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王女の側近騎士は実は〇〇〇だった!?  作者: 十道 鉚
見えない巨大な影
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4話19 一対二

「!?」


構えた直後、周囲の炎がミーナの作った道を侵略し始めた。


「ルアス。」


「すでにやっとるわ。」


呼びかけにルアスが返事しする頃には左右を挟む炎はその躍動感溢れる姿のまま動きを止めていた。


「飛ばすぞ。」


続く言葉にミーナはルアスの肩に触れ・・・二人の姿がロロの視界から消えた。


「ふぅ・・・。」


背後から聞えた息を吐く音に反応したロロは不可視の盾を背後に展開させた。


「二段目じゃ!!!!」


が、更に移動したミーナは背中にルアスを背負ったままロロを正面に見据え大剣をロロの肩に向けて振り下ろす。


それに対してすでに背後に展開した壁を前に戻す時間も無く、振り下ろされる剣を見て反射壁の質を上げたのかロロの身体が一層、青白い光を放つ。


「・・・!?」


が、次の瞬間にはロロの肩には身の丈程の巨大な剣が肩を抉り取らんと骨を粉砕した。


「ぁ・・・。」


咄嗟に肉を抉る大剣を拒もうと傷の断面に出現した氷は刃先を食い止める事に成功するがすでに剣先は肺にまで達していた。


致命傷の影響か生成した氷はすぐさま水へと戻り、それに合わせシーナは大剣を抜き去られた傷口、同時に口からも大量の血を噴出した。


「ふぅ・・・これで後は意識が無くなると同時に傷口の時を止めてゆっくり治せばよいな。」


「ロロ王女に仕方ない事でも傷つけるなどしたくはなかった。」


苦悩の表情を浮かべるシーナに背中にしがみ付いたルアスは地面に降り気の利いた言葉を掛けようすると。ふと、半目で虚ろぐロロの瞳が動き、苦悩に歪めるシーナの顔を捉える。


「ッ!?」


ただそれだけの動作だったが、反射的にルアスはシーナの腕を引っ張る。が、その時にはロロのだらんと垂れる指がピクリと動いていた。


「シーナ!!!!!」


どうにか時間を止めるももう遅く、決着とばかりに思っていた二人の勝利の油断を突くその一撃はシーナの腹に指一本程度の穴を開けていた。


「まだ抜かっていたというのか・・・?」


「動くでない!」


苦痛に歪ませフラフラとよろめくシーナをルアスが受け止める。決してシーナは己の怠慢から油断していた訳では無い。


普通、ここまで深手を負った人間は意識を失う所か即死する可能性すら十分にあった。それでもロロの精神力の前ではこれ以外にロロの意識を確実に失わせる方法は考えられずこの作戦を決行し、実際にロロの意識は消え失せる寸前だった。


なのに、ロロは虚ろぎながらもシーナに一矢報いた。もはやロロは人間を辞めたのではないのかと思ってしまうほどに・・・。


と、見るとロロの目にはすでにルアスの姿が映り込んでいた。それを見ているとルアスはもうロロの意識は途切れる事は無いのではと思えてしまう。その為、視線から逃れようとシーナを先の火の海の際に移動させたミルと同じ少し離れた安全な物陰にシーナ移動させるとルアスは時を動かした。


刹那、シーナとルアスの二人の間にパリッと電気が弾ける音が聞えたかと思うと二人の身体に電流が走り抜ける。


「ぐぁ・・・!?」


「がっ・・・!?」


どこまでが計算通りだったのか、丁度、ルアスとシーナの居た周囲に規則的に並んだ稲妻が同時に走った。さらにロロの肩に刻まれた傷は緑色の光に包まれすでに半分ほどまで癒着していたのだ。


「なん・・・じゃと・・・!?」


全身が痺れ地面に膝を付く二人は驚愕の表情を浮かべる。特にルアスはシーナよりも今の出来事に驚愕していた。


運悪く雷撃から発せられる光が出る前に時を止めてしまったのか、それとも・・・タイミングを見計らっていたのか。


実はルアスの時魔法には二つの欠点がある。一つはそれぞれの性質による干渉と累積。


つまり簡単に言えば時を止めていても物体、粒子、原子、電子などのそれぞれが持つ性質は止まらない。


例は炎を止めても触れれば熱く、氷に触れれば冷たいのだ。だから今の様に電気に連続して当たればそれだけのダメージが累積してしまい、時間を動かした時に一気に押し寄せる。


そしてもう一つは発動までの時間だった。


約1秒。これが最速で時を止めるまでに掛かる時間。さらにここから止める時間が長くしようとすればするほど秒数は長くなる。


仮に今さっき最速で止めようとしたのを読み、それに合わせて雷撃を撃たれたのならば・・・。


この短い短時間でロロはわてが反射物理障壁で炎に叩き込まれた時や、死角に出る必要性を推測し、実行したということか・・・。


「見事過ぎて・・・嫌になるのう・・・。」


「すまないルアス、私が油断しなければ・・・。」


「いや、わてもさすがにあそこから反撃するとは思わなんだ・・・。」


自分を責めるシーナに声をかけた直後、焔に照らされた陰が二人の背後に現れる。


「いつの間に!!!」


咄嗟に身を翻す二人の前には背後に移動したロロの持つ氷槍が深々と突き刺さり、それは枝木に分かれ二人に襲い掛かった。


「娘を置いてきてしもうた・・・!」


「今は自分の!!!!身の安全第一だ!!!!」


迫りくる氷の細枝を迎え撃ちながらミルを見ると、ミルは石で出来た手に掴み上げられていた。


「ロロ、そやつに何をする気じゃ!!!!!!」


当然、声がロロに届くはずもなく。ロロは治った右手でミルの口を開けると奇妙な、白い煙のような物が流し込まれる。


「何をしておるんじゃ・・・?」


すでに動きを止める氷枝を前にルアスとシーナはその光景に動きを止めた。


「んぅ・・・!!!??????」


白い煙を流し込まれた数秒後、突然苦しみ始めたミルの口から半液体状の液体が溢れ出た。


そしてそれは地面に落ちず空中で集められていく。


『ナゼダァ・・・ナゼダナゼダナゼダァァァ!!!!!!!』


ルアスが見るに堪えないほど無残な死を迎えさせたはずのソレは目と口だけのスライムのままその場で見えない何かに抗おうと蠢いた。


『ワタシガキサマノ・・・ヨウナニンゲン二ホロボサレルダト・・・?アリエン・・・アリエアアアアアアアアアアアアア!!!!!!????????』


ロロは叫ぶズーの言葉を最後まで聞かずその身体を炎で包み込んだ。


『アヅイ・・・!?アズイ!!!コレガヤゲル!?カラダガヤゲル・・・・・コンナミニクイスガダデジニダクナイ・・・アァ・・・ウラヤマジィ、ネダマシイ・・・ニンゲンガ・・・カタチアルモノガ・・・・二・・・・・・・・ナリダガッァ・・・。』


焔に包まれるながらもそれは己の本心を叫び声に変えながらもそれの身体は徐々に萎み、最後には跡形も無く消し焦げていった。


「・・・。」


「もしや・・・ロロ王女は・・・正気なので・・・!?」


「シーナ!!!!!!!!!!」


なぜ淡い期待を抱いてしまったのだろうか。半人前の分際でここに来たのが間違いだったのか・・・?ついそんな淡い期待を隣のルアスに相談したく横を向いたせいで、目の前で渦巻く焔を前にシーナは自分の馬鹿さに愛想をつかす。


今から剣を振った所で間に合わんな。そう諦めシーナは目を瞑る。


そして、ルアスの声を上書きした轟音の主はシーナを巻き込・・・まなかった。


「ふぅ・・・目的は違うんだけど。どうもあの男の匂いがついた奴がピンチだそうだし・・・借りを作るのも悪くないです。」


突如、シーナの前に降り立った黒マントの掌が炎に触れると同時に炎は紅い砂へと姿を変えた。


「さてさて?借りを作る口実をくれたのはどれです?」


黒いマントを翻した彼女は両手に煌びやかな装飾を埋め込んだガンレットを数回合わせるとシーナに笑みを向け。


「安心して、わたしが来たからにはもう安心です。」


そう言って彼女は飛来する巨大な氷塊を拳で殴りつけると氷塊は青い砂へと変えた。

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