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76:救援


ハインルベリエの厄災から二十日後…。


「“聖涙穿槍(ティアーピアース)”!」


俺はセレナが撃ってきた水の槍を避けながら走る、続け様に撃たれる槍や玉を潜り抜けて剣を振る。


「“天涙護盾(イージスティアー)”!」


目の前に水の盾が展開されて防がれるがすぐさま“風跳(ウィンドステップ)”で地面と宙を蹴って背後に回る。


セレナはすぐに振り返って杖で剣を防ぐが杖を掴んで押し込む、体勢を崩して尻餅をついたセレナに剣を突きつけた。


「…動く相手に当てるなら予測して撃つ様にするといい、それと近づかれた時に動きが固くなるのをなんとかしないとな」


「はい…」


「攻撃に対する危機察知に関しては凄まじいんだがな」


セレナの未来視は彼女に迫る危機…つまり自身への攻撃を予知が可能だ、現に背後からの攻撃は今のセレナでは反応できないギリギリの速度で行ったが彼女は反応してみせた。


「まあ大抵の敵からは身を防げるだろう、後は場数だな…ほら」


「あ、ありがとうございます」


セレナの手を掴んで立つのを手伝う、水筒を渡すと彼女はゆっくりと飲んで息を吐いた。


セレナに訓練をつける様になったのは二週間前の事だ、俺達と行動を共にすると決めた彼女のために自衛と展開ができる様にアリアと協力しながら訓練を施していた。


(やはりセレナは魔術師型だな)


トゥルーティアーに選ばれたといえど彼女はまともに戦った経験があるわけではない、生来の気質か杖を振り回すよりは状況を観察して魔術を行使する後衛の方が向いている。


結界や水魔術等でセレナが後ろからアシストしてくれれば俺とアリアはかなり戦いやすくなるだろう。


(本来ならもう一人後衛を任せれるのがいれば良いが…)


そう考えたところで首を振る、仮に入れるとするなら砲台とでも言うべき魔術師が良いがそれに関してはアリアの展開で代用できるし後衛は状況に応じて俺が入れば問題はない。


無い物ねだりしても状況は変わらない、なら今いてくれる者達で最善を尽くすしかない。


「ベルクー」


考え事をしているとアリアが声を掛けてくる、その後ろには息も絶え絶えの騎士達が這いつくばっていた。


「随分厳しくしたみたいだな」


「これでも手加減したんだけど…というか不完全燃焼だからちょっと付き合ってよ」


「分かった」


セレナに離れてる様に合図すると互いに剣を構える、そしてセレナと這いつくばりながらもこちらを見る騎士達が目で追える範囲で打ち合った。


剣を打ち合った直後にアリアの腕を掴んで投げる、アリアは直前に自ら跳んで体勢を直しながら着地すると剣を振り向き様に振るう。


剣で弾くがすかさず翻った剣が迫る、迫る剣を避けてすぐさま前に出ると鍔迫り合いの形となった。


「…騎士達はどうだ?」


「強いとは言えないわね、能力は高いけど経験が足りてない…戦ったら多分うちの騎士どころか兵卒でも勝てるかも」


互いに剣を離すと再び打ち合う、打ち合う音を響き渡らせていると懐に潜り込んできたアリアが突き込んできた剣を避けながら腕を掴む。


「セレナはどう?」


「展開はしばらく先になりそうだ、この国じゃ仕方なかったのもあるが能力を十全に使えているとは言えない」


「まずは使いこなすところからって事ね」


手を放して再び向き合う、まだ次の作業まで時間はあるからもう少し打ち合って良いだろうと思っていたが…。


「ベルク様!」


騎士の一人が駆け足で向かってくる、剣を収めて向き直ると息を切らしながらなにかを伝えようとしていた。


「大丈夫か?」


「だ、大丈夫です…それより報告が」


息を整えた騎士が姿勢を正して報告をしようとする、最近はこうして俺を騎士団長の如く接する者が増えてきていた。


「物見を行っている者より報告です、ミルドレア帝国の旗を掲げた一団がこちらに向かっています」


「来たか、どれくらいで着きそうだ?」


「距離と速度からして一時間ほどで到着するとの事です」


ようやく肩の荷が降ろせそうだ…。

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