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俺、異世界転生しました。  作者: tama
俺、異世界転生しました。
3/18

3,俺、助けられました。

 とりあえず俺は、ナビィと共にタウロスに近付く事にした。

 ナビィ曰く、タウロスは草食で、他の動物と比べて圧倒的に狩りやすいとか。モ○ハンでいうアプノトスみたいな?


「でさ、俺ってなにも持ってないわけよ。いくら温厚だからって丸腰て勝てるのか?」

「無理だな。でも、お前は魔法が使えるんだろ?じゃあ余裕だって。」


 あ、そうだった。俺は魔法が使える。……けど、どうやって使うんだ?


「あの……使い方が分からないんだが……。」

「そんなもん俺に聞くな。」


 だよな。妖精ごときに魔法の使い方を聞いた俺がバカだった。


「てめぇ今とんでもなく失礼なこと考えただろ?

 」

「うおっ!?べ、別にぃ~?」


 こ、こぇぇ……。なんでこいつは俺の心が読めんだよ。

 とにかく、俺は魔法をなんとか出してみようと思う。


「はっ!!」

「……。」

「……。」


 試しに右手を前へかざして「はっ!」って言ってみたが、何も起こらなかった。うーん……イメージでは炎が飛び出してたんだけどなー。

 次は呪文を唱えてみようと思う。


「アブラカタブラ炎よ出ろ炎よ出ろ……はぁっ!!」

「……。」

「……。」


 うーん……呪文を間違えたか?


「じゅげむじゅげむ……」

「おい。」

「ん?」

「タウロスが物凄い速さでこっちへ突進してきてるぞ。」

「は!?」


 ドスドスと重々しい音を立てながら此方へ突進してきていた。顔をブンブンと振りながら一心不乱に走っている。……ぷっ、面白い顔してるな……。


「おい!なに突っ立ってんだ!逃げろよ!!」

「え?あ!!」


 やばっ!!てか全然温厚じゃないじゃん!!寧ろ狂暴じゃん!!

 俺は横へ全力で逃げた。しかしタウロスはこっちへ曲がって追いかけてくる。


「うおおおおおお!!!この嘘つきナビゲーターが!!」

「うっせぇ!!俺だってまだ一年目なんだよ!!」

「なんでそんなど素人を俺に遣わせたんだよ神は!!?」

「知るか!!こっちが聞きたいわ!!ってどんどん速く……うおおおおお!!」


 や、やべええええええええ!!!!マジでこれは洒落になんねええええ!!!死ぬぅぅ!!二度目の死を迎えるぅぅぅ!!


 その次の瞬間、タウロスが地面に倒れる音がした。


「「……え?」」


 俺とナビィは同時に振り向く。するとそこには――金髪美女が居た。


「大丈夫ですか。もう安心してくださいね。」

「結婚してください。」

「わかりまし……ってええええ!?」


 おっと、あまりの美しさに彼女との未来予想図を描いてしまった。


「失礼。口走った。」

「そ、そうですか……。何をどうしたらそのように口走るのか分かりませんが……。」




 それから俺は、自己紹介と事情を説明して、どうにか都市へ連れていってほしいと頼んだ。


「分かりました。私の箒に乗せましょう。」

「箒って……空飛ぶやつ!?」

「は、はい……そうですけど?」


 うほぉぉぉ!!テンションあがるわー!!やっぱ最高だなこの世界は!!


「おい。」

「ん?なんだナビィ。」


 ナビィが小さな声で、耳元で話しかけてきた。


「言っとくが、お前が異世界転生したことは、この世界の人間には知られない方が良いぞ。」

「何で?」

「……勘?」

「なんだよそれ……。」

「とにかく、俺の勘がそう言ってるから言う通りにしろ。」

 

 すると金髪美女は、ナビィの存在を不思議に思い、話しかけてきた。


「それって……妖精?大分小さいですね……。」

「ああ、こいつはナビィだ。」

「よろしくな。」

「あ、そういえばまだ私の自己紹介してなかったですね。私は七騎沙羅(ななきさら)。沙羅でいいです。よろしくお願いします。」


 ……日本人みたいな名前なんだな。


 それから俺とナビィは、沙羅の箒に乗って、都市へと向かった。

 箒は、想像していたのと違い、空飛ぶバイクの様だった。座席もついてあり、乗り心地も最高だ。顔に当たる風も冷ややかで気持ちいい。


「なぁ、沙羅。あの都市ってなんていうんだ?」

「え?知らないんですか?」


 あ、マズッたかな。なんとか誤魔化さないと。


「あ、ええと、俺って結構無知でさ。」

「そ、そうですか……。あそこは、この世界でも最大級の大きさを持っている都市であり、同時に魔法学園でもあるのです。その名も『ユグドラシル』及び『王立ユグドラシル学園』です。」


 ユグドラシルって響きが良いね。そういうファンタジーな名称は得意だぜ、俺。


 それにしても、この箒は速い。もう近くにそのユグドラシル学園が見える。上空を飛んでいても上へ見上げなければならないほどだ。


「なんであんなにでかいんだ?」

「あれは大半が世界樹で出来ているからですよ。学園自体は根元のほうにあるんです。」


 世界樹ってあの?あ、だからユグドラシルなのか。はいはい。わかるよわかる。そりゃあでかいわけだ。


 そんなことを考えているうちに、都市の入り口付近までたどり着いた。沙羅はゆっくりと下降していく。

 そして俺たちは地面へ足をつけた。


「あ、ごめん、俺金持ってないんだ……。」

「そんなの要りませんよ。私も帰る途中でしたから。」

「帰る……?ってことは、沙羅もこの都市の住民なのか?」

「はい。ユグドラシル学園で教師をしているんです。」

「へぇ!そうなんだ!」


 ほぉー。どうりで強いわけだ。とはいっても、実際にタウロスを倒した瞬間を見ていないから、どれほどのお手前なのかは分からないがね。


「大翔さんは学園に編入するのですか?」

「え?……ま、まぁ……。」

「えっ!?てことは、とてもお強いんですね!!」

「ん!?……う、うーん……。」

「わぁすごいっ!早く学園にいかなきゃですね!」


 な、なんだか良からぬ誤解をされてしまった……。いや、でもあながち間違っていないはず……。なんたって俺はチートなんだからな!


「おい、お前は魔法を上手く使えない癖に何見栄はってんだ。」

「いや、でも俺が凄い魔法を使うことが出来るのは事実じゃん?」

「……魔法は感覚的な物らしい。例えるなら、右手を動かすのと同じで、意識しなくても出来るものなんだ。しかしお前は――……一度、神様に相談してみる。」

「え?」


 ナビィはそう言うと、姿を消した。


「あれ?どこいっ――」

「大翔さーん、早くしないと遅刻しますよー!」


 沙羅の声に反応した俺は、戸惑いながらも先を行った沙羅に駆け寄っていった。

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