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王女の側近騎士は実は〇〇〇だった!?  作者: 十道 鉚
見えない巨大な影
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間話 二人

テントを出たルアスとヴィリニュスは来た道を戻り、今は城壁のすぐ近くまで歩いて来ていた。


城門前では大勢の兵士の疲労と焦燥が入り混じった声が二人の耳に入る。そしてテントのすぐ傍は一転し兵士が長蛇の列を組み、一言も発さぬまま先頭から順に異様に黒ずんだ城門を潜りぬけてゆく。


「・・・人間はあれが異常だと思わないよう考えておるんじゃろうなぁ~。」


「だって今から入る所が太陽出てるのにあんなに暗いなんておかしいもの。」


「人間特有の無用な優しさじゃな。」


世間話をするように、ただ通りすがっただけと言いたげに俯く兵士の横を悠然と通り過ぎていく。


余りにも場に似つかわしくない服装に横目でその姿を追う兵士が顔を上げていく。


その中でも隊長と思しき人物が背後からルアスの肩に手を置く。


「し、失礼ですが・・・ここは一般のお方が!?」


「よいよい、気にせんでよい・・・。というか今日はもう城壁内は入らなくてよいぞ?」


「な、にを言って・・・?」


目の前で何を言ってるのか理解出来ないと口角を引き攣らせる男にルアスは頭を押さえ口を開く。その横でヴィリニュスも同意と首を縦に振る。


「というかクイーラも初めからこうする気じゃったはずじゃろうが・・・気の使えん奴じゃ・・・。」


「だから!!何を言って」


「ウルサイ・・・食らうぞ?」


理解の範疇を超えた兵士はパニックを越してか声を荒げる。しかし、それに反応したヴィリニュスが口元を指で抑える。


自身より若い容姿の女性に睨まれただけで全身を駒切りにされるイメージまで浮かんだ兵士はその場で口元を押さえ膝を付く。


「あら、情けない・・・事?」


クスクスと笑う少女だったが、周囲を見渡せば兵士のほぼ全員が冷や汗を浮かべ身体を硬直させていた。


「ん~まぁこれで反発する奴が居なくなったと思えば・・・。」


「全員が全員、強いと思うなよ?むしろ人間とは大多数が弱者じゃ。」


「さすが人間好きを謳ってるだけのことあるわね~。」


「もしかしてわて煽られてるかの?」


「いえ、煽ってないわよ。今ならその気持ち・・・わかる気がするもの。」


唐突にどこか儚げな表情を浮かべるヴィリニュスにルアスは顔を引き攣らせ・・・。


「う~ん・・・キモイの。」


悩みに悩んだ末のそう言い切ると隣で口をポカーンと開ける少女を無視し城門入り口でゆらぐ黒い影へと入って行く。


「・・ルアスって私のこと嫌いでしょ?」


「素直な感想が出ただけじゃって・・・。」


まるで蟲を追い払うような素振りを見せるルアスに反抗し、腕にしがみ付き頬を膨らませるヴィリニュス。


そんな二人が薄暗い影を抜けた次の瞬間には、飛び掛かる魔物達が赤い液体と固形物へ姿を変えていた。


「マズそうだわ・・・。」


「そりゃそうじゃろう・・・。」


その様子をただ見つめる無数の魔物達の目からはもう闘争心はかき消されそればかりか恐怖を孕んでいた。それもそのはず今まで通りならば初手でやれていた方法を、更には逆に仲間が訳も分からないまま血塊に変わるとなれば迂闊に動ける訳も無い。


「さぁて、ロロにはちょうとばかし申し訳ないような不純な動機じゃが・・・やるとしようかの。」


「私も・・・人間に信用してもらうために頑張りますか~。」


頑張りますか。といいながらも全くやる気を見せないヴィリニュスには軽く伸びや準備体操を終えるとふいに視線を魔物達に向けると。


『食っちゃえ♪』


その時、二人の視界いっぱいに埋め尽くされていた魔物の群れを巨大な黒い口が飲み込んだ。

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