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参話 磁場の狂った森

 王様の兵隊は百人、統率を取っているのは王子と姫たち。


 長男プボスマ、筋肉質な体にまとうは青い系統の制服的、外交衣装。


「それと言うのもトロルの騒ぎ、それは本来彼らの巣を見張る森番がいるはず。


 その森番から、フクロウを経由して「エスオーエス」との知らせが来た。


 そして何かを失礼だと受け取ったトロルたち・・・


 とにかく先に、森番に会わねばなるまい」


 栗毛馬に乗っている次男のリガパトは、肩が見える和風なローブを着ている。


 手には本を広げ、ぶつぶつと暗唱している。


「リガパト、何を読んでいらっしゃるの?」


 そう聞いたのはリガパトより年下の長女、カドア。


 エルフの血が入ったカドアは清楚可憐をまるで姿にしたような美女。


 半袖のへそだし上着に、


 腰からすそにかけてふんだんに差し色を使った大ヒダをあしらったボンタン的ズボン。


「魔法書だってさっき言ってたよ」


 ぶつぶつ暗唱しているリガパトに代わって答えたのは、リールー。


 王位継承権を持っている次女、まだ幼くはあるが愛らしい美姫。


 後ろ首でヒモを結ぶ、桜柄のノースリーブの上着に、ひざが見える縦ヒダスカート。


「外交のための服って、そういうことするためか?」


 それをケビンに聞いたのは末弟のパアラト王子、まだ幼児であるが英知の眷属である。


 ケビンはパアラト王子の要望で、お守役として同じ馬に乗っている。


 ケビンは苦笑した。


「相手は巨人ですぞ。ありえますのか?」


「ううん・・・マークレスって言う名の男、まだ分からぬ。百聞は一見に如かずなり」


 赤い制服的なスーツを着ているパアラト王子は、遠出に具合を悪くし始めていた。


 パアラトの要望で一緒に赤い服を着て欲しいと言われたケビン。


 赤基調に白い花の刺青的模様が片腕にあるサイドスリットロングティーシャツ。


 黒いズボンの片太ももには、ファッションベルトがふたつ装着されている。



「ん~・・・こっち」


「本当なの?」


「うんっ、多分が絶対っ」



 同行しているジェイミーは、森番に会うための要員。


 森にはそれぞれの磁場があって、普通は方向感覚が狂ってくる。


 それにしてジェイミーは、うきうきと背中の羽根をぱたぱたしている。


 何故かジェイミーは、磁場の狂った森が平気らしい。


 具合の悪そうなメイトと、兵士たち。



「なんじゃ、こりゃぁー?あ、石か。変わった形だからこれ誰か持っておいて」


「うん、私が持っておくから・・・」


「うんうん。はい、持って・お・い・て」



 ハイネックに飾りの付いたファスナーがある、黒いドレスをジェイミーは着ている。


 ミモレ丈のその足には、黒い新品の厚底網サンダル。


 羽根で空中に少し浮いているので、サンダルは汚れない。


 そんなジェイミーの服を選んだメイトは、ケビンのお願いでいつもの感じではない。


 ケビンいわく、黒づくめを今しないから、君も巻き込まれてくれ、とのこと。



 

 胸元を隠すゴム留めの上着に、ホットパンツ、ニーハイソックスに、ブーツ。


 ベルト差し込み口に全体が横になるように通してある紗の腰布が結ばれている。



「天空の巨人って言ったって、どれくらいの大きさなの?」


「何の?」


「みんな、今日はちょとだけ、そんな言い方が多いわ」


「ごめんごめん。身丈は、気まぐれらしい」


「ん?」


「天空の巨人族について、魔法で身体の大きさを変えることができるタイプらしい」


「マークレス、っていう巨人族さんが、ってこと?」


「それもまた、少ししか『身長魔法』が使えないらしい」


「んん~・・・」


「魔法力あたりが、全体的に微妙らしい。フクロウ便にそう書いてあった」


「ん、なるほど」



 マークレスと思しき巨人、発見しました、と兵士の声があがった。



 足を負傷しているもよう、と続いて報告がある。



 リールーと同じ馬のメイト、


 そしてパアラトと同じ馬のケビンが、


 顔を見合わせた。

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