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王女の側近騎士は実は〇〇〇だった!?  作者: 十道 鉚
 旅立ちの王女
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二話6 不安とすれ違い 

思い当たる節と言えばバルネスタ関係だがダールがこのような乱暴な策に出るとも考えられない・・・。


「ねぇねぇ、なんか爆発しそうなんですけど!?今にもドカーンてなりそうなんですけどぉぉぉ!!」


必死に来訪者が誰なのか考えるが裾を持ち揺さぶってくるロロのせいで上手く考えられない。


「ちょっとロロ?いい加減怒るよ?」


「怒りたいのは、わ!!た!!し!!ほら見てあの扉を!!!目の前の扉が赤みを佩びて膨張し始めているじゃない!!」


「大丈夫だ。扉を破ろうとしてるだけだ被害は出ないだろ。そんな事置いといて今は壁の向こう側にいるのはどこのどいつかだ・・・。」


顎に手を考え、場違いな言動をする俺を見てロロがさらに取り乱す。


「なんでそんなに冷静なのよ!!破片が目にでも当たったらどうするのよ!!」


「はいはい俺が護る護る。それに悪人のする事はわかりやすいんだよ。」


「今以上に貴方の護るが頼りな・・・。」


その時、ロロの言葉を待たずにとうとう膨張しきった扉が弾け飛んだ。


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町中に響き渡るほどの轟音を前に私は目をつぶりその場にしゃがみ込む。自分の周りに爆音が包み込む。しかし一向に爆発の衝撃波や木の破片は飛んでこない事を不思議に思い恐る恐る目を開ける。


「どうなってるのよ・・・。」


目を開けると目の前に剣を持ったのネロが片手を前に突き出していた。その手の平からは青白い薄い膜のような光が出ていて煙は全て膜に遮られるように通っていく。


そればかりか膜は周囲にドーム状に広がっていて、扉の破片や瓦礫はは全て光の膜にくっついていた。その光の膜を生み出しているネロが振り返えり微笑んで来る。


「護るって言っただろ?」


「ネロ、ほんとに何者なのよ・・・。」


彼女の言葉が俺がある人に言った言葉と重なる。その刹那、目を見開く。扉付近に居た一人がその場から消えた。


「まず一人。」


その殺意に満ちた声は耳元から聞こえてくる。全身を悪寒が走る。悪寒の正体は鮮明な死の恐怖だった。人生で一度も味わった事の無い憎しみだけの殺意は全身を駆け巡り世界が遅く感じる。


「触んな・・・。」


しかし、その遅れ行く世界の中でネロはすでに真横まで迫る死神に蹴りを入れていた。強烈な一撃を食らった襲撃者は壁に激突、貫通し向こう側に消えていく。


「私・・死に・・・かけた・・?」


初めて経験する明確な死の恐怖に放心する。それのせいか空っぽになった思考に押さえていた想いが流れ込む。ネロが居なかったら死んでた・・・。

そういえば私はネロに護ってもらったのは何回目だろう・・・。私は度々思う、ネロはどうしてそこまで強いのか。今までネロに対する不安が爆発する。そういえば私はネロの事をなんにも知らない。


どこで生まれたのか、そういえばお父様とも初対面な様子じゃなかった。あれ?どうしてネロは私をそこまで守ってくれるの・・・?不安が不安を呼び、どうしようもないほど膨らんだ不安が体中を包み込む。そしてついに膨らんだ不安が言葉となって漏れて出してしまう。


「なんでネロは私を護るの・・?あの日に口約束をしたから?今思えば貴方の事を何も知らない。この襲撃も貴方の罠かも知れない・・。教えなさいよネロ・・私・・・このままじゃ貴方の事を信じられなくなる・・・。」


「それマジ・・・?」


ネロの声で私の言葉に戸惑い、驚愕しているのがわかる。それもそうか、私は自分の都合で死の恐怖から早く解放されたいが為だけにネロを側近騎士にして。そればかりか命も助けてもらってる。なのに今は信じられない・・・?


考え始めた自分の情けなさ、不安が内から次々と零れ落ちる。想いと共に、私はまた泣いていた。


「ロロ!?どうした!?どこか怪我したのか!?」


あぁ、ネロは優しい・・・。毎回、私が泣いたら心配してくれる・・・。でもネロ。私はその優しさが怖い。


不安で・・。


怖くて・・。


辛くて・・。




恐ろしい・・・。


私を護ってくれるその力が怖い。時々見せる悲しげな笑顔が怖い。城の中で本ばかり読んで勝手に物知りだと思い込んでいざとなったら護られてばかりで・・・。


そのせいなの?私が守られてばかりの役立たずだから、信頼に足る要素が無いから私に何も教えてくれないの?


「ねぇ・・・私の事なんてどうでもいいから教えてよネロ!!!!!!!」


大声で叫ぶ声にネロは驚くが、自分自身が誰よりも驚いていた。


「あれ?今の声は私・・・?ネロを怒鳴ったの?なんにも悪くないのに・・・?」


「・・・・・。」


ネロは何も答えない。ただ無表情に目を合わせてくだけだった。


「あっ・・!?私・・・叫んだの?・・・いつもは・・・。」


謝ろうとしても言葉が出ない。完全にパニックに陥った脳は言うことを聞かなくなっていた。そこでようやくネロは黙って聞いていたのをやめて口を開く。


「ごめん・・・。ロロがそこまで辛い思いをしてると思わなかった・・・。やっぱり俺は独りじゃないと無理なのかも。」


突然謝るネロにロロはさらに困惑する。


「何言ってるの・・よ・・。」


今悪いのは自分のはずだ。勝手に考え込んで勝手に思い込んで勝手に信じられなくなった。それなのになんであなたが謝るの?その言葉さえ口に出せればいいはずなのに掠れた声しか出ない。しかし掠れた声はネロの耳に届いていた。ネロはとても苦しそうに笑う。


「ごめん、俺がバルネスタで会ったせいで辛い思いばかりさせてるな。そりゃそうだよな、何も教えてくれない騎士を手元に置いておくのは怖いもんな・・・。わかった、後で話そう・・・。だから・・・今だけは待っててくれ。先にこいつ等を片付ける。」


ネロはそう言うと再びフードを被る襲撃者に意識を集中させた。


「片付けると・・・ヨクイッタモノダナ?ニンゲン。」


フード姿の襲撃者達は唸り声と共に姿を変えていく。数秒後にはネロの倍近くまで襲撃者の背丈は達していた。フードから覗かせるのは長く伸びた口に牙。腕は毛に覆われ、爪はかぎ爪のように尖っていた。その様子は城の本で見た・・・。


「狼・・人間・・・。」


その姿を見てロロの心は絶望に染まる。


狼人間―――――城の書物通りなら狼人間は生粋の人食で満月の夜には月からの無尽蔵の魔力と再生能力で人間を食いに町を襲っていた。しかし、実例は確認されておらず。存在を仄めかすのは狼男の生き血と呼ばれる不老不死の薬品があるだけだった。さらに魔術防壁に伴い存在の脅威おろか人の住む区域には仮に存在しても降りてこれなくなったはず・・・。


「ヨクシッテイルナ。ナラバ、イマノワレラガキサマラザッシュニマケルドオリハナカロウ。」


心の芯から凍らせるような声と血のような眼で睨まれた体は金縛りのように動かなくなっていた。全身は小刻みに震え呼吸までもが苦しくなる。逃げようとしても足が体から離されたように動かない。本当の恐怖を前にしては逃げる事さえ出来ないと自分の弱さをさらに痛感させられる。だが、そんな震えも次の瞬間には止まっていた。


「そうらしいな。だからどうした。」


それは狼男と知っていてもなお顔色変えずに対峙するネロがそっと震える肩に手を置いたからだ。その直後に全身の震えは止まり、呼吸が楽になる。


「ネロ・・・?」


「言うぞロロ、俺はお前に自分の事を隠し通してきたのは信用できないんじゃない・・・。怖かったんだよ・・・。」


ネロの言う言葉に戸惑いを隠せなかった。さらにネロの手も震えていることに気が付く。しかし、その震えは目の前の脅威に向けてではなかった。


「どうゆう事よ・・・。」


ネロは私の言葉を聞き悲しげに笑う。


「俺は最強に近い力に手を伸ばして、数多の死線を潜り抜けてきた。そのおかげで心も鍛えられ、怖いものなんて微塵も無いと思い込んでいた。でも実際は違った。ロロと出会って騎士になった時から俺は今も怖いんだ・・・。真実を話したらロロに怖がられ、見捨てられるの事が・・俺はそれが死ぬより怖い・・・。俺はこれ以上、何も無くしたくないんだ。」


それは今まで弱点など見せず、なに一つの弱みを見せてこなかったネロが初めて見せる弱みだった。ネロの弱音を聞いて初めてわかった。ネロも私と同じだ。一人で悩んで苦しんで勘違いして・・・。なんで今まで気が付けなかったのよ、私もネロを安心させれるような事を何一つしてないじゃない。


「それを早く言いなさいよ・・・。あんたも私と同じじゃない・・・。」


「そう・・・かもな・・・。それも含めて後で喋るか。今は待ってくれたこいつらとの決着が先だな。」


ネロはそう言いながら振り返る。すでにネロからは一切の弱さを感じられないネロがそこには居た。


「ジンセイサイゴノワカレハイワナクテイイノカ?」


「そんな理由で律儀に待っててくれたのか?」


「キョウシャハジャクシャヲケイシシナイ。ソレニ・・・。」


「それに?なんだよ。」


「ミレンタレナガシテシナレタラマズクナルカラナ!!!!!!」


そう言い残し狼男は構えると、次の瞬間には・・・ネロがいつの間に出したのかその場で繰り出した蹴りに狼男の横腹がめり込んでいた。



ロロの溜め込んでいた心情を表現しようと努力してみました。それを意識しすぎて話の流れがおかしいかも知れません。少しでもおかしいなと思った方は感想にてきついお言葉をお願い致します<m(__)m>

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