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俺、異世界転生しました。  作者: tama
魔闘会に向けての訓練
13/18

13,俺、野外へ出ました。後編

 

「な、なぁ……ここって一体どの辺なんだ…?」

「し、知らんわ。何でこんなに暗いんだ?」


 俺たちは、学園の集団の行く先の先回りをした。

 しかし、さっきまでしっかりと日が射し込んでいたのに、ここは全く射し込まず、とてつもなく薄暗い。夜になってしまったか、と勘違いしてしまうぐらいだ。


 後ろを振り返ってみる。


「……。」

「これは……」

「完全に……」

「「迷ったな。」」


「うおおおおおおおお!!!!!どーすんだこれええええ!?!?!」

「知らねええええ!!!どーすんだこれええええ!?!?!」


 とりあえず俺とナビィは無我夢中で叫び続けた。


「はぁ……はぁ……。」

「ぜぇ……ぜぇ……。」

「……はぁ……。とりあえず、進むか。 」

「そうだな。留まっていても仕方がないだろ。」


 と、言うことで、俺たちは先へ進んだ。





「おいナビィ!あれ見ろ!」

「ん?」

「光だ!光が見えるぞ!!」

「何っ!?」


 歩くこと約数十分。ようやく日の光の射し込む場所を見つけた。

 あまりの嬉しさに、俺は走った。

 途中、行く手を阻む大きな草木があったが、そんなものは問答無用で掻き分け、進んだ。

 そしてたどり着く。


「ここは……?」

「……なんて…神秘的な場所なんだ……。」


 そこはまるで、聖域だった。

 ここだけ吸う空気はおいしく、不思議な雰囲気が漂っていた。


「!!おい大翔!あれを見ろ!」

「?」


 ナビィの指す方向を見ると、聖域の真ん中に置いてある大きな岩の上に座る、一人の人物が居た。

 その人物は、大昔のお城の兵隊のような鎧甲冑を来ており、隣には銀色に光輝く大きな槍が置いてあった。


「だ、誰だ!?」

「……!」


 俺の声に反応し、こちらに顔を向ける。

 そして立ち上がった。槍をその手に。


「おい……大翔。こいつは人じゃない。」

「何……?」

「恐らく……亜人だ。」

「!!?」


 ナビィの元に向けていた顔を、正面に戻すと、目の前に亜人が居た。


「うわあっ!!!」

「逃げろ大翔っ!!!!」


 亜人は槍を突いてきた。それを俺は、運動神経をフルに使って、横へと回避した。

 しかし逃さず、槍を俺に斬りつけてきた。

 俺の背中を掠める。


「ぐっ!?」


 間髪入れず、亜人は俺と距離を詰めてくる。


「な、なんだこいつうううう!!?!?」

「無駄口叩くな大翔!!!逃げろ!!」

「くっそぉぉぉ!!!」


 その瞬間、背後で俺を追いかけていた筈の亜人が、目の前に居た。


「なっ……!?」


 そして素早く槍で突いてきた。

 俺は横に回避しようとしたが、避けきれず脇腹に深く掠めてしまう。


 吐血。


 人生初体験の吐血だった。


「ごぷっ……!?」


 それは単なる血の味だけでなく、胃液や唾液の味や臭いもした。

 俺はあまりの痛みに膝をつく。涙が止まらない。


 抵抗のつもりで、亜人を下から見上げると、その輝かしい槍を振り上げていた。


「大翔ぁぁぁっっ!!!!」


 ナビィの叫びと共に、俺に異変が起きる。


 ―――それは正に、直感的なものだった―――


 気付けば俺は右手を前に差し出していた。

 そして言う。


「エーテルコアを解放。」


 そして唱えた。


「"ヘルズ・サン"」


 すると俺の右手には、黒い炎の大きな球が現れていた。

 その大きさ、暗黒とも呼べる禍々しさ。まさに地獄の太陽(ヘルズ・サン)だった。

 その炎は亜人を包み込み、ゆっくりと地面に落ちた。それと共に、暗黒の炎は爆発し、森全体に衝撃を与えた。


「は、はは……やっと見えた……適性属性が……。」


 そして俺は意識を失った。



 ***


「おいっ!!大翔!!大丈夫か!!?」


 俺は、ついさっき魔法を発動して倒れた大翔の近くまで来ていた。

 魔法の規模の大きさから、ここら一帯は荒れ地となっていた。明らかに俺も巻き込まれたのだが、無傷だった。

  しかし今はそんなことを考えている暇はない。大翔の脇腹から溢れ出す血が、死をもたらすことになるかもしれないからだ。


 今から助けを読んでも間に合うか?


 いや、それでは間に合わないだろう。


 この小さな体では大翔を運ぶことも出来ない。


 じゃあ…………アレ(・・)を使うか?


 ……やむを得ないかもしれない。大翔の命には変えられない。


 その時、物音がした。


「うわっ!すごい……。」


 あ、あいつは……!

 特別教室のクラスメイト、確か……木折?だったかな。


「これは……。」


 他方から声が聞こえた。そちらの方を振り向くと、えと……確か、伊波?が居た。


「うわっ!!!何これっ!?」


 またまた他方から声が聞こえた。そちらの方を振り向くと、……あ、悪魔女?何せ、大翔が一番嫌っている女が居た。


 これはチャンス。


 俺はすぐに羽で飛び、三人に大翔の状況を伝えた。


「!!!ひどい……!」


 木折は両手で口を覆って驚く。


「すぐに都市へ戻って手当てしよう。」


 伊波はそう言って、大翔を箒に乗せた。


「これって……まさかこいつが……?」


 悪魔女は辺りを見渡して、顔をしかめて言う。


 その後、大翔は都市の医療所にて、手当てされ、安静にしていた。


 彼が目を覚ましたのは、9日後。つまり、魔闘会の前日だった。






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