父は俺を庇って死んだ。もし、あの時、俺が親父のところに行かなければ・・・。そう思うと無性にあの頃の自分が憎らしい。そして生き残った俺達はなぜかレイスが万単位の人を食らった日に決まってあの日の夢を見る。最悪な形で。つまり昨日、どこかでレイスが恐らく国を食ったのだ。と、そこで俺はベットで寝ているはずのロロがこちを見ていることに気が付く。
「ロロ・・・?」
「ネロ・・・何か嫌な事でもあったの?」
「嫌、大丈夫だ。」
完全に痩せ我慢だ。すでに精神的に追い詰められてる俺は夢ごときで手を震わせている。
「痩せ我慢ね。ちょっとこっち来なさい。」
「なんでだよ。」
「いいから来いって言われたらすぐ来るの!!」
ロロは完全に俺の痩せ我慢を見抜いていた。俺はロロの鬼気迫る勢いに押されベッドのすぐそばまで移動する。
「寝なさい。」
「は?」
すると彼女はあろうことか自身の膝を叩く。まるでここに寝ろと言わんばかりに。
「だから、ここに横たわりなさいって言ってるの!早くして!」
「お、おう。」
そうして俺はロロの世界一般で言う膝枕を経験することになった。優しく俺の髪を撫でるロロ。
「従者を疵かうのも主の役目だからね、私の騎士さん。」
優しく微笑む彼女に俺はどこか小さい頃に死んだ母の姿を重ねてしまう。
「今日だけ・・・今日だけだから・・・。」
少し、尖るようにそっぽを向く彼女を見て俺は苦笑する。俺は不覚にも彼女の事を可愛いと思ってしまった。
「ロロは優しすぎる・・・」
「なんで?」
「まだ会って二日だぞ?なんでそこまでしてくれるんだ・・・」
「なんでって、初対面の私を、全力で護ってくれたじゃない。」
「あれは半ばロロが俺に押し付けたんだろ。」
「そだっけ?忘れたわ。」
クスクスと笑うロロはこう続ける。
「それでも、私があいつらに掴まれた時にネロ、凄く怖い感じだった。でもなぜか怖い感じなのに怖くなくて・・・。むしろ安心感さえあったわ。あそこまで怒ってくれる人なんていないわよ。」
「そう・・・いう・・もんかな・・・?」
「そういうもんよ。おやすみなさい、私の王子様?」
「おや・・みす・・・」
そうして俺は自然と瞼が落ちていた。
翌朝、目が覚めると俺はすぐに身に起きている異常に気が付く。身体を起こそうとするが何かに押さえつけられているのか上手く体を起こせない。俺は押さえつけているものに触れるとそれはとても柔らかかった。俺はすぐに押さえつけているのがなんなのか理解する。
俺はロロの胸の中にいるようだ。しかも抱き着かれてている。俺はそこで昨日、ロロの膝で寝てしまったことを思い出す。
別にその後にやましい事もしていないのだが、この状態自体どこかやましさを感じ俺はロロを起こさないよう慎重に抜け出そうとする。が、そこで部屋の扉が叩かれる。
「ロロ王女、式の準備が出来ました。」
声の主はよく聞き覚えのあるシーナだった。しかし、すでに腕から脱出した俺は窮地を脱したように胸を下ろす。これで何も誤解されるような・・・。俺はそこで目にしてしまう。寝ているロロの服がちょうど胸の第二ボタンまで外れていることに。
まずい!!!俺が動いたからボタンが外れたのか!?それとも元々外れていたのか!?まぁそこまで見ても何とも思わないサイズ・・・どうにしろ不味い!!!!
「ロロ王女?寝ているのですか?全く、大事な日なのですから今日ぐらい自分で起きてください・・・。」
呆れ声と共にドアノブが周り、今にも入ろうとするシーナ。このままでは変な誤解を生みかねない。
「ちょっと待て!!!!!!!」
今のうちにボタンを・・・ダメだ!!!こんな粗末な物でも男としての欲望が・・・・!!!
「その声はネロか?そう言えば貴様、ロロ王女と同じ部屋で寝ているそうだな。何が待てなのだ?」
「いやそのあれだ。今ロロ王女様はすやすやと就寝中で・・・。」
見ずにボタン付けるの難しいな!!!しかも肌に触れるたび「ンッ」なんて妙に艶めかしい声を上げられては一層やりにくい。
「今日は大事な日と聞こえていただろう。はっ!まさかお前・・・。」
「なんにもしてないから!!」
「いや、別にまだ何も言ってないのだが・・・。いや、それよりも早くせなば・・・。」
「あと5秒待ってぇぇ!?」
話をしてる内にあとボタンも一つでラストスパート。しかし、俺のそんな頑張りも無慈悲に開かれた扉を前に崩れ去った。
「いや、待てって、何をしてるの・・・おい、本当に何をしているネロ。」
「いやな?ロロのボタンが外れてるから留めてあげようかと・・・。」
「そんな言い訳が通用すると思っているのか?」
「言い訳も何も・・・。」
「あれ?なんでシーナが私の部屋にいるのぉ?」
「ロロ!」
眠そうに体を起こし、目を擦るロロ。ここでロロが何も無かった事を言えば俺の潔白も証明される。そう思っていた。
「ロロ王女よ!!この獣に何かされませんでしたか!?」
「したも何も、してないって。」
「黙れ野獣!」
「ひど・・。」
シーナの拒否反応とも見てとれる言動にロロは不思議そうに首を傾げながらも答える。
「昨晩はね・・・。ちょっと怖かったけど一緒に寝たわよ?」
「昨晩・・・?」
完全に誤解を生む答えだった。火に油を注ぐ答えだ。今シーナが起こっているのは俺が胸元付近に手を置いていたことで、昨晩の事は関係ない。確かに俺は怖いと言われ、膝枕で寝てしまった。しかし、今、俺が求めてる答えはそれじゃない。
しかも今の言葉を逆上したシーナが聞くと、さぞ悪く聞こえる事だろう。俺が強引に襲った的な。実際、シーナは殺意しかない眼光で俺を見つめている。
「朝の行動といい、昨晩一緒に寝ただと・・・?」
「いや!絶対!寝ぼけてるだけだからなぁ!!!!!」
入り口はシーナに塞がれている。窓から逃げようにも窓を開けるころには捕まってしまう。さすがに割ってまで逃げようとは・・・つまり逃げ場は無い。俺は覚悟を決めるように目を瞑る。
「いいだろう、今回は変な誤解をさせた俺の責任だ。好きにし・・・!」
「開き直るなケダモノがぁぁ!!!」
次の瞬間には俺の顔はシーナの全力の拳で歪んでいた。
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