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プロローグ

  「やめてくれ!悪かった!謝る、謝るから!命だけは…うわぁああああああ!」


 グシャリという音とともに、男は跡形もなく消し去られた。


「謝るのは俺じゃなくて被害者に、だろ…地獄で反省するんだな」


 今日の依頼は、中々に面倒であった。集団犯罪組織の壊滅、こいつらは強盗に殺人、詐欺などやりたい放題で、高い凶悪性も相まって依頼を請け負う人がおらず、中々に高い報奨金が掛けられていた。


「セツ、終わった?」


「ああ、そっちは片付いたのか?」


「うん!ミィ頑張ったよ!」


 そう言うと獣人族特有のしっぽを左右に揺らしながら、ミィがこちらをみてくる。


「……なんだ、また撫でて欲しいのか?」


「ミィ、頑張ったよ?」


「はぁ、ったく…こっちこい」


「わーい♪」


 ミィはそう言うとこっちに飛び込んできた。身体能力も高く魔術の適性も高いのに、ちょっと頭がアレなのが残念なんだよな、と思わざるを得ない。

 そう呆れつつも、もはや一仕事終えた後のルーティンと化しているこの状況に慣れてしまった俺も人が変わってしまったな、と思うのである。



 ―――いや、()()()()()()と言うべき…か。




「セツ、今日の晩ご飯なに?」


「そういえば今日は何も考えてなかったな、ダエルんとこの店にでも食いに行くか」


「ほんと!やったー!今日はハンバーグ食べる~!」


「じゃあ、そろそろ帰るか」


「うん!ハンバーグ〜♪ハンバーグ〜♪」


 ミィの奇妙な歌と共に俺たちは帰路に着く。






 ――ダエルの店に着いた。入るとそこには俺たちと同じく仕事を終えた冒険者で賑わっていた。

  いつもの人目のつかない席に座ろうとしたが、生憎、先を越されていた。仕方なく、空いている正面のカウンター席に座る。


「よう、兄ちゃん!お、また男前になったな!」


「…前来た時から1週間も経ってねぇぞ、ダエル」


「そうか?まあたしかに、お前さんは髪も切らねぇで元々中性的な見た目もしてるもんで、男前になったかどうかもわかんねぇもんな。ガハハハ」


「余計なことを言うな、俺は男だ、シメるぞ?ダエル」


「まぁそうカッカすんなって、ミィちゃんは今日もハンバーグかい?」


「うん!いつもの特製ハンバーグお願い!」


「あいよ、すぐ作るから待ってな!兄ちゃんはどうする?」


「俺はいつものエールと串焼きで頼む」


「はいよ」


 そういうとダエルは厨房に消えていった。


 ダエルが言ったように俺は生まれつき中性的な見た目をしていて、幼い頃はよく女子に間違えられていた。ミィも喋らなければ美少女であることは間違いない。

 なので、見てくれの良い俺たちは、荒くれ者の冒険者達によく目をつけられる。だからいつも人目のつかない席を選ぶのだが、空いてないのなら仕方ない。



 そんなこんなで食事が来るのを待っているとやはり、冒険者に声をかけられた。



「おいおい君たち〜、女の子がこんな時間にこんなとこきちゃ危ないだろ〜?怪しいおっちゃん達に連れてかれるぞ〜?ハハハハハハ」


「黙れ、その酒クセェ息で話しかけてくんな。あと俺は男だ」


「おお怖い怖い、まあ男か女かなんてどうでもいいだろ?こんなにいい見た目してんだからヨォ。それに…こっちの獣人族はお前が()()()いるのか?可愛いじゃねえか、俺がもらってやるよ、へへへ………グハァ!」


 堪忍袋の緒が切れたミィが男を吹き飛ばしてしまった。


「何すんだ!このガキ!獣人族のクセして舐めた真似するたぁいい度胸だなぁ?」


「セツ、ミィこいつ嫌いだからボコボコにしていい?」


「んだとぉぉ!」


「やれやれ、また面倒事か…」


 そうしてミィと男の間に割って入ろうとした時


「何やってんだお前!!メシ食わねえならさっさと出てけ!!」


 厨房からダエルがものすごい形相で怒鳴りながら出てきた。


「チッ、しらけたわ」


 そういうと男は(きびす)を返し、店を出て行った。


「ミィちゃんごめんな、はい、ハンバーグお待ち!」


「わーいハンバーグ!」


 先程のことがなかったかのように、目を輝かせて目の前の食事にありついている。


「ところで、兄ちゃんはいつまでこの街にいるつもりだい?」


「まだ決めてないな」


「そうか、まあここにいる間はうちの店を贔屓にな!」


「分かってるよ」


 そう言うとダエルはまた厨房に戻っていった。





 ――食事を済ませて俺とミィは宿に着いた。


「今日も()()()の情報は得られなかったな…」


「セツ、大丈夫?ミィが撫でてあげる?」


「やめろミィ、俺はガキじゃねえよ」


「うう、ごめん。…セツ、きっと見つかるよ。また明日も頑張ろう。おやすみ」


「…ああ…おやすみ」


 冒険者としての一日を終え、俺とミィは眠りに着いた。











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