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王女の側近騎士は実は〇〇〇だった!?  作者: 十道 鉚
光に潜むは闇
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3話15 カミングアウト

「・・・・・魔法も使える様になったのよねぇ~。意味わかる?嘘つけないの。さぁネロ?この空間に連れてきた理由でもある貴方の過去。聞かせてね?」


私は堂々と、それでいて自信満々に嘘をついた。実は嘘が見破れる魔法なんて使えない。てか多分だけど存在さえしない。でもアウロラの花ならば・・・そうネロにそう思わせるように私は微笑みながら手を伸ばす。


それに対してネロは思惑通り信じ込むようにその場で固まり一筋の冷や汗が頬を伝って落ちる。


私の今の会話での嘘。しかしこの空間の話は全て本当だ。最初はネロが起きるまで暇だという理由でルアスに付き合ってもらって幻術を身に着けた。まぁはっきり言って出来ちゃった的なノリでは無かった。変に出来そうな感覚が私を諦めさせてくれなかった。


今ではこうして軽く話せるが当初は何度も何度も何度も試し、やっとのことで意識の世界を作り出す頃には疲労困憊で床にペタンと座っていた。


しかも、この空間に初めて入った瞬間は魔物の作り出した空間に迷いこんだ何倍もの吐き気が自身に襲い掛かる。さらにその空間を作り出す時間はゼロに等しく現実に戻った時には私は華麗に嘔吐した。


ルアス曰く曖昧な世界に入ったことで身体の至る部分が誤作動を起こしているとの事だ。最初は何回も吐き気に見舞われ嘔吐したが、空間を作り出す時間が伸びれば伸びるほど吐き気は薄れていく。


幸い、アウロラの花のおかげで魔力切れ寸前からの急回復を繰り返しネロが起きる頃には約13時間、この空間の維持に成功した。と、まぁそんな事をネロに話せる訳も無い。ゲロゲロ吐きながら習得しましたなんて絶対に言えない。絶対に!!


真実と嘘を混ぜれば見破れない。そうルアスに言われたので実行してみたら、一瞬バレないかと焦りはしたが想像以上に効いたよいうだ。


ようやくネロの過去や素性が明らかになると思うとついつい表情筋が緩んでしまう。私はそれほどまでにネロに依存、執着しているのだと自覚する。


「まずな・・・。」


決心でも付いたかのように真剣な表情で語り始めるネロに私は食い入るように耳を傾けた。


「まず、俺は一国の王だ。」


「へぇ、そうなん・・・・・・え!?」


どんなことを言われようと動揺せずに受け止める準備をしていた、もし仮にとんでもないカミングアウトを、例えば同性しか愛せないとか。そんなありえない真実を告げられても相手が傷つかないようにポカ―フェイスを貫くつもりだった。


しかし、初っ端から告げられた言葉に私のキャパシティを大きく上回り顔から血の気が引くと共に一瞬で動きを止める。


「冗談は・・・いらないわよ・・・?」


「なんでバれる嘘つかないといけないんだよ。嘘か本当かなんてロロの魔法でわかるんだろ?」


即座に痛い所を突かれ動揺を隠し切れない私にネロはなぜか真剣な顔で続ける。


「ちなみに俺が国を留守にしている間はジークに国務を任せてる。」


「へ、へぇ~ネロって王様だったんだ~。それにジークフリートさんね~。以外ね~。」


いや嘘でしょ!!!絶対嘘でしょ!!!!なんなの!?実は私が嘘見破れない事わかってるんじゃないの!?そうじゃないとそんなふざけた嘘つけないわ・・・よ?


あれ?でも、そういえばネロはジークフリートを知ってるようだったし、ネロが王と思えば簡単に城に入れたことも納得が・・・・。それにお父様とも仲良さげだったし・・・。


頭の中で幾つもの可能性が私を苦しめる。そんな中でネロは私が頭を抱え込むのを見て手をポンと叩き、次の瞬間には悪い事を思いついたかのような笑みを浮かべる。が、私がネロを見る瞬間にはさっきまでの真剣な表情に戻すと立ち上がり、どこか遠い先を見るようにさらにこう告げた。


「俺さ、実はドラゴンなんだよな。」


頭の中を処理しきれていない状況でさらに畳み掛けられ私は絶句する。


「しかも結構上位の存在でさ。まじ軽い感じでとりま滅べ♪的なノリで国はやれるぐらいには強いんだ。」


明らかに嘘のように語るネロだが真剣な表情は変わらない上に最後に決め顔をされ私はネロの嘘に騙された私はネロがドラゴンだという現実を受け止めきれずベッドに倒れ込む。


「嘘よ・・・ネロがドラゴン・・・?」


誰でも聞いたことはあるドラゴン。はるか昔、地球の生態系の頂点に君臨しその風貌と圧倒的な戦闘力で恐怖と信仰を得ていたドラゴンはここ数年で食物連鎖に負け激的に数を減らしその姿は幻とまで言われている。


そしてその食物連鎖に勝った生物こそ人間だった。最初は幼竜を、次第に中型、大型とドラゴンは駆逐され絶滅に瀕していたドラゴンは自らを人の姿になる事で生き延びていると言われている。


そんな竜人だと言い出すネロ。それが自身の好きな人だとすればその事実は通常の人間にはとても受け止めきれるものでは無いはずだった・・・通常の人間では。


すでにここ数日の出来事で通常の人間の考えからは遠く離れた思考を持った私はすでに立ち直ると、もはやどうネロと愛を育むかに至っていた。


「まず人とドラゴンの子供なんて出来るの・・・?もし仮に出来たとしても人?それともドラゴンなの・・・?食べ物は何がいいのかしら・・・?やっぱり肉?肉なの?」


ブツブツと怪しげな計画を目を回しながら一人ベッドの上で口ずさむ私を見てネロが軽く引くように告げる。


「嘘・・・・・って言ったら怒るよな・・・?」


「え・・・?え・・・・・・・・・・・?え?」


申し訳なさそうに嘘だと告げるネロに、真実だと思い込んでいた私は憤りを越してなんの感情なのかわからない感情に流されるまま勢いよくベッドから飛び降るとネロの眼下まで来て目を合わせる。


「嘘なのね?」


私のいつにもなく真剣かつ怖いほどに無表情な顔を見て百戦錬磨のネロも思わず身じろぎする


「は、はい。ロロが嘘を見破れる何て嘘をついたのでお仕置きだ感覚でつい・・・・。」


「お仕置きだ・・・ね。」


ネロの言葉をしっかりと聞いた私は瞬時に反転すると再びベッドに向かって歩き始める。背後ではネロが私の表情に脅え肩を震わす。


そしてネロは私を怒らせたと思い込みをしてる中、私は嘘だとわかったことの嬉しさで破顔した顔を見せまいとベッドに乗るとそのままシーツに包まり込んだ。


「・・・そうなのね・・やっぱり嘘なのね・・・そうよねそりゃそうよね・・・・王様とかドラゴンとかありえないわよね。」


ネロに聞こえないような小さな声で自身の心に言い聞かせると、どうにか気持ちは落ち着きを取り戻していく。


背後ではシーツに包まる私を見てネロが恐る恐る声を出す。


「ロロ?」


「・・・・・なに・・・・?」


どうにか収まりかけていた気持ちだったがそれでもまだ声を出すと悟られてしまうと思った私は、シーツで口を隠しながらも、ネロを見ると出来るだけ小さく言葉を返す。


「お、怒ってる・・・?」


「・・・・怒ってないわよ・・・?」


怒る?そんな訳ない。元々、嘘をついたのはこちら側。それで相手に嘘をつかれても怒れる訳がない。しかし、ネロはそんな事など関係無いとばかりに私の機嫌を取り持とうとアタフタしている。


その様子を見ると、戦闘中は滅多な事で焦らないネロが、こんな他愛もない話で人一倍まで焦っているのがおかしくてたまらなかった。


しばらくアタフタしているネロを見つめていた私だったが、とうとう泣きそうになるネロを見ていると自然と笑いが零れ落ちる。


「フフフ・・・。ほんと、ネロは戦闘は歴戦の猛者だけど、人とのやりとりは素人同然ね。よくよく思えばこんな事で泣きそうになってるあなたが王様なんてありえない話だわ。」


ベッドの上でクスクスと笑う私を見てネロはハ・・ハハッ。と愛想笑いに似た声を出した。


その様子を見て私は「どうかしたの?」と質問すると、ネロは腕を組み首を数回傾げると上を向いて答えた。


「いやぁ・・・・王様の下りは・・・本当なんだよ・・・。」


「え・・・・?」


きょとんとその場で再度、固まる私を見てネロが苦笑いで自分を指差すと。


「俺、一国の王やってます。」


「嘘・・・よね?冗談でも笑えないというか、スベってるわ・・・よ?」


「別に笑いとるつもりもなければこれは嘘偽りない事実なんだよ・・・・。」


ネロが王様という事実をもう一度聞かされた私の顔が徐々に青ざめていくとともに苦笑した。


「は、ははは・・・・夢なら醒めて・・・。」


目の前で苦笑する私を見ていたネロは少しだけ哀し気な顔をしたように見えた。

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