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二つの音「宵音」

今日は私が少し楽しみにしていた日。


この前行った写真部。


入部しようと考えている。


今日1日は、ずっと、この時間の事を考えていた。


時計を見ては、後〇時間後…というふうに、待ち望んでいた。


いつもより、時間の進みが長く感じられた。


待つ身は長い。まさにそんな感じ。


部室までやってきた。


「…か?」


「…〜」


中から声が聞こえる。


まずはこの扉を叩いて…


コンコン…


最後のノックがかすった。


少し、緊張しているのかも。


なるべく早口にならないように…


「すみません、写真部に入りたいのですが…」


「ああ、宵音ちゃん、いらっしゃい。」


伊藤先生だ!あと、たしか、あまねさんだったはず。


この前、廊下に写真部の写真があって、「木村雨音」と書いてあるのがあった。


あまねさんは、「雨音」と書くのだろう。


「宵音ちゃん、来てくれて嬉しいな」


「この前、すごく楽しくて、入りたくなりました。」


「良かった」


「この紙に名前と、保護者の名前書いてもらって、明日、担任の先生に出してね」


「今日のテーマは、自由にしようか、学校の中で、好きなところを撮ってきてね」


「はい」


「行ってきます。宵音ちゃん、行こうか。今日はカメラ余ってるし、そこにあるの、好きなの使っていいよ」


「ありがとうございます」


3台あるうち、真ん中にあったのにした。


「雨音さんでしたよね?一緒に行ってもいいですか?」


「いいよ、一緒に行こう。」


こないだと同じ感じかな…本物のカメラすごいな…私も欲しい。


いくらするんだろう。


「そういえば、この前、半分雨で、半分晴れみたいな天気があったんだけど、その時渡り廊下にいたのって、よいねちゃんだったりする?」


「あっそうかも知れないです!誰か来たと思って、逃げちゃったんですけど。」


「私、あの時、もしかしたら雨なのはここら辺だけで、反対側も晴れてるんじゃないかって見に行ったんだよね」


「確か、雨でしたね。」


「うん、宵音ちゃんは、なんであそこにいたの?」


「あの日、急な雨だったじゃないですか、なんで、外の人は、傘を差している人と、傘を持っていない人で、分かれるんじゃないかと思って。そんな様子が見たくて。」


「そうなんだ。」


「あと、雨をもっと近くで感じたかったのもあります。」


「いいね」


カシャ


雨音さんが急に止まって、シャッターを切った。


それからは、私も、気に入る場所を見つければ、カメラに入れるようにした。


なんだろう、居心地がいいというか、家の外で使う鎧が、必要ないというか、機能しないというか…


「そういえば、この間みたいな、半分晴れで、半分雨のことを、片時雨かたしぐれって言うみたいです。」


頭に浮かんだ言葉が、そのまま出た。喉で検閲も受けずに。


「そうなんだ。片時雨、案外そのままかも、でも、なんだか素敵」


「秋とか、冬に多いみたいなんですけど、この間は珍しかったですね。」


「へえ、あの天気自体も、珍しいよね」


「そうですね、綺麗で、私は好きです」


「私も。」


自分でも驚いた。不思議とこの人の前だと口数が多い。


(あっ!ここから見た感じ、めちゃくちゃいい!)


あの消化器も撮ろう。





「そろそろ、戻ろうか。」


あっ、もうそんな時間か


「はい」


やっぱり、居心地がいいな。


同じ学校なはずなのに、今は気分が全然違う。


「なんか、雨音さんとだと、不思議と変に気を使うことがないです。」


「私も、宵音ちゃんとだとそんなふうに思ってた。」


雨音さんも、同じこと思ってたんだ。


「他の先輩とかだと、ちょっと気を使うんですけどね」


部室にやってきた。


「おかえり、雨音ちゃん、宵音ちゃん。」


「どうだった?」


「楽しかったです。なんだか、宵音ちゃんとだと、気を使わないっていうか、楽でした。」


「私も、そんな感じです。」


「仲良くできそうで良かった」


「宵音ちゃん、よろしくね」


「はい、よろしくお願いします。」


「じゃあ、解散しようか、おつかれ」


楽しかったー、入部確定だな。


「よいねちゃん、一緒に帰ろう」


「はい!ちょっと、入部届け、名前だけ書いていいですか?」


「うん、分かった」


忘れないように、ここで少しでも書いておこう。


明日にでも提出したい。


「書けました」


「よし、行こうか」


「先生、さようなら」


「さようなら」


「はい、気をつけてねー」


「雨音さん、カメラって、雨音さんは、自分のですよね?」


「そうだね、部活以外でも、写真撮るのが好きで」


「私も欲しいな」


お年玉とかで買えないかな…


「私のは、もらったのだけど、電気屋さんとかに売ってるかも」


…できたら、一緒に行きたいな


「今度、一緒に見に行ってくれませんか?」


「いいよ、行こうか」


え!やった!今日はなんていい日なんだろう。今朝の占いは一位に違いない。


「ありがとうございます!」


「さっき、入部届見ちゃったんだけど、宵に音おとって書いて、宵音よいねっていうんだね」


「はい」


「素敵な名前。落ち着いた雰囲気で、宵音ちゃんに、なんだかぴったり」


「ありがとうございます。私も意外とこの名前が好きです。」


「いいね」


雨音っていう名前も素敵…


「じゃあね」


「さようならー」


あっ、いい名前って、私も言えば良かった。


まあまた会った時に言えばいい。


早く帰って、入部届けにサイン貰わないと!

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