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王女の側近騎士は実は〇〇〇だった!?  作者: 十道 鉚
見えない巨大な影
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4話9 作戦失敗

黒く淀んだ雲の下、ロロとロボは路地裏を縫うように走り抜ける。さっきまでは何回か鳴り響いていた衝撃音は今や消え失せ何も聞こえない。


「ねぇ!本当にネロを置いていてよかったの!?」


何も聞こえなくなったことにロロは心配そうに後ろを振り返る。


「ええ、むしろ私たちがネロ殿の足を引っ張ってしまうでしょう。それよりも私たちは追手をどうにかせねばなりません。」


「追手?」


ロボの言葉にロロは周囲を何度も見渡すが人影はおろか何の気配も感じられない。


「追手なんて本当に居るのかし・・・。」


ロロが額の汗を拭い正面を向いた直後、ロロの背中に合わせるように黒い影が音も無く背後に現れるがそれにロロは気づかない。


「ロロ殿!」


「え?」


突然、耳元に鳴り響く金属と金属がぶつかり合う音にロロは足をもつれさせ態勢を崩す。


「今だ。」


ロロが態勢を崩したのを見計らうようにロボと鍔ぜり合う敵が声を上げる。するとその声に合わせるように左右の建物からレンガで作られた巨大な手が挟み込むようにロロを襲う。


「ロロ殿!!」


ロボが叫ぶときにはもう遅く、ロロの身体は石で出来た手で挟まれ見えなくなっていた。


咄嗟にロボは目の前の敵に向き直ると足で石畳と石畳の間に抉り込むように足を差し込むとそのまま相手に向けて石畳を器用に蹴り上げる。


蹴り上げた石畳がロボを押さえつける敵の頭に石畳が直撃するが敵は抑える力を緩めない。


「だからどうした。」


「どこからこんな力が・・・。」


ネロよりも背丈の小さい少年に力で互角、そればかりか押さえつける力を何倍にも膨れ上がりロボはとうとう地面に膝を着いた。


「終わりですわ!!!」


そして声を上げた声の主は建物の屋上から颯爽と現れ、前にロボに向けて光の矢を放った少女が同じ様に両手を白く光らせる。


「甘いのよ・・・。」


その時、声と共に背後の石の手が砕け散り幾つもの破片が二人目掛けて襲い掛かる。


「くっ!ですわ!」


少女は渋い顔を浮かべると右手を右から左に、左手を左から右へと交差させる。ただそれだけの動作で少女の目の前には左右の建物から石の柱が二本が現れ少女の身体を複数の破片から護っ・・・。


「な・・・!!!!!!!!!!」


たはずが、ただの破片は石の柱を粉砕し少女の身体へと吸い込まれるように向かっていき、少女の身体は弾け飛んだ。


一方、少年は態勢を最大限まで低くし破片を躱すと同時に二本の長剣をロボの膝に打ち込み動きを止め少年は身を屈めたまま蛇の様に地面を這いロロの首元へ刃を走らせた。しかし、走らせた刃はロロに触れる直前に硬い何かにぶつかる様に動きを止める。


「そんなんじゃ無理よ。」


懐まで飛び込んできた少年をロロは睨み付けるとロロはあり得ない程の速度で少年の額にデコピンを構え的を絞る。刹那、少年は反射的に地面を蹴るが刃が防がれたのと同じ何かが今度は背中に現れ背中をぶつけるとほぼ同時に額に合わせられたビコピンが炸裂する。瞬間、少年は数十メートル先の建物まで地面を数回撥ねて叩きつけられる。


「おかしいわね。かなり威力を抑えたと思ったのだけど・・・。」


ロロはそう言うと三回ほどデコピンを空打ちする。余裕そうに振舞うロロだったが、周りから見たそれは異常だった。


空打ちする指は紫色にまで変色し、顔は苦悩に歪み瞳は真紅に赤く光る。


なぜロロがそうなっているのかわかっていたロボは持ち前の再生能力で足が完治したのを確認すると誰にも聞こえないよう小さく声を出すとロボは息を整え・・・。


「ロロ殿!!危ない!!!!!」


完全に、ロロの死角から放たれた光の矢から助けようとロボは飛び出した。


が、ロロはそれを予知していたかのように背後に巨大な氷壁を作り出す。その時、ロロとロボが触れ合うギリギリの所で突如、ロロの左半身からロボの右手の光を不気味に反射させる触手が飛び出しロボの攻撃を緊急回避する。


突然の事にロロはそのままの勢いを殺せず建物に直撃し、服は破け頭部からは一筋の血が垂れ落ちる。


「今のが避けられますか・・・。」


「いつから気づいてたの?」


呆れたように笑みを浮かべるとロロの身体へと触手は戻っていく。その頃にはロロの傷口は塞がり服も修復され無傷の時と変わらぬ風貌を見せる。


「数時間前ですかね。」


ついでとばかりにロロへと戻っていく触手を魔法で強化した右手で叩き切る。叩き切られた触手はその場でしばらく暴れ続け、動きを止めた所でロロは鬱陶しそうに眺め額に手を置いた。


「そう・・・迂闊だったわ。」


「確かに迂闊でしたね。」


「まぁそれは貴方も変わらないわね。」


と、不意に手の奥から覗かせる瞳にロボは直感だけで後ろに跳躍する。瞬間、ロボの居た場所にはすでに何十本もの細い触手が突き出している。


「終わり。」


不意にロロはそう言って指を鳴らした。そして空中へ回避行動を取ってしまったロボに合わせる様に二本のとげとげしい触手が地面からロボを捉えた。


「なんの・・・!!!!!!」


「よく迎撃出来たわね。」


切られた触手は地面を通してロロの背後から姿を現す。ロロは切り口を優しく撫でロボに突き刺さる一本の触手を見て優しく微笑んだ。


ロボは苦笑いを浮かべながらも触手を抜き取ると傷口を押さえながらも強がりを見せる。


「ネロ殿ならば初動で決めておられたでしょう。」


「無理よ、まずこんな隙をあんな化け物の前では見せないわ。」


「だから別行動を取ったのですが作戦失敗の様ですな・・・。」


「そもそもアイツはロボを過大評価しすぎなのよ、ねぇ?」


「このざまでは言い返す言葉もございませんな。」


「まぁいいわ。ほら、隠れてないで他の二人も出てきなさい。」


ロロは周囲を見渡し手を叩く。すると、複数の複数の触手があちこちから飛び出し、それらから逃げるように二人はロボとロロから距離を置いた所に着地する。すでに少女は破片による致命傷は避けたものの満身創痍で所々服は血で染まっていた。


「あわよくば仲間討ちを望んでたんだがな・・・。」


「そもそもあの触手は何ですの・・・。この前の彼女とはまるで別人ですわ。」


困惑するように言いあう二人を見てロロは少年の言動に首を傾げた。


「あら?ロボのエキストラではないの?」


「そんな者を呼ぶ時間も無かったですので・・・。」


「あら、そうなのね。」


そこできてようやく瓦礫から身体を起こす。するとロロの背中から伸びる巨大な触手が地面から抜き出る。


どうやら触手の仕込みは完了したらしい。


ロボは地面に警戒心を強めるがロロは「予想が外れてるわよ、アハハッ」と、とてつもなく不気味な笑みを浮かべると今までの様子とは一変、ロロに乗り移る本体が素顔を現した。


「サァ・・・コロシアイマショ。」


舌で唇をじゅるりと舐め回すとロボを指差す。それ見たロボは再度、今度は地面に沿う様に跳躍するが・・・。


「オマエハオワリ・・・ダ♪」


「なん・・・です・・・と・・・。」


ロボの全身から突き抜ける触手の枝にロボは着地出来ず地面に落下した。


「アトハ・・・フタリダ~ケ?」


ギョロリと向けられた瞳に少女は怯み上がる。瞬間、少女に急接近したロロの肩から伸びる触手が少女へ向かって振り下ろされた。

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