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王女の側近騎士は実は〇〇〇だった!?  作者: 十道 鉚
見えない巨大な影
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4話2 狂った偽り

何が最善の道を選ぶだ、これじゃまるで最悪の道じゃないか・・・。


今の戦闘で腕を貫かれたロロの腕に応急処置を施しながら俺は顔をしかめる。


外にはすでに騒動を聞きつけ小さな人だかりが幾つかできていた。今は様子を見てか大人しくしているようだがこの宿にに押し入ってくるのも時間の問題だろう。


「ロロ、すまない俺のミスだ。」


「ネロ・・・怪我は無い?」


「俺は背中を軽く抉られただけだ・・・それよりロロの方が傷が深い・・・。」


「私の・・・あいつら絶対に許さない・・・。」


またロロは今までで見た事の無いような鋭い目で遠くの敵を見据え俺にも聞こえない程の小言を吐く。


その姿はまるで目の前にいるのがロロの皮を被った何かのようで俺は言いようのない何かを胸に抱いていた。


「・・・今はそんな事を考えてる場合じゃない。ロボが身を隠せる場所を探してる。ロボが戻ってきたら移動するぞ。」


「?」


俺の言葉に殺気に満ちた顔からいきなりきょとんとすると首を傾げる。


「ここ使えばいいじゃない。」


予想外の言葉に周囲の凄惨足る有り様を見返すと同時に俺の顔は更に険しくなっていく。


「まずいな・・剣に幻覚の薬が塗られてたのか。元々馬鹿だった頭が更にポンコツになっちまうぞ・・・。ロロ、体は重くないか?吐き気は?頭痛は・・・?何か異常は・・・クソ、こんな事なら薬草学でも学んどけば」


「ネロ・・・。」


「ロ・・・ロ・・・?」


突然、俺の首元を片手を回すと優しく引き寄せられると・・・。


「誰ぁがポンコツよ!!!!」


「あ・・・が・・・!?」


なぜかロロの足が攻撃魔術特有の白い光を帯びたなと思った直後、それは跳ね上がった。物凄い勢いと共に跳ね上がった足は俺でも反応しきれない速度で俺の急所を捉え・・・・・・・・。


俺は全く持って予期できなかったロロの一撃に膝から崩れ落ちると無様にその場で床にうずくまる。


「ふぅ・・・。」


その様子を見て額を拭うようにやってやったぜ感を出すロロはゆっくりとその場に立ち上がると周囲を見渡すと何かを見つけたように歩き出す。すると氷から飛び出していた小さな木の板を強引に引っ張り出すとそれをなぜか口に咥え込んだ。


その間にも刺された左腕からは包帯を浸透し血が止めどなく滴り落ち床一面に色がる氷を所々赤く染めていく。


木の板を咥えたロロは突き刺された左腕の包帯を取るとそっと右手を添え目を閉じた。すると、右手が今度は今までの色とは違い淡く緑色に光り始めると・・・。次の瞬間、左腕の変化とその光景に俺は痛みを忘れ目を見開く。


「っ・・・あああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」


叫び声を上げるロロ。その叫び声に合わせる様に長剣で骨を砕かれ貫通していた傷は少しずつだが確実に再生していく・・・おぞましい程の音と共に。


腕からはロロの叫び声に劣らない程の不気味な音が鳴り響く。多分だが骨が元の姿に戻ろうとしているのだろうか、パキッパキッと乾いた音が部屋中に鳴り響く。


見るに堪えない光景に俺はゆっくりとロロに歩みを寄せると徐々に骨の音とは別に肉が形を戻そうとする生々しい音が耳に入る。


俺がロロの近くに移動する頃にはロロの左腕は傷跡残さず再生していた。その時間は30秒も満たない程だったが見る事しか出来なかった俺にはその間の時間が何倍にも感じてしまう。


「どうしたのネロ。そんな所で突っ立って。」


痛みに耐えたロロは汗で額を濡らしていた。


「もう腕は平気なのか?」


「えぇ、この通り。」


俺の質問にロロは左腕を上げると左手を不規則に動かし見せた。


笑って答えるロロだったが、再生していた光景を見た俺はここでどんな言葉を掛ければいいのかわからなかった。


「さて、後はこの騒動でも片付けますかね。」


そんな中、俺の気も知らないでロロはその場で大きく伸びをすると壁を突き破っていたゴーレムの拳に足を向ける。


ロロは拳に合わせる様に氷越しに手を置くとゴーレムを覆う氷は水蒸気も残さず一瞬で蒸発する。


「分解。」


直後、ロロの掛け声と共にゴーレムの拳はその場で土塊に変わり崩れ落ちた。


それと同様に床、左右の壁を突き破っていた拳を早々と土塊に変えたロロは最後に天井を突き破っていた拳に手を伸ばす。


「ん~、ん~!!うぉ~!伸びて~!!」


精一杯、手を伸ばしたり跳ね回るが拳には寸での所で届かない。


「あ~あ、誰か後片付け手伝ってくれる様な突っ立ってるだけの人はいないかしら?」


チラッ、チラッと何度も俺の方を向き皮肉を垂れるロロに俺はロロの胴を持ち上げる。これは皮肉を垂らすロロに従った訳じゃ無く届かない所に必死で届かせようとする様を見て憐れみを込めて高い高いを実行しただけだ。


「伸びた!!!」


「ロロは高い高いが似合ってるよ。」


冗談めかしに笑いながら言うとロロは俺を呪い殺すような顔をした後、笑みを浮かべながらゴーレムに触れるロロは俺の顔を蹴りつけその場から離脱。合わせる様に土塊に変わったゴーレムが俺に襲い掛かる・・・予定だったようだが。


「まぁぶっちゃけロロの前でも油断しなければ当たらない。」


「さいてーよ・・・。」


俺を踏みつけ逃げようとしていたロロは土の山から顔を出すとどや顔を決める俺を睨む。全身をどうにかして山から脱出したロロは頬を膨らませながらも全身の土を手で身体の土を払うとその場でかがみ左手を氷に触れる。


「溶けろ。」


短く告げるロロの言葉に従う様に今後は一面の氷がさっきとは違い徐々にその形を失っていく。


氷がその姿を小さくなっていくのを見計らいロロは右手も同じ様に溶けて露わになった床に触れ「巻き戻し。」と声を続かせる。


すると周囲で溶けた氷から姿を見せていた部屋の残骸、散らばっていた大小様々な木の破片や瓦礫が次々と崩壊していた床や天井、壁に吸い寄せられ部屋の形を成していく。中にはゴーレムにへし折れてた巨大な柱はバキバキと大きな音を立てて本来の場所で「元々折れてなんかないですよ。」


と折れた根元まで綺麗さっぱり元通りになった所で動きを止めた。崩壊寸前氷漬けだった宿は一分もしない内に宿全体が戦闘前の姿を取り戻していた。ただし、なぜか窓だけは消えていた。


「チートかよ・・・。」


「ちーと?チーズは好きよ?」


ロロは笑いながら返すとそそくさと扉を開け廊下に出る。


「おい、どこ行くんだよ。」


「ちょっと外の人の記憶を消してくるわ。ネロはゆっくりしといて。」


手を振りながら廊下へ姿を消したロロを見て俺はポカンと口を開ける。


「完全にルアスの家でリミッター外れたな、別人みたいじゃねぇか。いや、あれが素か?・・・・怒らしたら殺されそう・・・はは、笑えねぇ~。」


と、一人部屋に残された俺は苦笑する。










「ふんふんふ~ん」


私は陽気に鼻歌を歌いながら外に出る。


「お、おい!?人が出てきたぞ?」


「中は?中で何が起こったんだ!?」


「何がって何がですか?」


私は外の群衆に出来る限りの作り笑いで答える。


「な、何がって今の今まで宿が!!」


周囲にも響き渡るほどの声量で喋る男の口元に私は指を当てて微笑む。


「し~ですよ?寝てる人も多いんですから。被害は最小限に・・・ね?」


「お、おう。」


男は私の言動に少々疑問を抱きながらも口を閉じる。しかし、その男が黙ればまた違う男が、女が、男が、次々と口を開く。


「・・・・あぁ、うるさい蠅共。私とネロの二人っきりの時間も外に蠅が群がられたら溜まったもんじゃない。喋らないだけ蠅の方がましね・・・」


周囲には聞こえないよう下を向き小さい声で言ったはずが、目の前の男には聞こえたらしく男はそっと私の顔を覗き込む。それに合わせる様に私は笑顔を向けた。


「皆さん。こんな時間にこんな所に居たら危ないですよ?触らぬ神に祟り無しと言いますし、興味本位で騒ぎに首を出せば・・・。」


とそこまで言って周囲の空気は変わり、一瞬で夜の静寂が戻る。


「死にます。こんな風に・・・ね?」


言い終わる頃には目の前の人だかりは消え、代わりに一個の大きな肉団子が出来上がる。肉団子からは血が流れ地面を濡らす。


「あぁ汚い♪こんな様子をネロに見られたりしたら嫌われちゃうわね・・・。」


私はそう言いつつ「消えて消えて」と手を二回叩く。ただそれだけで異臭と血を吐いていた肉団子は次の瞬間には血痕も残さず綺麗さっぱりと消えて無くなっていた。


「さ、ネロの元に戻りましょ♪」


私は最後に周囲を睨むように見渡し、誰にも見られていない事を確認すると鼻歌を歌いながら宿の中に姿を消した。







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