雨の降らない曇り空「晴美」
なんだか、朝から変な天気だなー。今にも降り出しそう。
「なんだか嫌な天気だねー」
一緒に学校に向かう親友の雨音ちゃんに、そう言ってみる。
「そうだね、私は、雨は好きだけどこういうどんよりした天気はなんだか…」
雨音ちゃんも、こういう天気が苦手みたい。心做しか、私よりも。
雨音ちゃんは、雨が大好きだけど、この様子だと、降るなら土砂降りだなー。土砂降りはちょっとなー…
晴れるとしたら…あっ!
「晴れたりしないかなー曇り空から晴れるとき、空から光が差すの、好きなんだー」
雲が晴れるとき、雲から光が差すときがあった気がする。
あんまり見られないからまた観たいなー
「あれ綺麗だよね、私はその前に雨も降っていたら、なおさら綺麗に見える気がするな。雨水が光を反射するのか、キラキラ見える。」
なんだか、さっきまで、顔が曇っていたというか、浮かない表情というか、そんな感じだったけど、今は楽しそう。
まるで私が想像していた景色みたい。
「たしかにー!雨音ちゃんって、周りをよく見ているよね」
今に限らず、これはいつも思っていること。
「そうかな、そんな自信はないや」
目を逸らした。
雨音ちゃんはよく周りを見ている子で、そこに感動を見つけている。
これは私が保証するけど、本当に自信がないのかもしれない。
「私はよく見ていると思うよ!空から光が差すとき、直前に雨が降っていた方が綺麗、なんて、私はあの光に気が取られていて、気がつかなかったなー」
人が浮かない顔をしていると、すぐこんなことをしちゃう。目の前にいるなら、尚更。
(これは癖だし、多分悪い事じゃないから大丈夫だよねー)
「あの光、薄明光線って言うんだよ」
はくめいこうせん…?技みたい。強そう
「へー!そうなんだ!雨音ちゃん物知りだよね」
「ありがとう、天気に関することぐらいだけど」
天気以外でも、私より知識が多くて、一緒にいて、とっても楽しい。
まあ、知識以外でも、雨音ちゃんの好きなところが沢山あるから楽しいんだろうけど。
(うん、やっぱり)
私の好きなところの一つが、もうでてきた。
「雨音ちゃんなんだか顔が赤いね、太陽みたい。」
いい顔をするんだよなー多分褒められて照れてるんだろうなー分かりやすくて、かわいい。
「今日、本物の太陽はお休みみたいだけど。」
「じゃあ雨音ちゃんが今日の太陽だね!」
「なんだそれ」
また、笑った。
困ったような、嬉しいような顔。とってもかわいい。
「やっぱりいい顔だねー」
雨音ちゃんは、上手に、感情を顔に出す。
それが、私の言葉を肯定してくれているみたいで嬉しい。
「今日は私が太陽か」
「そうだよ、よろしくね!太陽!」
「ははは」
「いつもありがとう晴美」
(え?)
「ん?どうした?急に」
「なんとなく」
「ふーん。いつもありがとう!雨音ちゃん!」
これも、私がいつも思っていること。
やっぱり、太陽だなー