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王女の側近騎士は実は〇〇〇だった!?  作者: 十道 鉚
見えない巨大な影
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4話13 渾身の一撃

不規則に動きながらも驚く速度で少女に急接近したロロを前に少年は一瞬だけ反応が遅れてしまう。


が、どうにか間一髪、少女に触手が触れる前に少年が触手と少女の間に割って入り刃を突き立てる。


「これは完全に化け物だろ。」


少年は顔を歪ませながらも苦し紛れに口角を上げる。


どうにか直撃は防いだものの防ぐことに集中したためか思うように切先に力が入らず触手に押し込まれる。


「ガンド!下がってくださいまし!!!!」


背後の声と共にガンドと呼ばれた少年は腰からもう一本の短剣を取り出すと触手を切り伏せながら左に飛ぶ。後ろでは少女の足元から複数もの光の筋が伸び地面が大きく盛り上がる。


咄嗟に危険と判断したロロは後ろに飛び退いた。その時、二本の短剣がロロの目に映る。それは半ば賭けでガンドが飛ばした短剣だった。


『アマイ・・・ヨ?』


完全に直撃コースに入る短剣。それをロロは自身の身体から飛び出した触手が迎撃しようと短剣を弾こうと・・・。直後、触手は短剣に触れた途端に断面を見せ斬り落とされていく。


『!?』


予期せぬ事態にロロは迎撃させた触手とは別の、一回り大きな触手を地面に突き立て移動する。


「選択ミスですわ!」


しかし、そこまでが想定通り。そう言いたいように少女は声を上げると突如、地面から飛び出した複数の黒く巨大な槍は触手を串刺したままロロの胸元へ向かって行き、またしても謎の壁に阻まれ止まる。


『物理ハ効カナイ・・・』


「ガンド行きますわよ!!!騎士用に取っても死んでしまっては元も子も無いですわ!『包め』。」


少女の呼びかけにガンドは少しはにかんだ様子で頷くと少女はロロの姿を掌で隠し、包み込むように手を握る。それに合わせ槍は流体の様に変化しロロを包み込む球体を生み出した。


「許せ起こすは禁忌の開放・・・許し与えよ、魔を滅せん禁忌の業を。」


少女の創り出した球体にロロが入ったのを見計らうとガンドは詠唱を始まる。


瞬間、球体は中からの凄まじい衝撃に伸縮を繰り返す。中でロロが抜け出そうと懸命にもがいていることは目に見えてわかった。


「滅する光よ、我が身を滅ぼし纏え!!!!!」


詠唱を続けるガンドが声を荒げると同時に身体から凄まじい光を発したかと思えばガンドの身体は雷がチリッと何度も音を出して身体を覆っていた。


曇天の下、ガンドの周りだけは目を瞑らずにはいられない程の光を放つ。その魔力を感じてロロがさらに激しく暴れ狂う。


それを少女は必死に抑えようと力を込めていた。


「ガンド・・・早くしてくれませんでして・・・?」


「わかってる・・・。」


少女の声に耳だけ傾けるガンドは剣を鞘に閉まうと小さく息を吐くと態勢を低くし柄を握る。その動作だけで周囲には甲高い音が響き渡り、ガンド自体が強力な磁場を形成させるのか地面の瓦礫が宙に浮く。


その際、ガンドは目を瞑った。今から放つ一撃は諸刃の剣、そもそも狼男との戦闘ですでに俺とミルは限界だ。これで決まらなければ俺とミルは死ぬ。だから決めるしかない。


「この一撃は神をも殺す。万物森羅、我が手の中・・・いざ滅さん!!!!!!!!!!!!!!!!」


その声がミルと呼ばれる少女に聞こえる前に、ガンドは剣を振り抜いた。そのあまりにも早い抜刀速度に剣を抜いたガンドの腕は空間に置いて行かれたかのように歪む。


振り抜かれた剣先から放たれた衝撃は空間を歪ませ飛翔すると途中、触れた物全て。黒い球体、中で叫び声を上げるロロの身体をすり抜け空を切った。さらに振り抜いた際に生じた衝撃に付近の地面は剥がれ、建物はまるで土で出来た家の如く崩壊する。


剣圧に触れた黒い球体は弾け飛び、直撃を受けたロロはその場で大量の血を吐いた。が、その血は赤とは言えない限りなく赤に近い黒だった。


『ナン・・・デ・・・?』


地面に落ちたロロは大量の血を吐き出しガンドを見据える。


「なる・・・ほどな。魔物憑きだったか・・・。でも安心だ、その様子じゃ宿主へのダメージは無さそうだな・・・。」


繰り出した技の反動で地面に突っ伏すガンドもロロと同じく血を口から零していた。


『マサカ・・オマエノヨウナワッパガ・・・!!!!!!!!!!』


目に憎しみに染めズルズルと地面を這ってガンドに近づくロロの足に、一本の光の矢が突き刺さる。


「キャラが・・・崩れていましてよ?」


矢を放ったミルは瓦礫の影から現れると疲労困憊の様子で瓦礫に背中を預けおぼつかない様子で再度、矢を構える。


『ワ・・・ワレガ・・・コノヨウナシヌ・・・?』


「そうよ、貴方は・・・子供二人に殺され・・・?」


『アリエン、アリエン、アリエンアリエンアリエンアリエンアリアリエンアリエンアリエンアリエンアリエンリエンアリンリエンアリンリエアエアエンアアアァァァァ!!!!!!』


狂った雄たけびと共にロロの身体から溶ける様に滲み出たソレはある種の四足動物の様を模るとガンドの元へと走り始める。


「行かせませんわ!!!!」


咄嗟にしては正確に放たれた矢は確実に半液状の化け物に突き刺さる・・・が、それは動きを止めない。


「ガンド!!!???」


駆け寄ろうと前に踏み出すが、途端に膝からその場に倒れ込んだ。


『コヤツサエウバエバ・・・!?』


液状のそれは反響する声で勝ちを確信すると共にガンドに触れる・・・。瞬間、ソレは横目で万が一にもとミルの場所を確認する。そのせいか・・・不意に遮る様に現れた者に気づかずソレは勢いよくぶつかると動きを止める。


もし仮に確認せずに前を向いてさえいれば十分に避けきれたであろうその立ち塞がる二人は真っ直ぐに液状化する魔物を見据えていた。


「ふむ、やはりキサマかズー。」


「この様な汚物にロロ王女は・・・?」


まるで瞬間移動でもしたかのように目の前に現れた二人をガンドは辛うじて見上げる。


二人の内、一人は浴衣姿に灰色の髪の幼女、一方、抑えきれない怒りを露わにする方は、ダークグレーの髪と同じスカーフで顔を隠している。


「さぁて、ちと遅くなったがロロへの仕打ち、覚悟するのじゃな・・・。」


ぶつかった相手を見るとソレはジリジリと後ろに下がる。


『ナゼココニキサマガ・・・。』


「はて?なんの事かの?」


ゆっくりと微笑むと同時に背を向けた醜いソレは霧状に四散した。

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