三話3 気持ち
まだまだ初心者です。誤字脱字、作中のおかしな部分、アドバイス等あればどんな小さな事でも糧にしたいと思いますのでよろしくお願いします!!!
俺は胸に憎悪の炎を焚いてルアスの言われた通り広間に向かう階段を探していた。広間に出る扉には白い時計のレリーフが埋め込まれている為、家自体の小ささもあって扉自体は見つけやすい。そして背後からはロボに隠れてロロをちょろちょろと追いかけてくる。
「ねぇネロ?どこ行くの?」
「ルアスに異議を申し立てる。」
「なんで?」
ロロの言葉に俺はその場で膝を折る。純粋な疑問を口に出しただけのはずなのに、どうして俺の心にこれほど深く突き刺さるのだろうか。
根も葉もない噂を言うルアスもルアスだが、それを信じるロロもロロだ。
「本当に大丈夫!?」
「さぁな・・・。」
俺は精神的に打ちのめされながらも家のあちこちを見て回る。懐かしい家の様子と匂いに色々な感情が溢れ出すが、今は扉を探すのが先決だ。そう思いつつしばらく広間への扉を探していると、部屋の角に白い時計のレリーフが埋め込まれた扉を見つけた。
「あった・・・。」
「なにを?トイレに行きたかったの・・・?」
「た、確かにトイレの位置だな・・・。」
ルアスの悪ふざけか、広間への扉はあろうことかトイレの場所に生成されていた。
「入るぞ・・・。」
「なんで私まで!?」
「だから!!ここが広間に繋がってんの!!!」
「嘘だ!!」
「嘘じゃない!!!!!」
俺は勢いよくドアノブを回し扉を開ける。すると、ロロとロボは中の景色に目を疑った。
「嘘・・・。」
「なんと・・・。」
「な?本当だったろ?てか、広間も知らないのにどうやってルアスに会ってたんだよ。」
「いつもは暖炉の前で座ってたのよ。」
ロロの言葉にルアスは暖炉の前がお気に入りだった事を思い出す。まぁ俺が暖炉の前が好きだったからでもあるんだが・・・。と、そんな事より今は早急にロロの誤解を解くのが先だと思った俺は広間の扉を潜る。
「ほら来たぞ。」
「来たな。」
以前と全く変わらない広間の風景の中、その中心付近でルアスは木製の椅子に腰掛けている。しかし、その椅子の横には玉座のような形をした大きな椅子が置かれていた。
「うむうむ。よいよい。」
「何がいいんだよ、よくねぇよ。俺は一刻も早くロロの誤解を解かないといけないんだよ。」
「待て待て、慌てては損というやつじゃ。と、そなたをここに呼ぶに値する理由を述べる前に・・・そなたと二人の関係について話してもらおうかの。」
その瞬間、俺の中の何かがSOSを発した。まずいな~、あぁ実にまずい。これ、俺がロロの事好きだって事、ルアスにバレてるなぁ。
俺はそんな事を思いつつも敢えてしらを切ろうとするが。
「別に俺とロロは主従関係なだけだが?」
「だけなの!?」
「・・・・・・・」
ロロの言葉に俺は絶句する。開始三秒でバレた嘘にルアスは何かを含んだように微笑むと足を組む。
「そなた、後ろの奴に好きと申したではないか。」
「知ってるなら聞くなよ・・・。」
やはり、俺とロロのやり取りはルアスに筒抜けだったようだ。この様子だと、俺とロロが出会った事情さえ知ってるのでは無いかと思えてくる。
「あぁ!そうだよ!俺はロロが好きだ。人生初の一目惚れだよ!」
「ほぅ~・・・。ぬしが一目惚れか。」
俺の口から改めてロロに対する気持ちを喋る。・・・待て・・・今俺の事無ぬしって・・・。しかし、それに気づいた時にはもう遅かった。ルアスは目を閉じ、深く息を吐く・・・・。
一時期、ルアスと生活を共にしたが、ルアスは本気で怒った時は決まって俺の事をぬしと呼ぶ。つまり、どうやら地雷を踏み抜いたらしい。
ルアスは息を吐き切ると手を前に出しながらゆっくりと瞼を開ける。その眼は今までのジト目な目つきとは一変、瞼を薄く開き、覗かせるその眼光は俺の目をくぎ付けにする。
俺は三度目のやっちまったぁぁ!と、心の中で声を上げ大量の汗がにじみ出る。
「そうか・・・一目惚れか・・・。あれほどわてがアタックしても動じなかったぬしが一目惚れとな~。」
俺は大量に変な汗を流す。それを見てルアスは再度、小さく息を吐く。すると、ルアスの手には水晶のような物が現れていた。
「ル、ルアス・・・?どうしたの!?凄い怖いんだけど・・・。」
普段とはかけ離れるルアスの様子にロロは戸惑っていた。それはすぐ傍にいるロボまでもが、その変貌ぶりに息を飲んだ。それを聞いたルアスは水晶を優しくなでながら俺に向けていた冷徹な視線を横にずらす。
「して、お前。お前はネロの事をどう思ってるのじゃ?」
「わ、私!?私は・・・その・・・一応・・・。」
突然、話を振られたロロは曖昧な口調で答える。
「一応・・・なんじゃ?」
しかし、ルアスの冷徹かつ淡々とした口調に、ロロの顔からは余裕が消え失せる。
「好き・・・・だとは・・・思う。」
緊迫した表情でロロは答える。しかし、ルアスは水晶を玉遊びの様に手で器用に転がし、冷たい口調で告げる。
「だと思う?わてにある事無い事そそのかされただけで信じられないんじゃろ?それで本当に愛していると言えるのかの?一時の気の迷いではないのかの?」
ルアスの冷たく、聞くだけで呼吸が荒くなる言葉にロロは反論できない。それでもルアスは止まらなかった。
「本当は好きではなく、ネロを傍に置いておきたい故の気持ちではないのか?そのような気持ちでわての長年の想いを踏みにじられるのは癪なんじゃが。」
ルアスの声が徐々に冷徹な声音から大きく、苛立ちのような声音に変わる。
「まずロロとネロは会ってまだ一週間じゃぞ?しかもその半分の日数、ネロはあの部屋で布団で寝ておった。」
ルアスの言葉に俺は目を見開く。一週間!?つまり俺は三日も寝てたって事か!?
「その間、ロロは幾度となくネロを見て自分の非力さに涙を零したのぉ。」
「そうよ、私の弱さがネロを傷つけた。私がもっとしっかりしておけばネロはあんな重症には・・・。」
ロロの目には涙が浮かぶ。
「その涙も偽物か?」
直後、ルアスの冷徹無比な言葉を聞いた瞬間、ロロより先に俺は前に踏み出した。
「そんな気持ちだけで人は涙を流せ・・・!?」
「ぬしは黙っとれ・・・。」
しかし、ルアスの一言で俺は前に踏み出した足から力が抜け、前に倒れ込む。
「ぬしの気持ちはわかった。だからしばらく喋らんでよい。」
言葉と共にルアスは指を鳴らす。すると、次は足だけでは無く全身から力が抜け落ち・・・どこか大事な何かが止まる。そして目の前がほんの一瞬だけ真っ暗になった。すぐに視界は回復し、意識もはっきりしていた。周囲の音も聞こえ、周囲の景色も見える。
だが、目が動かない、体も動かない。指が一本も動かせない。よいうよりも元々そんな部位は存在しないかの様に感覚が無い。そればかりか体の重さと言う概念が消え去ったような・・・。そして、次の瞬間、ロロの叫び声が聞こえた。
「・・・・!?」
その声と共に、今、自身が見ている景色の不自然さ、そして床に伏せる俺に駆け寄るロロを見て自分の置かれた状況を理解する。俺の意識、五感、全てが水晶に閉じ込められたことに。
どういうことだ!!!ルアス!!!!!!!
俺は声を上げるが当然声を発することはできない。だが、ルアスは俺の声が聞こえたのか、俺を見る。
「しばらくそこで見るがよいぞ。」
企む様に笑うルアスは俺を隣の玉座に置くと、ロロに向けて言い放った。
「ネロは死んだ。」




