一話7 笑顔
これで1話は終了とさせていただきます。次回からは2話をお送りさせていただきます。まだまだ未熟どころか初心者なので指摘、意見、批判など頂けるだけで感激いたします。なお、1話終了に伴い全話の改変いたしました。主に一話1冒頭、1話6後半に話を入れさせていただきました。全話の矛盾点、誤字脱字の見直しを行いましたのでご不便おかけします。
バルネスタ王国城内、一度ロロの部屋に戻るがそこにロロの姿は無く変わりに置手紙とパンが置いてあった。
『ちょっと用事で別行動よ。お腹も空くだろうし、この城で貴方が食べるもの探すのも苦労するだろうからパンでも食べときなさい。by私』
それを見て「by私ってなんだよ!」と、ツッコんだら負けな気がするので俺は手早くパンを食べると、シーナの部屋に向かった。
部屋に到着すると、一応の為ノックをするが、返事が聞こえないので扉を開ける。
素っ気ない部屋になったなぁ。俺はそんな事を思いながら部屋のベットで寝息を立てるシーナのの横に置いてあった椅子に座る。
しばらくシーナは起きる気配が無いので換気の為に部屋の窓は開けると、心地いい風が頬を撫でる。しかし、平和そうに見えるこの国でも世界の均衡を保つのに大きな役割を持っている。
この国に来る際に見えた終わる事の無い城壁、あれはこの国から北の大陸をこの国から南を護るように囲っている。
ここから北に行くと生物が生存できないと言われるヘルンズ気候と呼ばれる極寒の大地まで人食、『人間を食べる』事を第一に考える魔物と呼ばれる生物が急激に多くなる。この国の城壁が出来るまでは南の国で毎年何人もの人が誘拐、殺害された。
それを止める為、レイス討伐前まではバルネスタから北にミルダス、ワズリアン、ダル二キア、ゼウドラ国の同盟で魔物を迎撃し、どうにか平和を保っていた。そんな中、親父の親友で、ある国の王が娘を頼むと任された。当時、14歳から俺は親父に剣術を教えてもらっていた。その翌年、8歳になったシーナが親父に弟子入りした。初めて出会った時は隔てなく喋れていたはずなんだが、ある日を境に俺に対して敵対するような素振りを見せ始めた。それでもあの時間は楽しかったし、ずっと続けばいいとさえ思った。しかし、突如としてワズリアン、ダル二キアのレイス生成における反乱で防衛国は壊滅。大量の魔物が同時に侵入しようとしていた。しかし、それを寸での所でダールの父上である前国王が自らの命を媒介に魔術式迎撃城壁を多数の魔術師の命と引き換えに創った。
そして今はダールが魔術の媒介体となり城壁を保ち、均衡を維持している。
「一日で幾つもの人生の道を忘却させられた日だな・・・」
どうもシーナを見ていると昔の事を思い出してしまう。
「今じゃ、俺より年上だからな・・・」
俺は「大きくなったな・・・。」と、彼女の髪に振れる。
「まだ人生経験じゃネロには勝てないけどな・・・」
「シーナ!起きてたのか!?」
「いや、ちょうど髪を触られた時だ・・・」
やったのは自分なんだが、見られていないのと、見られていたではかなり恥ずかしさが違う。
「俺、恥ずかし、絶対顔真っ赤。」
「や、やった本人が恥ずかしがってどうする!?こちらも恥ずかしくなるではないか!!!」
俺が恥ずかしがるのを見て、シーナも同様に顔を真っ赤にしていた。いや、待って。今俺の事に人生経験は負けるって言ってたよな。
「シーナ・・・お前記憶が戻ったのか!?」
「あぁ、まだ全部とは言えんがとりあえず。小さい頃の記憶や、私の師匠がネロの父でネロが私の憧れだって事は鮮明に思い出せる。だが、記憶に靄がかかると言うのか、まだ親の名が思い出せん。」
「なるほど~、って待って!?俺が・・・憧れ?あんなに俺を嫌ってたのに!?」
小さい頃の記憶や、俺の親父との記憶を思い出せて嬉しく思うが、俺の記憶が確かだとシーナという少女は昔から俺に好戦的で隙あれば寝首を掻く気満々だったはずだ。
「えっと、あれはだな・・・。好きな奴に意地悪したくなるというか~隙あればドジを踏ませて助けてあげようとか思ってた訳でだな!?別に貶めようとは微塵も思っていなかった。本当だ!!だからそんな審議を図る目で見ないでくれ!」
しばらく見つめるがどうやら本当の事らしい。しかしそれはそれで色々と呆れさせられる。
「好きな奴に意地悪ってお前、子供じゃないんだから・・・。」
「子供だったぞ!」
「・・・・」
そうか、確かにあの頃は俺もシーナも子供か・・・。
「いや!だが自分で仕掛けて助けるのはおかしいだろ!?」
「ドラヴ師匠が『問題起こして助けろ!その方法で俺も嫁さんを射止めた!』って言っておられた!」
あの親父が原因かぁ!!!親父のせいで俺がどんな目に遭わされたかわかってんのか!!谷に落とされかけたり魔物に食われかけたり・・・。言い出したらキリがない。と、そこでベットに座る彼女が涙を流していることに気が付いた。
「おい、頭が痛いのか!?それとも嫌な事でも思い出したのか!?」
当然、嫌な事と言えばレイス討伐時の記憶である。シーナの師匠である親父、最愛の両親の死を目の前で殺されれば誰でもトラウマになるだろう。しかも彼女は親の必死の時魔法で8年もの期間を結晶の中で過ごしたという。
その際、レイスに受けた魔障で記憶が欠落していたが、俺と当時の記憶を思い出させることでレイスの忘却術を克服できたのだろう。しかし、俺の予想は大きく外れていた、いい意味で。
「違うんだ。私が結晶の中で眠り呆けている時、どれほどネロやダールに迷惑をかけたと思うと同時に、もし・・もし、記憶が戻った時にネロがいない世界だったらと思ってしまう自分が情けない・・!」
その場で布団を被り、弱さを見せまいと布団の中で泣きながら弱音を吐くシーナを俺は、そっと包み込むように抱きしめた。
「大丈夫だ、心配するな。俺こそシーナを八年も救えず居たことを後悔してる。それに俺はここにいる。これから君が過去を克服できる日が来るまで俺がシーナの世界を護るよ。それにシーナを助けるって目標が無ければ俺はレイス討伐戦の後、とてもじゃないがもう一度、剣を持つ覚悟は出来なかったよ」
「本当か・・・?」
布団の中からシーナが尋ねる。
「あぁ、本当だ。」
「ホントに私が過去を克服できるまで守ってくれるのか?ホントに私が結晶化したせいで剣を持てたのか?」」
「あぁ、常にとは言えないが、シーナが助けを呼んだらいつでも飛んでいくよ。あと、言い方は悪いがシーナが結晶化してなければ俺はあの後、自殺していたかもと思えるぐらいだ。」
それ聞いたシーナはその後もしばらく俺の腕の中で泣いていたが、しばらく経ち、ようやく泣き止んだと思うと、
「そうか、守ってくれるのか・・・。」
「シーナ・・・?」
その直後、勢いよく布団を捲り俺に目くらましのように被せると、俺の唇に自分の唇を重ねる。完全な不意打ちに不意打ちだった。
「シ、シーナ!?」
突然の出来事に後ろにのけ反る俺を見て彼女は一瞬だけポカンとする。まるでそう反応されるのが意外だったように。
「さっき私の結晶化を悪く言った罰だ!それと・・・。ようやく寝首を掻けた。」
シーナはそう言うと布団から飛び降りる。シーナの表情は少し赤らめた頬に悪戯を成功させた子供のような。それでいてとても満足したような笑みを浮かべていた。
「よし!弱い自分にはさよならだ!!よく聞けネロ?今日みたいに弱虫な私は一生見れないからな?覚悟しておけ!なんせ明日から私はお前に護られずとも一人で生きていけるようになるからな!せいぜい私に護られる日が来ないこと祈るんだな!で、では、私はこれにて。」
俺に言い放ったシーナは颯爽と部屋を後にする。その後、寝間着姿のシーナが早歩きで頬を押え赤らめているのを見たという噂が城内に瞬く間に広まった。
「さすがに今のは卑怯だと思うんだよな~。俺もまだまだって事なのかな・・・」
一人残された俺は顔の熱が下がるまで床に倒れるように寝転んだ。
ここまで読んでいただき本当にありがとうございます!<m(__)m>今後も下手なりに出来次第、投稿させれていただきますので、今後もよろしくお願いします。




