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王女の側近騎士は実は〇〇〇だった!?  作者: 十道 鉚
運命の出会いが世界を動かす風になる
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一話6 忘却の真実と始まりの異変

「お逃げください!王よ!」


俺が魔王と知った直後、シーナは一瞬にしてダールの前まで移動すると俺に剣を構える。


しかしダールはシーナの言葉に疑問を抱くように首を傾けた。


「どうしたシーナお前らしくないそんな変な汗をかいて。まず、なぜ逃げる必要があるのだ?」


「王こそなぜそこまで冷静なのです!!!目の前にいるこいつは!!!魔王は!!過去に近隣諸国を全て滅ぼし、親をも殺し。それだけでは飽きたらず世界中のありとあらゆる命を奪った人の皮を被った化け物です!!」


「はは、酷い言われようだ」


俺の飽きれ交じりの笑い声も彼女の怒声と明確な殺気が乗せられた眼光に一蹴される。


「黙れ!あの時、貴様を斬っておけば!!王を危険な目に合わせずに済んだものを!!!」


なおも目の前で殺気立つ彼女を見て後ろでとぼけた顔をするダールを睨み付ける。


「おいダール。そろそろ説明してやれよ、可哀想だろ」


「お、王の名を軽々しく・・・」


「確かにそうだな。」


「王よ!何を言って・・・!!」


普通に返答する王を見て更に困惑するシーナ。


「確かにネロは世界で魔王と呼ばれている。しかしな、それはあくまで噂だ。」


「何を言って。世界で最も知られる凶王が噂なはずありませぬ!」


「では、奴の本名を言えるか?」


「そ、それは・・・」


ダールの鋭い指摘にシーナは言葉を詰まらせた。それもそのはず、俺に初対面で会って魔王とわかった奴はいない、それどころか名前を言ってもほとんどの奴が気づけないだろう。


「シーナはあやつに別の場所で会ったが魔王と気づけたか?無理じゃろうな。なんせ魔王は世界一般的に知られている大虐殺、無差別殺人は全て潔白だからな。その理由を知っておるのも世界に10人ほどだからな。実際こやつが噂通りの化け物だったら今ここにいる我らもただではすまん。それに・・・」


そこで、俺はダールが俺を気にし始めていた。


「いいよ、そこからは俺が説明する。」


そういうと俺は一度、小さく深呼吸をし、シーナに事の真相を伝えた。


「俺のした近隣諸国を滅ぼしたこと、大虐殺や無差別殺人。まずこのすべての話は全部一つの事件が関係している。確かに俺は合計5つの国を滅亡に追いやった一人だ。だが滅亡させたくて滅亡させたわけじゃ無い。5つの内2つの国は共同である2体の生物兵器を生み出した。これはひとたび外に出れば世界を3日で終わらせるほどの力を持った魔物だ。その片方は俺とダール、それに加えて当時、最強を誇った5人の戦士。そしてもう片方には当時の三賢者、そして世界最強の騎士と謳われた俺の親父、ドラヴ・ジグローグとその近衛兵に近隣諸国の同盟軍で討伐に挑んだ。」


「ドラヴ騎士王・・・。」


と、そこで悲しげな顔で俺の親父の名前を呼ぶ彼女の目からは大粒の涙がこぼれ落ちていた。そこで彼女はようやく自身が涙を流していることに気づき必死に涙を拭う。


「なぜ私は涙を!?ドラヴなんて聞いたことも無いのに・・・姿、立ち姿・・・なぜ私は知りもしない男の事を知っているのだ・・・!?」


「消されるのだ。忘却と強欲の魔物、レイスに食われた者の記憶はこの世界に残らん。その変わりに偽りの記憶を埋め込むのだ。」


「し、しかし私はドラヴ師匠など・・・?師匠・・・?誰が?私の?そんなはずない!私の師匠は####なんだ!!!!!!!!!!」


偽られた記憶が崩れ始めると彼女はその場で頭を抱え膝をついた。それ見て俺は彼女の肩に手を置くと、忘却された真実を話しだす。


「お前の師匠は俺の親父だよ、だから俺の素振りを見てイラついたんだよ、昔、シーナに構えが似てるって散々言われたからな。あの時、姫の為って言ってたが。普通姫を思えば姫の連れてきた従者を殺したら姫の見る目が無いってことになっちまう。それに普通は府抜けた素振りを見て斬りかかるまで腹が立つ奴はいないさ。」


そして恐らくロロの言っていた嬉しそうな表情は潜在意識に残されていた記憶の断片が無意識に表情に現れたのだろう。実は自分も最初に会った時に薄々わかっていたと思う。なぜ俺がここに呼ばれたのか、今、目の前で記憶を弄られ取り戻そうとする彼女には見覚えがあった。俺がまだ『子供だった』頃、俺は彼女と一緒に親父に剣を教わっていた。


「師匠が・・・ドラヴ騎士王・・・??ここ、私の故郷はここじゃない・・・?わからないな・・・・・・。わかりたくない!!!!!!!!」


突然の叫び声と共に俺に斬りかかる彼女の腹部に掌底を放つ。腹部を強く打たれた彼女の目は次第に虚ろいで行く。


「疲れたな。また目が覚めたら話してやるよ・・・。だから今は休みな?」


「あぁ・・・そうしよう・・・・・・ネロ・・・・ジグローグ・・・」


虚ろぐ中でどこか満足そうに笑みを浮かべたシーナはネロに身を委ねるとゆっくりと瞼を閉じた。


「さすがにこの娘には現実を受け止めさせるには辛かったか・・・」


シーナの頭を撫でながら悲しげな顔をするダールに俺は「心配ないよ」と、言うとダールも「そうだとよいな」そう言って玉座に戻り、腰かけた。


「今回は我は疲れた、お前が我の娘の騎士になるか相応しいかは明日話すことにしよう。そしてシーナの話の続きだが・・・」


「それについてはいまからシーナの所に行って話せそうな状況なら俺から話すよ」


「辛い役回りすまんな」


「いまさらだけどな。ふぅ、俺も今回は昔の事思い出してちょいと疲れた。」


まだまだシーナには言うことがたくさん残っているが、ひとまず今は休息を取りたいと、俺はそう言い残すとダールに背を向け謁見室を後にした。


部屋に残されたダールは一人、誰もいない部屋に向かって呟く。


「ドラヴ殿、過去の因縁もそろそろ解消していかねばなりません・・・」


そう言ってダールは後ろにある隠し通路から書籍に戻った。


ネロ、ダール、シーナの対談とほぼ同時刻、バルネスタ王国より遠く離れた国、ダストン王国。近年で急激な成長により諸外国から注目を集めていたこの国の噂はバルネスタ王国まで伝わっていた。そんな国に異変が起きる。


ダストン王国市街地、出店目的の人々が行き交う中、その中の一人が突如、吸い込まれるように路地裏に姿を消した。また一人、また一人と。姿を消すたびに周りの人々が騒ぎだすが、次の瞬間には何事も無かったように日常に戻っていた。


そんな中、三人組の男性達が楽しそうに会話をしながら路地裏を横切ろうとしていた。


「去年まではこんな賑やかな街になるなんて想像できなかったぜ」


「まぁ、この国も去年に比べたら見違えるほど豊かに・・!?」


三人組の一人が会話の最中、腕を何かに強引に路地裏の奥に引き寄せられ、身体の態勢を崩して勢いよくこけてしまう。


「痛っつ・・・。なんだ・・・。」


引っ張られた男性は運悪く水溜りに倒れてしまう。周りには大小様々な石や枝が転がっている。どうにかその場に男性が頭を押さえながらも自分の腕を触ると腕を引っ張られた時に付いたであろう赤みがかった液体が手に付着する。


「なんだこれ・・・」


手に付いた液体は粘液質で触ると糸を引く。と、そこで男性はあることに気が付いた。路地裏は左右の建物のせいで光が届かず周囲は昼だというのに夜のように黒ずんでいた。しかし、よく見ると黒ずんでいるのは一部分で所々が黒ずんでいる程度だった。


それを男性がよく目を凝らすと、その黒ずんでいるものの正体に気づく。それは血だった。周りを見渡すと辺り一面に血痕が残り、石や枝と思っていたのは人間の頭蓋骨と骨だった。さらに男性が倒れていた場所には水溜りでは無く血溜まりが出来ていた。


「なんだこりゃ・・・殺人現場かなにかか!?」


『ペト・・』と、男性の頭に生暖かく、手に付着したのと同様の液体が掛かる。


「上から・・・?」


男性は粘液の正体を確かめるべく、上を見上げると・・・そこには何もないはずの空間に周囲の背景と同化するように大きな何かが居た。その何かは一目では認識できないが常に男性の頭上を建物にへばりつきながら動き回る為、明らかに異質な歪みが生じていた。。


「うわぁぁ・・・・あ?」


叫び声をあげようとした瞬間、男性はその何かに飲み込まれていった。


「おい!!なん・・だ・・!?豊かになんだって?」


「豊かになってきたなって話だよ。」


一人、仲間が消えたことなど最初からいなかったとばかりに話し始める彼らを周囲の人達も彼らと同様に何事も無かったように動き出す。


この国が人々から忘れ去られるのはこの数時間後の出来事だった。



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