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俺、異世界転生しました。  作者: tama
天下一魔闘会
16/18

16,俺、魔闘会しました。2

「ウォータスキン"ランス"!!」


「ファイアスキン"ランス"!!」


 炎の槍と、水の槍がぶつかる。

 ドドドド…と、派手な音をたてて相殺した。

 それを見て沸き上がる歓声。

 これが天下一魔闘会だ。


「すげえなぁ……。」


 俺は今、一回戦の試合を観ている。女生徒二人の戦いで、かなり激しいものだ。


 ここで、魔闘会の具体的なルール説明をしたいと思う。

 実は、この世界には魔法で造られた道具、魔闘石(デュエルストーン)というものがある。

 魔闘をする者の魔力を込めることで、その者達に特殊な加護を与えるのだ。それは、肉体的なダメージを一切関与しない、アバターのようなものだ。つまり、魔闘をしている間は、心臓を貫かれても死なないというわけだ。その代わり、『HP(ヒットポイント)』が付与される。これがゼロになった場合、敗けとなる。

 ……っていう難しい説明をナビィから受けて、30分ぐらいかけて理解した。

 あ、ちなみに、アバター状態で一対一の戦いをすることを、魔闘(デュエル)という。


 さて、そろそろ観戦に集中しよう。


「"ヴォルケーノ"!!」


 一人の女子生徒がそう言うと、彼女の周りから火柱がたち、それらが相手に向かって放たれる。


「ウォータスキン"ウォール"!!」


 すると相手は、水で造られた壁で、攻撃を防いだ。

 だが、炎の女子(なんかかっくいいな)はそれを読んでいたのか、水の女子(なんか以下略)の方へ周りこんで、手に螺旋丸のような炎をぶつけた。


 しかし、水の女子(な以下略)は空中へジャンプし、炎の女子の背後にまわる。そして回転しながら手に纏った水の刃で相手を斬りつけた。だが、炎の女子はそれに対抗し、炎の球をぶつける。


 激しい衝撃が起こり、二人は互いに後ろへはね飛ばされた。


「すっげ……。」

「魔闘ってのは、魔法を単純に発動しまくれば良いってもんじゃなく、相手の2手先を読み、それの対抗策、そして勝負の決め手となる魔法をぶつけようとする。」

「だ、大丈夫かな……俺。しかも、魔法はあれから一回も使ってないし……。」


 昨日は結局訓練出来なかったし、ぶっつけ本番だな。


「ウォータスキン"ドラゴン"!!」


「うおっ!竜だ!水の竜が居るぞ!!」


 ド派手な、そして巨大な竜が、炎の女子に向かって放たれた。


「きゃああああ!!!」


 その一発で、満タン近くあったHPが一気にゼロになり、勝負がついた。


 ワッ!!!!


 歓声が巻き起こった。


「なぁ、ナビィ。あの二人が使ってた、ウォータスキンとかの、『スキン』ってなんだ?」

「ええと、確か、下級魔法から上級魔法までで、訓練次第で形を変えれるらしい。」

「なるほど。」


 沙菜が言ってた、イメージが大事ってやつだな。


 うっ……ちょっとトイレに行きたい。


「ナビィ、ちょっとトイレに行って来るわ。」

「おう。」




 俺は用を足したあと、ナビィの元へと戻ろうとした。

 今歩いている通路は、選手専用のものなので、人通りは少ない。しかし、一人だけ、やけに違和感のあるフードを着た人が歩いていた。


(なんか……学園のやつとは思えないな。)


 少し不審に思いながらもその人とすれ違う。


「……きゃ殺されるやらなきゃこ……」

「!?」


 すれ違った時、何か言っていたのが聞こえ、俺は思わず立ち止まって振り向いた。


『やらなきゃ殺される』


 確かにそう言っていた。なんだ……この胸騒ぎ。なにも起こらなければいいんだけど――


 ***


 そうして、二回戦が始まる。


『さぁ二回戦の開催です!次の対戦の組み合わせは――』


 司会の女子生徒が活発な声でそう言った。

 俺も流石に戦いに馴れてきて、最初ほどは驚くことも無くなった。


 そして、四人目となる。


「おい、大翔。」

「ん?どした、ナビィ。」

「今から出てくるやつはこの学園でNo.2のやつだ。」

「え?」


『続いては四人目の対戦となります!組み合わせは……』


 ナビィの言葉に、少し興味を持った俺は目を凝らして会場を見る。


 そいつは赤い髪で、女だった。


 対戦相手はごりごりの大男。


『四年生にして学園No.2の美少女、赤坂紅羽(あかさかくれは)!対して、見た目ヤンキー心もヤンキー。どうしようもないデクノボー、田中太郎!』


「げへへへ、女だからって手加減はしねぇぜ?」

「それはどーも。」


 あいつはNo.2って事を知らないようだ。

 そして、試合が始まる。


「「エーテルコアを解放!」」


 二人が同時に唱える。


「"ポセイドン"」


 赤坂がそう唱えると、彼女の背後から水が立ち上がり、それらが形を変えて巨人のようなものになった。

 そして彼女は手を前に差し出す。

 すると水で出来た巨人が大男に向かって突進した。


「えっ!?うわ、ちょまっ――」


 結果、田中太郎(笑)は魔法を披露する間もなく、呆気なくやられた。


 会場は余りの呆気なさに、しんとしている。


『い、以上、四人目の対戦でしたぁ~……。』


「めっちゃ強いな、おい。」


 俺はナビィに言う。


「どこの家の出で、どの地域から来たのかさえわからないという神秘のベールに包まれた謎の美少女で通ってるらしいぞ。……しかし、名前は『赤い』のに、なんで水属性の魔法使い何だろうな。」

「そりゃあ、適性がたまたま水属性だったからだろ?」

「……正論ですね、はい。」

「そういえば、五、六年生を差し置いて四年生に学園トップスリーが揃うなんて変なもんだな。」


 残念だが、その中にはあの悪魔女とジャイアンが入っているが。


「それは確かに、珍しいことなんだ。それくらい彼女たちには能力があるというわけだ。まさに奇跡のせだ――むぐっ。」

「それ以上はパクリになるから自重しようねー?」

「おけおけ。」


 そんな会話をしていると、司会の生徒が三回戦の選手に、準備をするように指示をした。


「おっと、行かなきゃな。」


 俺は速足で準備室へと急いだ。




 準備室の扉の前までたどり着くと、ジャイアンとばったりと会った。


「あ、ジャイアン。」

「誰がジャイアンだコラァ!!」

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