4話28 お帰り
「でさ、なんで俺は疲れて寝てる間にロロとの仲が衰退するわけ?」
ベッドに戻りこめかみを押さえる俺にロロ恐る恐る口を開く
「いや、別に・・・衰退はしてない・・・わ。ただ、どう接していいのか・・・わからなくなっただけ。」
「それを衰退と言わずなんと言う・・・。」
「もしかしてもしかする・・・破局かの?」
「黙れルアス。」
「嫌よ別れるなんて死んでも嫌よ!」
突然真剣な目つきで恥ずかしい事を平然と言ってのけるロロに俺は付いて行けず「お、おう。」と半ば反射的に答えてしまった。
「あは、もういっそ・・・別れる前に・・・。」
俺の反応を見たロロは顔を引き攣らせこの世の終わりのような笑みを浮かべるとなぜか右手に鋭く尖った氷を作ると自身の喉元に近付けて見せる。
「いやいやおかしいだろ!」
しばらく見ているとまじで喉元に刺さろうとしたので氷の刃先を慌てて掴むと、一気に激しく動いたせいか胸元に鋭い痛みが走る。
ひゃぁ~・・・痛すぎ・・・。原因はわかっている。レイスと戦った怪我でもなんでもない、シャドが居ないのに黒い瘴気を使った反動だ。
元々黒い瘴気なんて物は人間の手に余る物、それを無理にでも使用したのだからこうなるのも想定内だった。ただちょっと予想より痛いだけ。
「ネロ・・・?」
脂汗を滲ませる俺にロロが心配そうに俺の名前を呼ぶ。
「なんでもない・・・てか情緒不安定過ぎ・・・。」
「そう・・・かしら」
「そうに決まってんだろ・・・。」
「そう・・・。」
「まず今回の事は仕方のない事なんだからロロが気に病む必要なんてないんだよ。」
「でも・・・。」
「もし仮にあの時、俺がロロに取り憑いた魔物と戦って取り憑かれても気づけねぇよ。」
「でも・・・。」
「でもでもうるせぇ!!!」
「うぃ!?」
いきなり頭上から飛んできたチョップを受けロロは変な声を上げる。
「終わったことをいつまでもウジウジ言うもんじゃねぇよ。助けた相手がそんな調子じゃ助けた奴らの方が報われねぇだろうが。」
「その言い方じゃと誰か死んだみたいになっとるんじゃが・・・。」
「うるさいただのババア。」
「なんじゃ・・・とぅぅ!」
目を光らせ突進してくるルアスを片手で押さえながらも俺はロロが元に戻ったら言いたかったことを口にする。
「それに助けてもらったらごめんなさいじゃなくてありがとう・・・だろ?あと・・・お帰りロロ。」
「ほんとに・・・いいの・・・?こんなダメな私でも傍に居ても・・・?」
「ダメってどこがダメなんだよ。むしろ王女の側近騎士なのにロロを危険な目に遭わせた俺に責任あるだろ。」
「そうじゃそうじゃ!解雇じゃ解痛痛い痛い痛いのじぁやぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」
さっきから横槍を入れるルアスの頭に布団越しにだがアイアンクローを繰り出しほり投げる。そして俺はそっとベッドから下りるとロロの前で跪く。
「こちらこそ新米でダメダメな側近騎士ですが、今度こそ姫を命に懸けてでも守り抜きます故、どうかお傍に置いてくれませんか?」
あまりにも突然の対応に戸惑いを隠しきれないロロだったが。
「え、えぇ。置きます。置かしてください。我が騎士よ。私の唯一無二の側近騎士よ。」
頬を赤らめ笑みを浮かべるロロはそっと立ち上がり手の甲を差し出すロロ。俺は笑みを返すとそっと手にキスをした。
「顔・・・見れとるの・・・。」
「そうだったそうだった罪悪感で死にそうなんだったわ。」
最後の最後まで茶を濁してくるルアスの声にロロはハッと我に返ると俺から距離を置く。だが、その反応はつい今までのただ弱弱しい声ではない。狂気に操られた偽りの声でも、殺意に満ちた声でもない。
優しくて弱弱しいはずなのにどこか強気な、俺が好きになった相手の声だった。
「まだ罪悪感残ってたのかよ・・・。」
「えぇ、勿論よ。起こってしまったのは事実だし。許しを得て罪悪感が無くなるなんてことの方がおかしいわ。あと今の私は豆腐も豆腐、ちょっと触るだけで崩れるわ。」
「さっきまではそうとして今はとてもじゃないがそう見えなくなったんだが・・・。」
苦笑する俺にロロはクスクスと笑って見せる。その笑い声を聞くだけで俺はロロが戻ってきたことを改めて実感させられ、感傷的な気持ちになり涙が・・・。
「何よかったね的な話で終らせようとしとるんじゃぁ!!!!!!!!」
そんな俺の頬に横から飛んできたルアスのドロップキックが直撃した。




