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雨上がり、坂の上で「晴美」

今日は、親友の雨音ちゃんが、私の家に来る。


お母さんには、「勉強」と伝えているけれど、正直遊びたい。


雨音ちゃんも多分そうなはず。


10時頃に約束をした。もうすぐ来るはず。


(今日は何をしようかな、雨音ちゃんは、頭を使うゲームが得意だな…)


「ピンポン」


インターホンがなった。


「はーい!」


(雨音ちゃんが来た!)


ドタドタドタ


「おはよう!雨音ちゃん!」


「晴美おはよう」


落ち着いた、いい声。


静かな子なんだけど、細かな表情の変化が、豊かだと私は思う。


「お邪魔します」


「いらっしゃい、雨音ちゃん。」


私のお母さん。落ち着いた性格をしている。


私と性格は、あんま似てない気もする。


(やっぱり、ジュースがあるといいよね)


「雨音ちゃん、オレンジジュースと葡萄ジュース、どれがいい?」


(オレンジかな…)


「オレンジジュースで」


雨音ちゃんに、ジュースを出した。


「ありがとう」


(何したいか聞いてみよう)


「今日は一応勉強なんだから、ちょっとは勉強しなさいね」


(そうだった…)


「はーい」


今日は勉強だった。


まあ、終わったら遊べばいいよね。


私たちは、漢字の勉強をすることにした。


気になる漢字を調べる課題がある。


雨音ちゃんは、「雨」を調べるらしい。


やっぱり、雨が好きだからかな?


私は「羊」にする。


ひつじってなんだか可愛いし、文字としても、なんか好き。


(羊って、正面から見た時の形なんだ。たしかに、言われてみれば、顔っぽいかも。)


そういえば、「洋」も、羊と似てて、「よう」って読むな…


「羊って、(さんずい)を付ければ洋ようになるよね。」


「形が違うのに、同じ読みってなんだか不思議。」


雨音ちゃんは、どう思うんだろう。


「確かに、私はそういうもんだ。って流していたけど、よく考えると不思議だね。ちょっと読み方変えてもいい気もするし。」


あんま気にしてなかったみたい。


まあ、なんでもいいか。


「まあ読み方増えたらその分覚えなきゃだし、別にいっか〜」


そういえば、私の名前も…


「そういえば、私の名前の「美」っていう字、氵を付けた形もあるんだよね。」


「そうなんだ?」


「ねぇねぇお母さん、私の名前の美って、元々は氵をつけて晴渼にしようとしてたんでしょ?」


「そうね、でも人の名前には使えない字だったの。」


「どんな意味があるんだろう。」


雨音ちゃんが、ちょっと興味ありそうな顔をしている。


「ちょうどいいし、調べてみようよ」


私は、羊のページを閉じて、渼を調べた。


「「渼」読み方は「み」とは言わないみたい…意味は、波、漣さざなみ、波紋を意味するんだって。」


「晴にできる波紋、素敵でしょう?今日みたいな、雨上がりをイメージしたの。」


「波紋は、水溜まりにできる波紋をね」


お母さんがそういった。


(あんまよく分かんないけど、綺麗な感じはする)


「ふーん、あんまイメージできないけど」


「あらあら」


水溜まりなら、雨がないとだよね。


「とりあえず、雨上がりの水溜まりってことは、雨がなきゃ私が成り立たないわけだ」


雨と、私、雨と晴美…


「なんだか、私と雨音ちゃんみたいだね」


驚いてる…?あっ変わった。


(あっこの顔だ)


たまに雨音ちゃんは、私が何かを言うと、たまにこういう顔をする。


すごく優しくて、本当に癒されるような顔。私の大好きな表情。


「そうだね」


(ほんとに、なんだか雨、雨音ちゃんがいて、私な気もする)


「雨音ちゃんがいないと、私じゃないっていうか、雨音ちゃんがいて、私が出せている気がするの」


「晴と雨、私たちになんか似てるなって。」


「私も、晴美がいて、私な気がする。」


いい顔だなぁ…


「そうね、私もそう思うわ、いつもありがとう、雨音ちゃん」


お母さんが、また話した。


「いえ、こちらこそです。」


「いつもありがとう晴美。」


…やっぱり、急にお礼言われると、ちょっと恥ずかしくなるな、急じゃなくても、なるんだけど。


(あっ、雨音ちゃんがさっきよりも…)


なんか、恥ずかしさが伝わる。


可愛いなぁ、純粋にそう思う。


「ありがとう!雨音ちゃん」


なんか暑いな…エアコン効いてる?

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