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俺、異世界転生しました。  作者: tama
魔闘会に向けての訓練
11/18

11,俺、野外へ出ました。前編

 

「……。」

「……。」


「「おい。」」

「「あ。」」

「「そっちから言えよ。」」

「「あ。」」

「「……。」」


 ……。

 はぁ。


「なぁ、ナビィ。」

「なんだよ、大翔。」

「そ、その……あの……さ、さっきは…さんきゅな。」

「……な、なんのことだよ。」

「いや……お前が沙菜を呼ばなかったら俺は……。」


 く、くっそぉぉ!!はっっっっずい!!


「いや、俺の方こそ、ちょっと言い過ぎた。ごめん。」

「いやいや、俺が悪いんだって!ごめん。」

「いや、俺の方が……。」

「あんたらはいつまでそうしてるつもり?」


 危うく無限ループに陥ってしまう所を沙菜が助けてくれた。

 俺たちは森を抜け、岩影に座っていた。


「もう7時を過ぎてるわ。さっさと学園の敷地から出ないと警備員に見つかって、めんどくさい事になるわよ。」

「そうだな。」


 とりあえず俺たちは学園から出ることになる。


「じゃ、私はこっちだから。」


 校門前で、沙菜は俺たちの変える方向と逆方向を指し、言った。

 ついでとはいえ、助けてくれたんだ。普段はいけすかねぇ奴だけど、やっぱりお礼は言わなきゃいけない。


「あ、沙菜。」

「?何よ。」

「ありがとな。」


 少し、少しだけ自然な笑みを浮かべて、俺は彼女にお礼を言った。


「……ふん。」


 沙菜はそっぽを向いて、そのまま立ち去っていった。


「……帰るか。」


 俺は、ナビィと共に、伊波姉妹の居るマンションへと帰っていった。



「どこで一体何して、どんな目に遭った?」

「怪我はないですか、風邪引いてないですか、犯されていないですか?」

「わ、わかったわかった、落ち着いて二人とも。

 」


 家に帰ると、遅くまで帰ってこなかった俺を心配してくれたのか、志穂と香穂ちゃんから質問攻めにあった。


 ***


 それから月日は経った。日にして大体20日は経っただろう。魔物に襲われて以来、俺は平穏な日常をおくっていた。

 毎日の魔法の授業。たまにジャイアンに食堂で絡まれたり、沙菜と暴言を吐きあったり、相変わらず成果の無い瞑想をしたり。あ、一回だけラッキースケベがあったんだ。


 それは、俺が沙羅先生に頼まれて、書類を持ち運んでいた時、たまたま曲がり角でぶつかってそのままどんがらがっしゃん。

 俺の手にはマシュマロのような柔らかさのおっぱいがあり、そのお相手は木折だった。

 平手打ちを右頬に喰らい、一週間は口を聞いてもらえなかったなぁ…。おっぱいを触るのには代償が大きすぎるようだ。


 そしてついにその日が訪れた。


「ああああああああ!!!」

「んだよ、いきなり。」


 俺は今、ナビィと共に町へ出ていた。今日は学園は休みで、家にいても暇だったので外へ出ているのだ。


「もう嫌だ!天下一武闘会まであと10日しか無いんだぞ!?いつまで経っても魔法が使えねぇじゃねぇか!!」

「"魔"闘会な。」

「おっと失礼。」


 もうパクることに慣れてしまっている自分がいる。危ない危ない。


「まぁ、大丈夫だろ。」

「まぁたそんな根拠の無いことを。」

「……。(恐らく今日、こいつは魔法が使えるようになるだろう。……勘だがな。)」


 ナビィがそんなことを思っていたなんて露しらず俺は、魔法の使えない自分を嘆いていた。


「くっ……やっぱ俺は主人公じゃないのか…?」

「何言ってんだよ、お前。」

「だって、主人公だったら初日の……えーと、なんだっけ?あの魔物?」

「タウロスのことか?」

「あ、そうそう。そのタウロスを類い希なる魔法のセンスと能力で倒していた筈だ!なのに…なのに…。」

「センスどころか一切魔法が使えないという(笑)」

「くぅぅ…。」


 込み上げてくる悲しみを落とさないために、俺は上を向いて歩いた。かの有名な歌の如く。すると目に入ったのは、僅か5才ぐらいの子供が箒を乗り回している姿だった。……え、5才児に負けてんの、俺?


「決めたぞ……。」

「ん?どした?」

「俺は今日、野外に出て、魔物と戦う。」

「はぁ!?」


 やっぱ危機的状況を作り出さなければ、覚醒なんてしないと思うんだ。

 そんな甘い考えをしている俺は、タウロスや亜人に襲われた時の事などすでに忘れていたのだ。


「てことで、外に出よう!」

「おま、正気か!?」

「あったぼうよ!!行くぞ、ナビィ!」

「……うーん…この方が良いのか?」


 そうして、俺とナビィは早速野外へ出ることとなった。


 ***


 今俺たちの居る都市、ユグドラシルは、東西南北それぞれに、各一つずつ出入口門が設けられている。俺たちは北門、つまり、世界樹の丁度真正面にある門をくぐって野外に出ようとした。しかし、一つの問題がある。


「おい、大翔。あそこに門番が居るぞ。」

「もしかして只では通らしてくれないパターンか?」

「ぽいな。」

「むーん……。」


 ……はっ!ひらめいた!

 俺は問答無用で門をくぐろうとする。


「お、おい!ちゃんと許可証を取らなきゃ通れねぇって!」


 案の定、俺は門番に引き止められた。


「おい君。許可証を見せたまえ。」

「ああはい。ええと……。」


 俺は制服の裏ポケットからある物を取り出す。


「……君は、学園の生徒なのか。」

「はい、もうすぐ魔闘会なので、訓練のために魔物と戦おうと。」

「4年生ならば、通ってよし。」

「あざまーす!」


 俺が見せたのは、ユグドラシル学園の生徒手帳だ。手帳の裏に生徒証明書があるので、なんとかごまかすことができた。


「……お前、結構頭良いな。」

「へっ……なめんじゃねぇぜ!」


 これでも生前は、結構頭の良い高校に通ってたんだからな!


 門をくぐると、しばらくトンネルのような通路が続いていた。やがて奥から光が射し込む。


 野外の世界は、やはり壮大なものだった。


「うほぉーー!ひっさびさの外だああ!」


 少し平野が広がり、その奥に森が続いていた。そのずーーっと奥を見ると、俺がこの世界に来た時居た丘があった。


「ここは『ユグドラシル平野』。魔物はいないため、都市の北町から他の町への輸出物を運んだり出来るんだ。」

「魔物がいない?駄目じゃねぇか。」

「魔物はあの森の中から居る。あの森は『ユグドラシルの森』っていう、そのまんまの名前だ。そしてお前が転生した場所、つまり、あの丘が『エザリア(きゅう)』だ。都市から離れれば離れるほど魔物の数は多く、強くなる。」

「にゃるほど。」


 名前はややこしいからともかく、森の中に行かなければ何も始まらないってわけか。


「しかし、エザリア丘まで歩いて行こうと思えば、三日はかかるだろうな。」

「ええっ!?」

「お前忘れたのか?都市まで行くのに魔法の絨毯に乗って行こうとしたじゃねぇか。」


 そういえば。


「まぁ森の中でも割りと低危険度の魔物が居るから、そいつで我慢しろ。あと、あんま奥に進みすぎると迷うからな。」

「おっけーおっけー。」


 ようし、そうと決まれば早速森の中へレッツらゴーだ。


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