表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/13

晴れの日と雷と晴「おじさん」

学校帰りの、小中学生がいる。


最近、子供達は、俺ら大人を、軽くバカにしていると思う。


むしろ、世の中を舐めていると思う。


平気で優先席に座るし、挙句の果て、老人が乗ってきても譲りもしない。


バスが混んでいるというのに、詰めもしないで、(あと)から乗る人が乗りにくくなっている。


道に広がって、大声で話す。それが青春だとでも思っているのか。迷惑だよ、迷惑。


(あっ、あんな所にゴミがあるな)


誰だ…?ちょっと言ってやらないといけないな。


言うべきことは言わないと。


「ねぇ、そこに空き缶あるよね?捨てたら?」


「…ねぇ!」


無視だ。やっぱり舐めている。


「おーい、空き缶あるけど」


「?」


「捨てないの?落ちてるけど」


「私じゃないんですけど」


言い返してくるか…これも、最近の子供の特徴だ。


「あんたみたいな子供がやったんだよ、こんなの。だから捨てたら?」


まず、なんでこんなことをするのかが分からない。捨てればいいだけだろ。


「なんでこんな事するかなー」


「知りません、私はこんなことしないので」


「はぁー、そういうのいいから、なんでこんなことしたの?」


「………」


黙ったな、反省しているのだろう。


「だから!なんでこういうことするの!?」


「分かんないです。」


くっ…


「はぁ?舐めてんの?どーせ捨てるのが面倒なんだろ?飲んだジュースの缶くらい捨てろよ」


「さっきも言いましたけど、私が捨てたんじゃないです。」


「嘘言うなよ、俺は見てたんだよ、アンタが捨てるのを」


ホント、口答えばかりだ。


俺がこんぐらいの時は、大人の言うこと聞いてばかりだったのに


「いつ見たんですか?明らかに、捨てられてから時間が経っていると思いますが。」


「うるさいなー!なんでそんな口答えするんだ!普通お前ぐらいのやつは、何も言ってこないぞ」


なんだ?まだ行ってくるか?なぜかこの子の顔から怒りを感じる。


「もう行きますね」


(えっ)


「…おい!逃げるなよ!」


もうダメだな、この町は。


俺が育ったこの町。変わってしまった。変えられてしまった。


…この子なら、話が分かりそうだ。


表情、雰囲気から覇気を感じる。


「おい、あの空き缶、お前のだろ。捨てなよ」


「えっ、えっとあの…私じゃないです!」


(…)


悲しくなる。こんなにも伝わらないと。


言い方だろうか。確かに、高圧的だった…


しかし、しっかりと伝えるには…


「すみません、あの空き缶、あなたが捨ててみてはいかがですか?」


「え?」


大人か。背が高めの、男だ。


「なぜですか?子供たちが捨てたのに」


「本当ですか?それをあなたはご覧に?」


「…みてないですけど、でも、言うべきことは…」


「言うべきではなく、言いたい。では?私にはそう見えましたよ」


「確かに、子供の仕業かもしれません。ですが、確証もないのに、頭ごなしに怒鳴りつける。それ、大人のすることでしょうか?」


「もし、伝えたいのなら、行動で見せるというのはいかがでしょう?」


「行動?」


「あの空き缶、子供たちの前で拾ってみせるのです。少なくとも、この後来る子供たちには、素敵な大人に映ると思いますよ」


…確かに、行動。


言葉でなくても、伝える事はできる…かもしれない。


「分かった。やってみます」


「はい、ぜひ」


制服を来た子供がやってきた。3人程で歩いている。


「ほら、今です」


缶を拾った。


「突然すみません!もしかして、ゴミ拾いしてくれていますか?」


ん?何をこの人は…


「えっ、あなたが…」


この男性が拾えと言ったのに…


「ありがとうございます!あなたのおかげで、綺麗です。素敵ですね!」


大きな声だな…


「…ほら、見てますよ、子供たち」


さっきまでとは比べ物にならないほど、小さな声でそう言った。


見えなくなるまで、3人組は行ってしまった。


「それでは、失礼しますね。ゴミ拾い、本当に素敵なことです」


今度は、小声でもなく、大きな声でもなかった。


あれ、俺は何をするつもりでここに。


とりあえず、この空き缶は持ち帰ることにしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ