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80:問う


事の発端は俺が教国に着いてから三日程経った頃まで戻る…。


兄貴達は帝国から提供された証拠とこれまでの調査結果を使って帝国で暗躍した商人…フィフスと繋がりを持った者達を捕らえていったらしい。


半数近く捕らえたところで残りの者達は一番深く関わっていたと考えられるオルシロン伯爵領へと逃げ込み、王国軍は伯爵領を包囲したが…。


後は進軍の号令を待つのみというところでそれは起きた、伯爵領からヒューム大陸では一度も確認された事のない魔物達が現れて王国軍を襲撃した。


一体一体が強力であり更に少数ながらも軍の様に連携を取る魔物達の群れに王国軍は予想以上の被害を被った。


バドルと騎士団が前線に出る事でその場はなんとかなったが今度は王国各地で魔物達が現れる様になり、バドル達は王都近辺を民の避難先として解放しながら魔物達の防衛線を構築して現在は膠着状態となっているらしい。


「バドル様は今も前線で指揮を取りながら戦っています…ですが魔物達はどこから現れるか分からず王都周辺を守るので精一杯の状況です」


「…ならまずは俺じゃなく帝国に救援を頼むべきじゃないのか?」


「帝国への伝書魔術は全て潰されました、それに魔物達は帝国へ繋がるブレイジア公爵領に集中して現れて伝令が向かう事も出来ないのです…」


…思わず舌打ちが出てしまう、帝国でも称号騎士が駆けつけれない様に連絡網が断たれていたが今回も同じ事をされている様だ。


「その様な状況でバドル様が呟いたのです、セルクが居てくれたならと」


「っ!」


「恐らくバドル様も無意識に呟かれたのでしょう、側にいた私以外には聞こえていなかったのですが貴方様ならばと私も考え独断で参りました」


そう言ってハリス達は再び頭を下げる、騎士が頭を垂れるのは王家と主のみとさえ言われるものを王国とは関係なくなった俺へと下げた。


「どうかお願いいたします!ベルク様のお力を貸して頂きたい!我々に出来る事ならばなんでも致します!だから!どうか…どうかバドル様を助けて頂きたい!」


「…事情は分かった、だが」


俺はため息を吐きながら頭を抱える、そしてアリアに一瞬だけ目配せしてから口を開く。


「それはお前達の事情だろうが」


殺気と共に魔力を放出する、放たれた殺気に騎士達はぶるりと背を震わせラティナはガチガチと歯を鳴らすほど怯えていた。


「俺が王国を出てから強くなるまで何度死にかけたと思う?

力を手にして帝国に認められるまでどれだけ努力したと思っている?

王国を出てから今までロクに関わろうとしなかった癖に力と立場を手にした途端に手のひら返しで助けてくださいか?」


俺の言葉に騎士達は沈痛な表情を浮かべる、それに構わず言葉を続けた。


「兄貴を引き合いに出せばなんとかなると思ったか?俺はお前達にされた事を一度も忘れてねえよ」


大鎌(サイズ)を手にしてラティナの首に添える、少し力を込めて動かせば大鎌の刃は容易くその首を落とすだろう。


「それでも俺に力を貸せなんてほざく気か?」


俺は騎士達ではなくラティナに向けてそう問いかけた…。

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― 新着の感想 ―
[一言] ホントリアルでもこういう図々しいやついるよなぁ 都合良すぎるのよね(-_-;)
[良い点] 彼はバーグのズボンを履いて、自分の真実をすべて話しました。私はそれがとても気に入りました。大鎌を彼女の喉に当てて、ゴミ屋敷のメイドに、彼女が何をした後もまだ助けが欲しいと告げた部分が大好き…
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