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王女の側近騎士は実は〇〇〇だった!?  作者: 十道 鉚
真実と偽りの夢
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?話3 『あやつも食えん男やなぁ』 後編の後編

その後、紅茶を飲みきった俺はルアに案内され家の二階にある一室を使わせてもらうことになったのだが・・・。


いざ部屋に入るとベッドさえ用意されておらず、埃っぽさ、明かりが無く、窓も付いていないのも相まってザ・物置部屋のような印象を持ってしまう。


「汚ぇ・・・。」


「主も汚いぞ・・・。」


「・・・・・。」


森の生活で一切体を洗っていない俺の体は当然だがそりゃもう汚かった。


「せめて、ベッドとか布とかをだな……。」


「何が欲しいんじゃ?」


「とりあえずベッド。」


「ほれ。」


直後、彼女の声と共に背後でドスンと大きな音がする。そう、何かベッドの様な大きな物が落ちるような……。


おもむろに後ろを向くと今の今まで無かったベッドが埃を舞い上げて置かれていた。


俺は恐る恐るベッドを手で押してみるが、手触り、反発力といい、自分の城で触った事のあるような本物のベッドだった。


「……机。」


唐突に呟くがほぼ同時に視界の端に机が現れる。


「棚。」


ドスン。今度は真後ろから大きな音が聞こえる。


「灯り。」


するとなぜか部屋全体が明るくなるが、周囲を見ても光を発する物は何もない。


「俺が好きそうな本。」


コトトトトン。リズムよく本が並び落ちたので空き部屋を一望すると、そこにはもう薄暗い物置部屋の面影は残っておらず、自分が想像したような部屋が出来上がっていた。


唯一、棚に並べられた本を除いてだが、なんだよ『貧乳好きになる為には』って、なりたくねぇよ!


俺はあの本は後で処分しようと誓うと今までの不可解な出来事について口を開く。


「今のも魔法か?」


「んー、そじゃな、魔法と言えば魔法じゃが……。」


考える素振りを見せるルアは部屋の一点を見つめる。俺は後ろに何かあるのか振り返るが至って凝視するような物は何一つない。


「そんな魔法って何でもありだっけ?」


「わて自体が魔法陣みたいなもんじゃからなぁ。その時点で何でもありじゃが、魔法に底なんて無いんじゃ、今限界とされとる領域なんぞ100年後にはまた底が深くなるだけじゃし、


その分、闇も深くなりよるし、魔法なんて人間には過ぎた代物なんじゃがのぉ。」


どこか悲しげにそう言うルアに対して俺はなぜか何も言えずにしばらく沈黙が流れる。


すると、ルアは俯きながら俺の方に近づくと裾を持つ。


「ルア……?」


「……このベッド、気持ちよさそうじゃのぉ!!!!」


「はぁ!?」


突然、声を荒らげてベッドを指差すルアに対して俺もつい声を荒らげてしまう。


だが、その頃にはルアはベッドに向かって飛び込んでいた。


「一番乗りじゃー!!!」


「ふざけんな!!!!」


俺は反射的にルアを掴もうとするが空を掴む。なぜか、手の横に身体ごと移動したルアはそのままベッドに飛び降りた。


「おい!土足でベッドを踏むな!!純白のシーツに足跡付いたじゃねぇか!!」


「ハハハハ!!お主は全身がぼろ靴の様に汚いでは無いか。」


「だからってお前が乗っていい理由にならねぇだろうが!!」


ベッドの上でゴロゴロゴロゴロ転がるルアを掴むと、どうにかベッドから引きずり下ろそうとするがルアはシーツを掴んで必死に抵抗する。


「離れろぉ!!!」


「わてもここで寝たいんじゃぁ!!」


「別に寝るなって言ってないだろ!だから身体を洗え!!!」


「なんじゃ、ならよいわ。」


突如、ルアは握りしめていた手を離す。


そのせいで俺とルアは吹き飛び、棚に背中から突撃する。


「大丈夫か?ルア。」


「わてを誰だと思うとる!それに、何気に主がわてを守ってくれたのに怪我なぞしてたまるか。」


「すげぇ、信頼されてんだな俺。」


「なぜかのぉ、出会ってからもそうじゃが、主になら心を許せそうなんじゃ、まぁまだまだじゃがの!」


「どんな理屈だよ。」


満面の笑みまで語る少女を見て俺はその日初めて心から笑った顔を見せる。


「笑ったの。」


「だ、だからなんだよ……。」


俺はルアの言葉を聞き言葉を詰まらせる。


「まず死んだような目に光を差した、二つ、鉄仮面を溶かした。そして最終的にはその心の底にある闇も光らしてやるわ!そしたら主はわてにベタ惚れじゃ。」


自信満々に宣言する少女を見て俺はルアの頭を俺は優しく撫でる。


「で?この夢はいつ覚めるんだよ。」


唐突に、真剣な顔でルアに向けて放った言葉にルアは戸惑う。今の言葉は夢の中の俺では無く、夢をただ傍観するだけの、現実世界の俺の声だ。


「な、なんじゃ!?夢?何がじゃ?」


俺の腕の中で戸惑う振りをする幼女だが、口元はにやけていた。


「まず、最初のお前はこの時俺を都合のいい道具にしか思ってなかっただろ、覚えてるからな。寒すぎてつい言葉詰まっただろうが。」


まず、本来の記憶ではルアは当時ここまで優しくなかった。優しくしようとしたが、ルア自体が優しさに無知であった為に俺はかなり苦行を強いられた。


夢の中で、現実の俺が喋っていた事に気づいた少女の顔からは表情が消え無表情に変わる。


「なんや・・・気づいてたんやな・・・。」


少女はククッと笑い腰を上げる。その時にはすでに幼女の姿は無く、浴衣姿の女性が現れ俺の方に振り返る。


「騙すつもりが騙されたいうことやね。」


「今月はその口調なのか。」


「そやなぁ。でも、後3分46秒で夢のような口調に変わりますよ?」


「そうか・・・でさ、なんで俺にこんな夢見せてんだよ。」


俺の鋭い指摘に彼女は顔を隠しながら答える。


「つまる所、夢でそなたのわてに対する恋心を持たせると同時に、あの頃の黒い記憶を良くしようと・・・。」


「御託はいいからとりあえず目覚めさせろ。」


「はいな~。」


気の抜けた返事と共に視界が歪む。否、世界が歪み始める。湾曲した部屋の中から遠ざかる不思議な感覚に陥るとなぜか自然と瞼が落ち意識が現実の俺に引き上げられていく。

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