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王女の側近騎士は実は〇〇〇だった!?  作者: 十道 鉚
光に潜むは闇
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三話10 奇跡の魔術師

自身の首元目掛けて迫る刀身は突如、目の前に現れた黒い影が遮ると、黒い影は少女を抱き抱えネロから距離を取る様に飛び退いた。


「貴公が・・・諦めてどうする。」


武人のように低い声を聞き、少女は助けてくれたのがロボだと理解する。しかし、ロボはネロの攻撃から少女を助け後ろに後退するが、着地に失敗したのかロボは地面に強く接触すると石の床に勢いよく投げだされた。


数メートルほど投げ出せれ全身を強く打ちながらも少女はどうにか立ち上がる。その際、身を挺して助けてくれたロボは目の前で倒れ込みながらもこちらを見つめおもむろに口を開く。


「諦めるな、希望を持て・・・。」


「大丈夫よ、諦める・・・なんて絶対に言わないから。」


少女は確固たる意志を持つかのように言葉に力を込め立ち上がると目じりに浮かんだ涙を拭った。


「そうか・・・ならばよかった・・・。」


なぜか、安心したかのように笑うロボを見て私は立ち上がらない事に疑問を抱く。


「ロボ・・・・?」


その時、少女はロボが立ち上がらないのではなく立ち上がれない事に気が付いた。ロボの身体を頭、胴と見たところでそこから先は無く、代わりに大量の血溜まりが出来ている事に目を見開く。


「ロボ・・・、貴方・・・。」


「悲しい顔をするな・・・我が命などもとより死んだも同然。然ればここで散っても悔など無い・・・・・・・ロロ殿、後は・・・頼ん・・・」


徐々に声が小さくなり、言い切る一歩手前でロボの目からは光が消える。


動かなくなったロボに少女は近づくとその場でしゃがみ込み、そっと鬣を撫でる。


「ロボ、貴方と出会ってあんまり話はできなかったわ。でもその少ない時間で貴方は本当の目的や野望を聞いた。命を賭しても叶えたい願いがあるのに・・・それなのに助かるかわからない馬鹿の為に死ぬなんて・・・・いいわ、後は任せなさい。」


ロボの瞼を手で落とすと立ち上がり握り拳を握る。そして少し離れた所で渦巻く黒い瘴気の嵐。その中で悶え、暴れ狂うネロを少女は見据える。


「今、今行くわネロ。」


そう言うと少女は一歩ずつ歩き始める。一歩ずつ、一歩ずつ近づくにつれて黒い瘴気は濃くなり少女の皮膚に傷をつける。ネロとの距離が10mほどの距離になった時には瘴気のせいか息が全くできなくなっていた。そればかりか近づくまでに荒れ狂う瘴気の渦で少女の全身は血で染まっていた。


「あと、少しなのに・・・。」


それでも一歩ずつネロに向かって足を踏みしめる。そんな中、少女の胸元からは淡く白い光が溢れ出していた。




暴れ続ける剣士を前に、少女は全身を黒い瘴気で出来た傷で血まみれになりながらも確実にその距離を縮めていく。どうせこんなことをしても無駄だ。仮に近付けたとしても彼女は剣士の振り回す剣に四肢を断たれ哀れに床を血で染め上げるだろう。


この場で少女の助けたい魔物が正気に戻るなど不可能だ、諦めるんだな。


どこからかそんな声が聞こえた気がした。いや、実際に声は頭の中に明確に響き渡る。


「―――不可能なんて言葉があるから諦めるって言うなら、私は不可能なんて信じない!!」


頭で囁く耳障りな声を一蹴しようと叫ぶ姿に頭に響く声は驚愕の声音に変わる。


まさか、聞こえたのか?馬鹿な、奇跡か・・・?いや、偶然だろう。


ソレは自身の声が届くはずない。もしも聞こえたとしてもそれは偶然であり二度目はない。そう考え少女の起こした奇跡を偶然で終わらせようとするが、再度、奇跡は起こる。


「私は奇跡を起こすんじゃない、起こせるんだ。そうでもしないと不可能を信じない事なんて出来ないのよ!アウロラの魔術師、舐めんじゃないわよ!!!!!!!」


話をしている。偶然が重なろうが会話が成立している。その事実だけでソレは笑う。やはり我が目に狂いは無かった。


あの時、あの場所で、汝が我に話しかけ、接触したのは偶然では無かったという事だな。あぁ、何年、何百年、何千年、この時を待ちわびただろうか。


偶然にせよこの少女は二度も我との対話に成立したのだ。よかろう、我、アウロラは汝の所有物となった。さぁ、手を前に出せ。


頭の中で響き渡る声の通りに少女はおもむろに手を前にに突き出す。すると胸から溢れ出る光は光の粒となりロロの手に集まり何かを形作っていく。徐々に光は収まっていき、光が完全に収まる頃には少女は一本の白き杖を握っていた。



―――世界で唯一無二の魔力を有し、悪意、欲望、憎悪を持つ者が近づけば異形と化すその花は、ずっとその場所で資格ある者を待っていた。どれほど力強かろうと、心たる心が弱ければ奇跡の花は扱えない。


故に花は長きに渡る間、奇跡を起こすに値する者を探していた。それは世界にどれほどの絶望が渦巻こうが決して諦めない心の持ち主。その素質を持つ者は奇跡的にアウロラの地へ誘われる。


そして資格ある者は長い人類史の中で二度、現れた。その一度目、2千年前に現れた白き花弁の杖を手にしたその者はある理由から七魔により即座に秘匿された。


そして二人目・・・彼女が握る白き杖の先端に青白い花を咲かせている事が二人目のアウロラの魔術師誕生のなによりの証だった――――



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