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73:温もり(セレナside)


六年間夢を見続けました、白い破滅が世界を呑み込む夢を。


だけど抗う事も逃げる事も出来ずにいる私が呑み込まれる寸前で必ず黒い嵐を纏った誰かが現れるのです。


正直に言えば深い闇を彷彿とさせる漆黒を纏ったその背には頼もしさと同時に恐ろしさも感じました。


彼は一体何者なんでしょうか…。







―――――


初めて見た時は少し怖い人に見えました、でも見知らぬ親子を助ける為に騎士達を相手に割って入ったりした事から悪い人ではないと判断しました。


…アリアが一緒にいたのも理由のひとつかもしれません。


実際に目の前にすると二人からは凄い力を感じ取れました、トゥルーティアーの未来視の副産物なのかレアドロップであれば近くで見ればなんとなく名前とその姿が分かるのです。


黒嵐騎士という称号を与えられたと聞いて確信しました、この人が私達が求めていた希望なのだと…。


話してみると理性的な方だったのにも少し驚きでした、教国の男の人は大半が聞く耳を持たず自分の考えややる事が正しくそれを相手が聞くのは当然という様な人達ばかりなのに彼は私の話を聞いた上でどうしたいか聞いてくれました。


有無を言わせず連れ出されると思ってましたが私の意思を確認してくれる事に少しだけ嬉しくなったのは仕方ない事だと思います。


正教騎士団に追われてベルクさんが騎士団長達と一人で戦うと言った時は無茶だと思いました、だけどアリアが彼なら大丈夫と言い切る姿に心の底から信頼してるのが分かります。


実際私達があの剣士に襲われていた時に彼はいの一番に駆けつけました、漆黒の鎧を纏ったその背は夢に見た姿そのものでした。


その後の戦いを見ていた訳ではありませんが後から見た居住区の惨状や彼の状態から相手がどれだけ強大だったのかは分かります。


ベルクさんがいなければ私達はとうの昔にレアドロップを奪われて皆殺しにされていたでしょう、その未来を防いでくれた彼を責める事なんて出来ません。


それにこの厄災の後処理をほとんどしてくれました、上層部の人達を裁いたり助かった住民の方達の為に奔走してくれました。


本来なら関係のない彼がそこまでする必要も義務もありません、それでも動いてくれたのはこの事態に責任を感じているからなのでしょう。


そう思ってからはもう怖いとは欠片も思えませんでした、目付きが鋭くて無愛想な言動こそしますが優しくて責任感がある人だと分かったからです。


状況に余裕が出来てきた時にアリアから彼の事やこれまでを色々と聞きました、アリアだけじゃなくお姉さん達が彼の女になったと聞いた時は凄く驚きました。


あのヴィクトリア様が男の人に抱かれに行くだなんて想像すらしていませんでした。


ただアリアはベルクさんに抱かれるのはとても気持ち良くて幸せだったと顔を赤くしながら言ってました、正直教皇達とそういう事をしていた人達は幸せを感じている様には思えなかったので信じられなかったのですがそれならとアリアに言われました。


「セレナもベルクに抱いてもらえば良いわ」


この日だけでどれだけ驚いたか分かりません、詳しく聞くとベルクさんの相手をするのは気持ち良いですがとても大変なのだそうです。


それに、と付け加えられた言葉が私の心を揺さぶります。


「セレナだってベルクに惚れちゃったでしょ?」


顔が熱くなるのを感じながらも私は頷きました…。









―――――


ベルクさんとルスクディーテの行為は凄かったですが同時に教皇達がやっていた事とは違うと思いました。


ベルクさんに抱かれているルスクディーテは無理をしてる様子も我慢している様子もなく自分から動いて心の底から彼を求めているのが窺えました。


その後は私の番になりましたがベルクさんはルスクディーテの時とは違ってゆっくりと私の緊張を解す様にしてくれました、初めてする事への緊張や羞恥とか色々ありましたが次第に彼の熱が私の全身に宿る様な心地好さと快楽に私は蕩けてしまいました。


その後はアリアや起きたルスクディーテと一緒に抱かれました、本当に好きになった人とするのはこんなにも幸せな気持ちになるのだと知った時には私は離れるという選択肢はなくなりました。


この先なにが起こるかは分かりません、とても厳しくて辛い事が起きるかも知れません。


それでもついていこうと思います、無愛想だけど優しくて少しだけ分かりやすくて私に温もりを教えてくれたこの人と…。

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