雨、半分晴れ「渡り廊下の女子生徒」
はあ、傘持ってない。
今は、今日最後の授業。
これが終われば、後は帰るだけ。
(今日も、あそこ行こっと)
なんか、急に降り出したな…さっきまで晴れだったのに。
濡れて帰るのはいやだな。
まぁ、今日は、あの渡り廊下で、ゆっくりできるはず。
休み時間とかは、短くてあまりいられないけど、帰りなら、もう少し長くいられるはず。
しかも、帰りだと、あまり人が来ない。
最高だ。
とりあえず、雨音をBGMに、この時間を乗り切ろう。
「じゃあ、ここ、神田さん、いける?」
「えっ、あ、はい」
まずい、どこだ。
黒板を見て、なんとなく流れを察する。
「そこは…空気が入らないようにするため」
「そうね、プレパラートを作るときは、空気の泡を入れないようにするんだったね」
危ない…違うことを考えていた。
たまにこんな修羅場が来るが、黒板をみたりして、なんとなく乗り切ることができている。
1つの特技と言ってもいいんじゃないだろうか。
キーンコーン…
「はい、ここまでです。号令お願いします」
「起立」
やっと終わった…よし、今日1日のご褒美、渡り廊下に行こう。
「さよならー」
「はい、気をつけてねー」
雨の中、外に触れている渡り廊下に出ることを見られると、変な人だと思われるかもしれない。
でも、下校の時間だ。人なんて、こないだろう。
この渡り廊下から、学校の外を眺めることが好き。
人が通れば、なおさらいい。
私の持つ日常から別の日常を覗く。たまらない気持ちになる。
なんだか変な天気だな…今にも晴れそうだけど…
(あっ!傘さしてる。折りたたみじゃないってことは、降ってから外出したのかな)
この不思議な天気に、傘をさして、歩く。
いいなぁ、私も傘持ってきたら良かった。
こういう風景を、写真などに収めて、写真集にしている人もいる。
私はそういうのが好きで、日常を切り取った写真集を、3冊ほど持っている。
最近は、ネットに上げられているものを観ることが多いけど。
「えっ!?」
思わず声が出た。
人がいる…こんな雨なのに…。
あれ?なんか、もしかして、すごく楽しそう?
雨の景色を黙って見つめるのって、だいたい、悲しんでる人とか、悲しみに浸ってる人じゃないの?
なんて、偏見だ。
なんなら、私だって、この景色を楽しんでいる。
あの人は…。多分、いや、ほぼ確信に近いけど、楽しんでいる。
なんか、表情が楽しそう。達成感みたいなのを感じる。
(なんで?なんで雨をみて、そんな満足気なの?)
そんなことより、こんなとこにいることがバレたら、恥ずかしい。
見られる前に帰ろう。
足音を立てないように、私はこの場を後にした。
もう少しいたかったけど、いつもよりはいれたし、いいかな。
(傘、持ってないよ…)
その日は、仕方なく濡れて帰ることになった。




