4話22 傀儡は中途半端な意思を持たざるなかれ
いつも見て頂いてる方々ありがとうございます。
4話がぐだぐだと話が進まないのは自覚しております。ですが出来る限り話を進ませるよう努力いたしますのでよろしくおねがいします
今さっきパラミナに向けて撃ち込んだ砂鉄槍の原理は膨大な無から有を生み出す魔力を持つロロだからこそ出来る事だった。
テルミット式砂鉄槍はまず地面に含んだ砂鉄を吸い上げる。その際にロロは砕けた鉄鋼も含ませていた。その砂鉄に水を含ませ、砂鉄に空洞を作り上げ内部で槍状の砂鉄を作り出す。あとは金属酸化物と金属アルミニウムの混合物を200万ボルトによってプラズマが発生するほどの熱を生み出しほぼ同時着火。それに合わせ一瞬にして膨れ上がる熱量による水蒸気爆発。
砂鉄と鉄鋼は結合し個体の状態で対象に向けて高速発射される。
が、それは目視していたらの話。語尾のですを一際大きく出した時点でパラミナの姿はすでにロロの視界から外れていた。ロロの動体視力を上回る速度で不規則に地面を蹴り移動する影響でパラミナが移動した後の地面は陥没し岩のタイルがはじけ飛ぶ。
しかし、ロロの周囲には未だに超高電圧の檻が・・・と、そこまで来てロロは過ちに気づく。
「そもそも、魔力で作り上げた電気は意味無いです!!!」
目の前に現れたパラミナの言葉通り、突き出した拳が電気の帯に触れた直後、ロロの周りで弾ける稲妻はただの蒼い砂へと姿を返る。
「一発目です!!」
突き出した拳の下をなぞる様に振り抜かれた左手はロロの胸部から痛々しい音を作り出した。
「二発・・・!!!!」
さらに吹き飛んだロロの腕を掴みすかさず二発目を決め込もうとするが、次の瞬間、パラミナの髪の毛が逆立った。
「防壁を張るです!!!!!」
突然、パラミナの呼びかけにロロは反射的なのか腹部に防壁を展開。直後、目にもとまらぬ速さでロロの腹部に蹴りを打ち込んだパラミナは一瞬にして後方へ飛び退いた。が・・・。空を裂く轟音と共に振り注いだ落雷は地面から突き出た鉄杭へ落ちると付近に居たパラミナを巻き込んでいた。
「結構・・・効きましたです・・・ですが一撃、あと多くて三撃あれば意識を奪い取れます。」
小さく息を吐くとパラミナは首をパキパキと鳴らすと髪の毛を整えた。
「にしてもどれだけ頭が回るんです?この左右に火柱を作り出したのも雨雲を作る為ですか?しかもそれほど早く出せる防御壁。仮に私が魔法に絶対的な有利が無ければもっといい勝負が出来たと思うです。」
残念そうな口ぶりで無表情を貫くロロに目を向け、パラミナはゆっくりとロロの元へ歩き出す。
「そもそも一国の皇女がどうしてこんな危ない場所にいるんです??喋ってるときに危ないです。」
歩み寄るのを拒むように飛来した砂鉄の槍を手のガンレッドで弾き返す。
「今思えばどう考えてもおかしいんです。意識が無いのに意識を失わせる。悪性を取り除けって言われました。でも仮に悪性の魔術なら今の攻撃で喋れる程度には弱体化するはずなんです。でも喋らない。」
その言葉を聞いた直後、飛来する砂鉄の数が一気に増え始める。その様子を観察するパラミナはある結論に至り、ふと進路を変え右の炎に歩み寄る。
「生体内の魔力関連は砂には変える事が出来ないのが私の能力です。それでも全く影響がないわけじゃ無いです。」
が、次の瞬間。ロロの作り出した鉄の筒を見て咄嗟に左に飛び退いた。直後、鈍い音と共に飛び退いた箇所が砕け散る。
そして飛び退いた先へまるでまっていたように砂鉄の槍がパラミナを囲む。
「久しぶりに燃え上がるです!!」
右、左、後、右、右、右、左、上、前、前、横、後、回避、横、前、上、左、右、左、右、上、右、前、後、前、後、回避。と、全方向から迫る砂鉄の槍と鉄の筒から繰り出される暴力の嵐を一つ一つ紙一重で避け、時には弾きパラミナは再度、炎の壁へと距離を確実に詰めていく。
そして目的の場所に辿り着くと炎の壁に触れると壁は一瞬で紅い砂へ姿を変え空に混じる。風に流され視界が悪くなり紅い砂が二人の姿を覆い隠す。その直後、地面が隆起するとともに地面を蹴ったパラミナが消え、ロロの正面に立ったパラミナはロロの手首を掴むと耳元で囁いた。
「悪性の魔力が限りなく弱体した。結果、ああして私のいう事に従ってしまったです。でもですよ?仮に私の能力が任意で発動可能であの時、発動させていなかったとしたら・・・?」
そう、パラミナの能力は任意で発動の有無を変えられる。だからロロの発動させた防壁を砂に変えることなく蹴る事が出来たのだ。
「もし、ずっと前から・・・そうですね・・・あなたが一言発していたのならその時から。すでに貴方の意識は戻っていたってのはどうで・・・??」
その刹那、パラミナの横腹にロロの膝がめり込んだ。
「ぐ・・・ふ・・・???」
ロロの膝蹴りなど痛くも痒くもない。そんな甘い考えをまさしく一蹴するその一撃にパラミナの口から一筋の血が滴った。
「やっぱり・・・です?」
自身の推理が当たっていたと喜びたいが腹部の痛みがソレを許さない。しかも当たり所が悪いと来た。過去に負った箇所に命中した剣士ばりの膝蹴にパラミナはその場で膝をつきながら苦い笑みを浮かべる。
そしてここで今までパラミナの言葉に一切の返事を返さなかったロロの口がここに来て開く。
「・・・どうしようもないわよ・・・。私は・・・。意識が戻っても乗っ取られた時の感覚となんら変わりない。色んな欲が私の中で暴れ出す。そんな中でふと出たのよ・・・この二人が厄介ごとを持ち込んでるんじゃってね。そうしたらどうなったと思う?」
今にも消えてしまいそうな、自虐と絶望の混じり合う目が虚空を見つめる。まるで世界が終わったと言いたげなそんな・・・いや、本当に彼女の中の世界はすでに崩壊寸前まで陥っているのかも知れない。
「気づいたらシーナのお腹に穴が開いてたわ。一瞬だれがやったかわからなかった。でもよく見たら私の指がまっすぐシーナの穴の位置と重なってるのよ。後はもうどう考えても操られてるのを演じるしかなかった・・・。」
顔を手で覆い隠しその場でしゃがみ込んだロロはスッと指と指の隙間からパラミナを覗き込む。
「なのに・・・なのによ?貴方がネロに付き纏うって聞いた時から貴方を殺したくて仕方がない・・・・。多分ね・・・私は元々こんなゴミ女だったのよ。ネロを傍に置きたいなら・・・例え殺してでも。そう感情が湾曲した所で今までの人生でここまで狂った感情は持ったことなかったわ。」
よろよろと、トンと押せば倒れてしまう。そう思わせる立ち上がり方にパラミナもよろよろと立ち上がり顔を覆い隠すロロの手首を掴む。
「そもそも今日、今さっき顔を合わせたばっかのあなたになんでこんな事を言わないといけないんです?馬鹿なんじゃないんですか。あなたの言う通り貴方がゴミ女だったらどれだけよかったか!!」
声を荒げロロの顔から手を引き離す。露わになるロロの泣き顔にパラミナは頬を手で挟み込む。
「ゴミ女だったらゴミ女らしく笑ってるです!!!泣いてるって事はそういう事です!!!!それに心の奥底に誰でもそんな感情は持ってるもんです。」
「でも私はそれを抑えられなかった!!!もうこうなったら生きてく意味もましてやこれから生きていける気がしないのよ・・・ハハッハハ。いいわよ私は根っからの悪だと言うなら悪にでもなんでもなってあげようじゃないの!!パラミナって人?私を見限り殺しなさい。救いようのないと諦めこの私をいっそこのまま殺して楽にさせてよぉぉ!!!!!」
唐突に笑い声をあげ声を荒げパラミナを押し倒すロロは気づかない。決してどれだけ狂っていようともそれは本心ではない事を。自身を屑だと自虐哀れむロロの姿にパラミナは思い出したくもないあの頃を思い出す。
ズーと呼ばれる寄生型の魔物に取り憑かれた時のことを。最愛の母を殺し父を死まで追いやった。あの頃の自分を、正気に戻り後戻りも償い事もできないあの頃を。
思い出しただけでも死にたくなる過去の自分を思い出した。過去の自分が救えなくても同じように苦しむ人はみたくない。
「いいですよ・・・救ってやるですよ・・・。私自身も。」
そう言うとパラミナは苦笑いと共に未だ紅く煌めく彼女の瞳を睨みつけた。




