神殺しのデバッグ:支配なき世界への帰還
「……アレス、リナ、セレン。神殺しの前に、この『高次元演算空間』から地上のすべてを見渡してやる」
俺はマスター・コアの演算機能に強引に割り込み、前世の「広域監視ネットワーク(エシュロン)」を魔力で再現した。世界中の魔力の流れ、思念の断片、そして隠された「悪意」の波形を視覚化する。
「……見えるぞ。神が作った平和の裏側で、腐り果てた連中の残滓がな」
世界の「悪意」を精査する
俺の瞳に、地上で蠢く醜悪な光景が次々と投影される。
腐敗した貴族・王族: 「『王』がいなくなれば、この国の財産は我らのものだ……」と、民を飢えさせて金貨を数える豚共。彼らは神の管理を盾に、自分たちの特権を永続させようとしていた。
独善的な聖騎士団: 「異端者は根絶やしにせよ。それが神の御心だ」と、正義の名の下に虐殺を正当化する狂信者たち。彼らの鎧の下にあるのは、信仰ではなくただの選民意識だ。
地下の犯罪組織: 「教会が混乱している間に、子供たちを攫って奴隷市へ流せ」と、人の絶望を金に換えるハイエナ共。
「……ツカサ様、あんな……あんなの、酷すぎます。私たちが必死に戦っていた裏で……!」 リナが震えながら、投影された悪意の光景を見つめる。
「神様ってのは随分と節穴だったみたいね。それとも、これらも『管理された安定』の一部だって言うのかしら?」 アレスが忌々しげにウォーハンマーを握りしめる。
ツカサの断罪:全自動デバッグ(ジェノサイド・バスター)
「……いいだろう。神を消す前に、その『失敗作』どもをまとめて掃除してやる」
俺はマスター・コアの権限を完全に掌握し、地上の「悪意ある波形」をターゲットとしてロックオンした。
標的設定: 記憶、行動、思考から「他者を踏みにじることでしか存在を証明できない者」を抽出。
処刑術式: 185cmの俺が指を鳴らした瞬間、地上の各所で「天の裁き」が降り注ぐ。
汚職貴族の執務室に、ピンポイントで重力崩壊を。
略奪を繰り返す騎士団の足元を、地獄の業火で焼き尽くす。
奴隷商人の拠点ごと、亜空間へと転送して消滅させる。
「(……十、百、千……万。これでお前の箱庭も、少しは綺麗になったか?)」
「……アレス、リナ、セレン。見てろ。これが『神の管理』の成れの果てだ。この豚どもには、自分が何に裁かれるのか理解する時間すら与えない」
俺はマスター・コアの権限を完全に掌握し、地上の王宮や豪華な邸宅に巣食う「腐敗した貴族・王族」を、一人残らず高次元からロックオンした。
腐敗の殲滅:神の鉄槌
「サーチ、セレクト、デリート。……実行。」
俺が指を弾いた瞬間、地上では物理法則を超越した断罪が同時多発的に発生した。
重力崩壊の処刑: 贅を尽くした晩餐会で、民の飢えを嘲笑っていた王族たちの頭上に、局所的な「超重力」を発生させた。彼らは自分が抱え込んだ金貨の重みと共に、床ごと地中深くへと押し潰され、肉片一つ残さず圧縮消滅した。
分子分解の劫火: 隠し倉庫で私腹を肥やしていた貴族たちは、自慢の財宝もろとも「超高温の青い炎」に包まれた。それは酸素ではなく、彼らの「悪意の魔力」を燃料として燃え上がり、周囲の建物には一切延焼することなく、対象者だけを原子レベルで分解した。
亜空間への追放: 神の法を盾に逃げ延びようとした執政官たちは、出口のない亜空間へと一瞬で転送した。そこには光も音も、そして彼らが愛した権力もない。ただ永遠の虚無だけが続く。
「……一万二千八百人。これで、この大陸の『寄生虫』は一掃した」
地上の沈黙と解放
モニター代わりの演算空間に映し出される地上では、支配者を失った民衆が呆然とし、やがて「呪縛が解けた」かのように空を見上げ始めていた。
「ツカサ様……。あんなに一瞬で……。でも、不思議と悲しくありません。あの人たちの周りに漂っていた黒い霧が、今はもう見えないから」 リナが震える手で祈るのを止め、力強く立ち上がった。
「システムが『安定』のために生かしておいたバグを、あなたがすべて修正したのね……。これで世界は、本当の意味で再起動するわ」 セレンが狂喜に近い表情で、流れ去るデータの残渣を追いかけている。
「さあ、ツカサ。仕上げよ! その震えてる『コア』を壊して、私たちの自由を確定させましょう!」 アレスがウォーハンマーを掲げ、光り輝くマスター・コアの目の前まで歩み寄る。
最後の一撃:マスター・コアの最期
マスター・コアは、もはや警告の音声すら発することができない。ただ、俺という「最大最強のバグ」を前にして、ひび割れた水晶のように震えている。
「……いいや、地獄へ送る手間すら惜しい。ゴミは一箇所にまとめて処分するに限る」
俺は震えるマスター・コアに左手をかざし、同時に地上の残党――選民意識に溺れた騎士団と、弱者を食い物にする犯罪組織の座標をすべてリンクさせた。
地上の再構築:悪意の一括デリート
「一括選択。……ゴミ箱へ移動。」
俺はマスター・コアの演算能力を使い、地上の「悪意の全波形」を一箇所に収束させた。
騎士団と組織の消滅: 次の瞬間、世界中の悪徳騎士や犯罪者たちが、悲鳴を上げる間もなく空中に開いた「亜空間の門」へと吸い込まれていった。行き先は、かつての腐敗貴族たちが送られた、出口のない虚無の檻だ。
聖域の崩壊: 「神の代行者」を自称していた教会の中枢施設も、その存在意義と共に崩壊し、ただの石くれへと還った。
「……これで、地上から『害獣』は一掃された。残るは、この元凶だけだ」
完全消滅:物理・論理の終焉
俺は右手に亜空間のエネルギーを限界まで圧縮し、マスター・コアの中央へと叩き込んだ。
「『最終削除』。」
物理的破壊: 巨大な水晶体が、内側から発生した重力崩壊によってひび割れ、光の粒子となって砕け散る。
論理的消去: セレンが事前に仕掛けていた「循環コード」が、消えゆくシステムの隙間に流れ込む。支配のための命令系統は消滅し、世界を構成する魔力は、特定の誰かではなく「世界のすべての生命」へと等しく解放された。
「……っ、眩しい……! ツカサ様、世界が……息を吹き返していくのが分かります……!」 リナが光の中で、涙を流しながら微笑む。
「……ハッキング完了。これで『神』という名の管理プログラムは完全にアンインストールされたわ。これからの世界は、自分たちの足で歩くしかないわね」 セレンが満足げに眼鏡を拭い、光り輝く地平線を見つめた。
自由という名の旅路
光が収まった時、俺たちは元の森、あのコテージの前に立っていた。 空はどこまでも高く、魔力の流れはかつてないほど穏やかで自由だ。
「……ふぅ。これでようやく、本当の意味で『静かな生活』が送れそうね、ツカサ」 アレスがウォーハンマーを地面に置き、俺の隣で大きく伸びをした。
「……ああ。誰にも、何にも縛られずに、ただの『ツカサ』としてな」
185cmの巨躯を揺らし、俺は再び焚き火に火をつけた。 俺たちの旅は終わった。そして、誰にも支配されない、俺たち自身の物語がここから始まる。
「リナ、セレン、アレス。……飯だ。今日は最高に旨いドラゴンの肉を焼いてやる」
「「「やったー!!」」」
――世界の「調整者」ではない、一人の男の物語。 完――」




