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王女の側近騎士は実は〇〇〇だった!?  作者: 十道 鉚
見えない巨大な影
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4話29 ハブられネロ

外の光が入らない長く仄暗い廊下を所々に光る蝋燭だけを頼りに三人は先にある階段を目指す。一歩、一歩と踏み出す度に走る痛みも今では収まってきた。


途中、俺は大きく膨れ上がった頬を擦りながら愚痴を漏らしていた。


「前にも起きた直後ぐらいに一撃貰った気がすんだよな。俺の周りに居る女子は俺の顔に一撃入れないと気が済まないの?」


ジト目で頬を膨れ上がらせた張本人を睨むと部屋を出る辺りで普段通りの容姿に戻ったルアスが意図的に目を逸らす。


そんな二人のやり取りを聞いていたロロが首を傾げ。


「私まだ入れてませんけど?けど?」


俺の言った周りの女子に自分が含まれていると思っているのか俺が擦っている箇所を必要に小突いてくる。


「ロロにならご褒美だな。」


「へ、へぇ・・・。」


「冗談だって!」


冗談交じりに否定をした結果、ロロは小突いていた手を引っ込めたが代わりに壁にあたかも汚い何かが付いたとばかりに手の甲をなすりつけたので急いで弁解する。


ついさっきまでしていたやり取りとの落差に溜息をつきながらも内心ではホッとしている自分がいる。


そうこう無駄話をしている内に階段が近づき下からは数人の声と共に光が薄暗い廊下に差し込んでいる。


「何?宴会?」


下の階の騒がしさにやけに目を煌めかせ反応するロロに俺は横目でルアスに回答を求める。


「いや・・・聞いとらんが、ただ騒いでるだけじゃろ・・・。わてもロロもお前が起きるまで付きっきりじゃったか・・・って全く。」


ルアスの話を聞き終わることなく階段を下りていくロロにルアスは呆れつつ苦笑する。


「今さっき見たロロはどこ行ったんだ・・・。」


全く。と俺もルアスの言葉を借りながらも階段を降り始める。


「風に流されたんじゃないかの~。」


俺の独り言にも似た声に適当に答えたルアスは俺が一歩、階段に踏み出すタイミングで俺の背中を押す。が、俺は反射的に階段の手すりを掴み耐えてしまった。


「楽しんでこ・・・・・・・・・・そこは落ちる所じゃろ・・・。」


早々に次の言葉を声に出すルアスは冷めきった目で俺を見つめる。元々、こういった騒ぎごとに入り込めない俺を知っていたルアスの少々乱暴ながらも考えてくれた布石を棒に振ってしまう。


「反射的にやっちまった。ルアスが俺がこういった騒ぎに溶け込めないと知っていての行いを無下にした俺はダメなやぁぁつ!?」


握り拳を作りながらルアスがしてくれた事への謝罪を込めルアスを褒めてみるがどうやら逆効果だったようでルアスは頬を赤らめ膝を曲げる。


「いいから行ってこんか!!!!!!!」


善意から行った一回目の行動も2回目には唐突に受けた辱めによる怒りで繰り出された本日二度目の飛び蹴りは俺の背中を捉え、同時に俺は食らった瞬間に俺はこう思った。あ、これ階段全段飛ばせるわ。と。


案の定というかやっぱりというか、受け身も出来ない態勢で投げ出された身体は最下段に背中から落ちていく。


常人なら100%無傷では済まなかっただろう・・・というか俺自身も怪我人ということを忘れていたせいで想像を絶した痛みが全身を襲う。


忘れていた自分も悪いが、さっき恩着せがましく看病したと言った本人が階段から突き落とすなど今思えば完全にアウトだ。


俺は涙目になりながらも階段の最上段で少し口角を引き攣らせるルアスを見ると、ルアスもやってしまったとわかっているのかぎこちなく手を振ると仄暗い廊下に姿を消した。


ちゃっかりメンバーに溶け込むロロに肩を組み巨大な骨付き肉に齧り付くパラミナ、その横ではシーナが離れろと激怒している。その様子を見て笑うロボの横には名前も知らない栗色の髪をした少年が切羽詰まった様子でテーブルに並ぶ料理を口に運ぶ。


その全員がなんと一瞬だけ俺と目を合わせ、ロロだけが目を見開くが、それも隣のパラミナが何事も無かったかのように喋りかけると全員が戸惑いながらもすぐに俺を視界から外した。


ルアス、怒らないから帰ってきてくれ・・・泣きそうだ。


あまりにも素っ気ない塩対応に目じりに涙を浮かべる俺の頭上に階段から下りてきたふたつの影が俺を覗き込む。


「何やってんだ?」


「階段から落ちるなんて阿保ですわ。」


「やめてやれ、あれだけの重傷だったんだ。歩いてるだけでやばいだろ。」


目が合うや早々に毒の籠った言葉を口にする金髪少女と、俺の身を心配してくれているのか長く伸びた黒い髪を後ろで一括りにまとめた青年が手を差し出す。


「助か・・・る・・・?」


目尻に溜まる涙を拭いながらも立ち上がる俺は声を掛けてきた二人に目をやると・・・その二人はつい先日。ちょうどこの宿で俺達を襲った二人組にそっくり・・・というかまんまだった。


「どういう了見だ・・・?」


とっさに構える俺に慌てる青年と舌打ちをかます少女。


「落ち着け・・・いや、落ち着いてくれネロさん。」


警戒する俺に慌てながらも敵意が無い事を告げる青年。さらには突然さん付けで呼ばれ全身から力を抜いた。


「ねぇガンド。この人、思ってたより脳筋ではなくて?」


「ミル、パラミナさん達の所に行っててくれ。」


「嫌ですの・・・絶対に嫌ですの・・・。」


急にガタガタと震え始めるミルに俺は状況が付いていけず頭を押さえる。


「なぁ、まじでどういう集まりでこうなってんだ・・・?」


周りを見れば俺が目覚めた時からいたルアス、まぁこれは俺がピンチに陥ったら助けに来てくれたと思えば飲み込める。パラミナも同様に元々パラミナの居る所を目指したのだその後に合流しても不思議ではない、が、このミルとガンドと呼び合う先日にやり合ったばかりの二人組に加え何故か居るシーナ、更にはマジで記憶にもない名前も知らない少年までいる。


「どこから説明・・・そうだな。まず・・・。」


どう説明すればいいかと青年は頭を掻くと辿り辿り、事の顛末を語り始めた。

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