弐話 正義のつるぎ
いつもは黒ずくめの服を着ているケビンが、白基調、金色縁の服を着ることになった。
前回と同様、教育塔に姫と王子たちを迎えに行ったケビンとメイト。
そして今回はジェイミーも加わり挨拶をして、聖堂で解決のための祈りをした。
そして天啓があり、ケビンが選ばれた。
元はひとつだった王族の血について、ケビンは現王族に仕える者。
そしてケビンに、護りのつるぎの所持が天啓によりうながされた。
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【堂万寿獅子宮芯間予喪都:とうますししみやしんまよもつ】
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形式により白ずくめに金色の模様のある服を着たケビンは、歩を進める。
湖の中に樹がはえていて、透明な水の中に無害で小さな魚の群れが泳いでいる。
ケビンの身長で言うと、地面から腰辺りの水深。
荘厳に進み続けたその足裏が、樹の根の固い感触をとらえた頃、ケビンは本棚を発見。
生きている樹を加工した本棚状の場所に、本の形をくり抜いたかのような置物。
ケビンはおもむろに目をつぶる。
本のレプリカには各々題名が記してあって、ケビンには読める特権があるらしい。
そして並んでいる題名の中、ケビンが選んだのは『正義』と記されたもの。
その木製の西洋書風のレプリカを手に取り、それが開封できることに気づく。
開いたその中に、小ぶりなつるぎが入っていて、ケビンを認め煌き星がいくつか光った。
「正義のつるぎ、制約と自由を司る『鳥』にあやかり、
その名、鳥を司ると書き『クロウジ』と言う・・・」
さやに入った小ぶりな曲刀。
見守っている王子や姫たちの中、戻って来たケビンにジェイミーが言う。
「名刀、和宝狸・・・」
王子や姫がジェイミーを二度見する。
メイトがジェミーに聞いた。
「どうしたの?」
「ううん」
「実在をうたがいたくなるような響きだね」
「うんうん」
ケビンが、自分もつるぎが欲しいのか、とジェイミーに言う。
「あったら」
メイトが、なんだかありそう、と嬉しそうな言い方。
自分で考えたことを言ったのか、とケビン。
まどかつるぎだと思う、とジェイミー。
なるほどなぁ、と関心を示すケビンたちの状態に、
姫や王子たちは「分からない」とぼやいた。