表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王女の側近騎士は実は〇〇〇だった!?  作者: 十道 鉚
見えない巨大な影
43/70

4話5 出来る事

よろよろとベッドから立ち上がると手探りで壁を伝い出口に辿り着くと俺はゆっくりと扉を開ける。


すると、外から差し込む光に目がやられ少しの間、目を細める。


「朝・・・か。」


俺はそう言うと再び部屋に入り剣を手にすると人の気配が一切無い廊下を歩く。


今思えば何気にこの廊下を歩くのは初めてだ。最初こそ小さな宿だと思っていたが廊下は以外に長く部屋数も多い。だが、人とは一度もすれ違う事はなかった。


それもそのはず、昨日の騒ぎの一件で、客は全員逃げたかもしくは・・・。


と、そこまで考えると俺は朝に考え事じゃない、そう一蹴し一階に降りるとそのまま通りに出る。


まだ朝が早いのに何人もの人たちが通りを行き来し、俺と目が合うと微笑む様に挨拶を交わしていく。


もし人がいないのであれば素振りでもしようかと思ったがとてもじゃないが危なくて出来ない。


そう判断した俺は部屋に戻ろうと宿に目を向けると、宿の看板に目が行った。


「魔術屋・・・ラロウア 準備中・・・?」


どう考えてもおかしかった。ここは宿だそもそも魔術屋なんて聞いたことも無いし店の名前もアウロラを逆にしただけだ。


そして今のロロはロロ自身ではない。そう考えるだけでこの看板が奇怪だった。


俺はこの看板についてロロに聞こうと二階に上がる階段へ向かう所で、ふと階段から更に奥の扉から光が差し込んでいるに気が付く。


俺は閉めるついでに扉の先を見るとそこには手入れの行き届いた中庭が姿を見せた。


「綺麗だな。」


朝日を浴びた花が各々に個性豊かな彩を見せ合い風に揺られ花びらを散らす。俺はその光景に惹かれるように中庭の中心まで行くと地面を軽く蹴る。


「ん・・・ついでだ。ちょっと動かすか。」


軽く蹴った程度ではびくともしない地面と確認した俺は大きく伸びをするとその場から横に跳躍する。そのまま壁に着地すると再度、跳躍、反対側の壁でも壁を蹴るとそのまま五階建ての宿の屋根まで音を出来るだけ立てないよう繰り返す。


そうして繰り返し屋根まで上るとそこで宿の大きさを知る。中庭を囲うように建てられた宿は自分が思っていた以上の大きさだった。


そう考えると昨日の戦闘で被害が出た一角だけが人の気配が無いのはわかるがこの人気の無さは異常だ。


そんな疑問を持ちながら俺は屋根から中庭へと飛び降りる。


中庭に落ちていく中、目の前の窓に目がいった。


「嘘だろ・・・?」


朝日の反射でよく見えなかったが俺はそれが見間違いだと思いたい。間違いかどうか確認する意味でも俺は壁を蹴り反対側でもう一度、跳躍しその問題の窓を覗き込む。


その瞬間、その光景を見た俺は剣で窓を切り刻むと部屋に転がり込んだ。


「・・・っとにどうりで人の気配がしねぇ訳だ・・・・なによりロロの身体でこれは・・・許せねぇな・・・」


俺はロロに聞こえないように唇から血が流れるほど噛み怒りを押さえつける。


そして俺は目の前のベッドで朝日を受け光る氷塊の中で我が子を護る様に抱く親子を見ると拳を握り言葉を発した。


「すまない・・・この責任は全て俺にある・・・だから恨み呪うなら俺を呪ってくれ・・・。この償いは絶対にする・・・。報いも受ける。復讐も、仇も討つ・・・。だから少しだけ・・・待っててほしい・・・。」


今の自分ではロロを助けることも出来ない。ただ、だからと言ってこの親子が死ぬ事も、大勢の人が死ぬ事は無かったはずだ。


しかし、今はまだどうすることも出来ない・・・。


そうなえば俺がする事は一つしかない。


「今できる事・・・か。」


俺はそう言うと背中から窓に向かって身を投げた。





俺が部屋に戻るとすでに二人は支度を済ませ俺の帰りを待っていた。


急かすネロに俺は急いで身支度を整えると三人揃って部屋を出る。


「それで?今から私たちはどこに向かえばいいの?」


「ここから南に歩いてダストンって国に向かう。」


「ダストン・・・?聞いたことないわ。」


「まぁ行けばわかるさ。」


そんなことを喋りながらも階段を降り出口に向かおうとしたその時、ロボが甘い蜜の香りを嗅ぎ取ると中庭へ続く扉を見つめる。


「花の匂い?」


「あぁ、中庭にある花の匂いだろうな。てかよくわかったな。」


「これでも狼なので。」


「へぇ~中庭なんてあったのね。」


「そうみたいだってオイ。」


「いいじゃない、時間はたっぷりあるんだから。」


「ハハ、俺達・・・一応、お尋ね者なんだけど?」


忘れていたのか、知らないのか、ロロの身体でロロらしく喋るそれを見ていると、朝の事もありどうしても上手く笑えない。


そんな事知らないとロロは俺の言葉を手で軽く流すと興味津々に中庭の扉を開ける。


「へぇ、どんな感じ・・・へぇ、綺麗ね。・・・ってあれ、お墓・・・?」


そう言うとロロは俺を見ると中庭の中央にある墓石を指差す。


「あぁ、あれな、慰霊碑だな。」


「なんでこんな所に・・・?」


「さぁ・・・?」


「そう・・・なんて書かれてたの?」


「『誓おう 途絶えた永劫の安寧を ここに捧げる』」


「ん~?」


「どうした?不満か?」


「いや、別に。」


「はは、なんだよその反応。もう行くぞ。」


「わかってるわよ。」


数秒程、慰霊碑を見つめた後、ロロは俺とロボを追うように小走りで宿を出る。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ