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俺、異世界転生しました。  作者: tama
俺、異世界転生しました。
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4,俺、入学できました。

 

「おお、すげぇ……。」


 俺は都市の中心部へとたどり着いた。

 周りを見回すと、空飛ぶ箒や絨毯が飛び回っており、地上には如何にも『魔法使い』って感じのローブを着た人がうろうろしていた。なんだか未来に来たみたいだ。……異世界だから変わりはないけど。


「ここをまっすぐ歩くと学園ですよ。」

「なぁ、俺って学園に着いたら何をすれば良いんだ……?」

「え?……うーん……学園長に会えば良いんではないでしょうか。」


 うーん……。本当に編入出来るのだろうか。ていうか、手続きとかしてないし、試験も受けてないから出来ないんじゃないか?ナビィもどっか行ったし……。ええい、なるようになれだ!


 ***


 そうしているうちに、俺と沙羅は学園の前に着いた。


「なるほど。これなら学園は世界樹の根元にあるって分かるよ。」


 何故なら、世界樹の根が学園そのものを包み込み、絡み付いているからだ。


「しっかし、どういう風に建てたんだ?」

「さあ。この学園は創立1500年だと言われています。現在その年の歴史を知る魔法は無いので定かではありませんが……。」


 普通そこは、『科学』とか、『技術』って言うとこなのに、『魔法』って言うところが世界観の違いを思い知らされる。

 俺と沙羅は学園の大きな扉を開いて、中へ入っていった。


 中は例えると、お金持ちの豪邸みたいなイメージで、長い通路にいくつも扉が設けられていた。

 歩き出そうとすると、不意に、横から使用人らしき人物が話しかけてきた。


「学生証をお見せください…。」

「はい。」


 沙羅は学生証を使用人に見せる。


「貴方もお見せください…。」

「え、俺?俺は……。」

「この方は編入生です。」


 沙羅がそう言うと、使用人は「はて…」と言って首を傾げた。数秒後、入室を許可してくれた。


「学園長室はこの通路の一番奥にあります。」


 沙羅はそう言って案内してくれた。

 通路は、二つほど分かれ道があり、それぞれが左右に分かれていた。何人か教師らしき人物とすれ違った。


「さ、着きましたよ。」


 沙羅はコンコンと学園長室のドアをノックして、「失礼します」と言って入った。


 俺も入ろうと、右足を動かした瞬間、目の前にナビィが現れた。


「うおっ!?」

「大翔、よく聞け。お前の魔法は――」

「大翔さん!学園長がお呼びですよ!」


 ナビィが言い終える前に、学園長の呼び出しを受けたため、俺は反応して学園長室へ入っていった。


「おい!聞けよ!!」

「後にしてくれ。」

「後じゃ駄目――ってうわっ!」


「なんでこんなところに妖精が。」


 使用人の一人がナビィを捕まえたようだ。邪魔だし放っておこう。


「やあ、君が編入生だって?」


 学園長って言うぐらいだからもっと歳いってると思ったら、意外にも若々しく、男前な人だった。


「は、はい。」

「ふむ……編入の手続きなんてしたっけな……。」


 学園長の呟きにドキリとする。それから学園長はにぱっと笑ってこちらを見た。


「まあいい。しかし試験はしていないはずだね?」

「う……はい。」


 ここは話を合わせよう。


「では入学資格があるかどうか、試験をしたいと思うよ。沙羅ちゃん、よろしく。」

「はい、分かりました。」


 すると沙羅は、左にある大きな箱から画面つきの機械を取り出した。


「これは魔力検査器。電源を入れた状態でこの持ち手を握ると潜在された魔力量を数値化することができる。」


 へぇー。すげぇ装置だな。


 俺は沙羅に渡された装置を握ると、即座にピピッと音がした。


「お、計れたようだね。沙羅ちゃん読んでくれる?」

「分かりました。ええと……っ!!?」


 沙羅は驚いた様に目を見開いて、息を呑んだ。


「1億3000万M(エム)です……。」

「何……?」

「…?」


 1億3000万M……?何それ凄いの?


「これは逸材だな。1億越えはここ数百年現れていないだろう。」

「そ、そんなに凄いのか…?」


 俺がそう問うと、沙羅が説明してくれた。


「平均的な魔力量は10万~30万です。多くて100万。そう考えると1億なんて……。」

「それは凄いな…。」

「では、魔法の属性と、格を調べるよ。なんでもいい、自分の得意な魔法を使ってくれ。」


 学園長のその言葉に戸惑うしかなかった。何せ、俺は魔法の使い方が分からない。


(でも……俺ってチートなんだよな?)


 そうだ。俺はチートだから異世界転生を果たした。こんなピンチにも覚醒したり、ご都合展開待ったなしな筈だ。主人公体質な筈だ!


 俺は右手を前へかざす。


 そして唱えた。


「アブラカタブラッ!!!」




 しーん。


「おいっ!大翔!!」


 沈黙を破ったのはナビィだった。


「おや、なぜこんなところに妖精が……?」


 学園長の言葉をかき消すように、ナビィは喚き散らした。


「お前は!!まだ魔法が使える状態じゃ無いんだ!!だからこの学園の編入は無理だっての!!」


 え


 え


 ええええええええええ!?!?


「おせぇよ!!!!」

「お前が聞かなかったんだろうが!!」

「うるせーよ!!お前のせいで恥かいたじゃねぇーか!!」

「しらねぇーよ!!!」


 すると学園長が衝撃の一言を放った。


「はーい、確か佐々寺大翔くんだったね?このユグドラシル学園入学を許可しまーす。」


「「え?」」


 俺とナビィは口喧嘩を止めて学園長を見る。学園長はにこにこと微笑んでいた。


「ただし、特別教室だけどね。」

「特別教室?」


 俺の問いに、沙羅が応えた。


「ええと……特別な事情や、体質、能力を持った生徒の場合、その教室で授業を受けることとなります。」

「凄いのか?」

「……。」


 沙羅はあからさまに視線を逸らした。え、何その反応……。


「まぁ、あれだね。つまり、問題児が集う教室だね。」


 どうやら俺は問題児認定されたようです。

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